故人と遺族の「思い」を重視する、時代に合った葬儀を届けるプロ
板垣朋宏
Mybestpro Interview
故人と遺族の「思い」を重視する、時代に合った葬儀を届けるプロ
板垣朋宏
#chapter1
「お葬式で大切なのは、形式ではなく“心”です。天命を終えた方が旅立つ場面で、ご家族、親族の方々が『気持ちよく見送れたね』と納得できるかたちが一番だと思っています」
そう話すのは「Infinity Spread」の代表、板垣朋宏さん。前身の社名「愛創」を引き継いだ「愛創のお葬式」として知られ、葬儀のプランニングや運営を担っています。
「当方では、『自由度の高さ』と『費用の明朗さ』をモットーとしております。右から左へ、昔ながらの慣習でこなすのではなく、故人やご遺族の希望に沿ったお式をかなえるのが私たちの責務です。在りし日を振り返りながら、心残りなくお別れをしてもらうことを最優先にしています」
拠点を構えるのは札幌市内ですが、提携する式場を会場とするため、北海道全域に赴きます。仏式でも神式でもなく、僧侶、神職を呼ばずに執り行う「しのぶ会」。現地まで足を運べない人も参列できる「オンライン葬儀」など。亡くなった人を悼むその思いこそがお弔いの本質と捉え、それぞれの事情や状況に合わせ柔軟に提案しています。
費用をきちんと提示するのも、納得感を重視しているからだとか。「見積もりの段階で決まっている料金以上はいただきません。ご遺族の要望で追加オプションがあった場合は、必ず新たな見積もりを出して確認しています。一連の儀式が終了した後に会計となりますから、どれだけ式が良くても結果的に『高かった』では、台無しになってしまいます」と板垣さん。故人と過ごす貴重な機会に携わることから、遺族に満足してもらえるよう尽力しています。
#chapter2
板垣さんが葬祭業界に入ったきっかけは、義祖母の葬儀でした。「当初の見積もりは80万円だったのに、請求されたのは240万円でした。先方は『オプションを選んだあなたが悪い』と。泣く泣く支払いました」
かけがえのない人の死に際しては、悲しみが大きく冷静にはなれないもの。だからこそ、もっと分かりやすく、遺族に寄り添う事業者があればと考え、勤めていた人材派遣会社を飛び出します。独立を視野に入れ、ひつぎや仏具といった関連物品を扱う卸会社に入社。2年間経験を積み、現在の会社の前身となる「愛創」を立ち上げました。
自らの実体験から、手間暇を惜しまず、自社の利益よりも遺族の満足感を追求する板垣さんを頼りにする人も。ある時、病院から「独り身の方が逝去されたのですが、ご友人はいます。どうしたらいいですか」と連絡が入りました。
「故人は、生前に生活保護を受けていた高齢の女性。実は、身寄りのない方や生活保護の方の対応は法的な難しさがあるため、敬遠されるケースが少なくありません。この方は、血縁者はいませんでしたが、お花の先生として近所の人たちと家族のように交流をしていました」
公的な葬祭扶助を受ける選択肢もありましたが、規模に制限が生じます。「お世話になった人たちで先生を送りたい」との声を聞き、友人たちで資金を出し合うことで葬儀を実現しました。
「人間関係が希薄になったと言われる現代において人の温かみを感じ、葬儀に大事なのは心だと、身に染みました」
#chapter3
人生の最期に関する「総合相談窓口」でありたい。数々の葬儀に携わってきた板垣さんは、そんな展望を抱いています。
「身の回りなどを整理する『終活』が広まり始めた頃、道内のNPOと連携してイベントを開いたり、自社で新聞を発行したりしました。以来、エンディングにまつわるさまざまな相談を受けるようになりました」
最近増えてきたのが、判断能力が不十分な人を守る成年後見制度のこと。万が一に備える高齢者だけでなく、本人に代わって財産管理などを行う弁護士や司法書士ら、成年後見人となった人からも問い合わせがあるそうです。
「近い将来、自宅の売却や解体、家財の処分、遺産分割といったことに対処しなければなりません。当方では、引っ越しや不動産業者とネットワークがあり、今後についてコンサルティングするほか、手続きの実務面をサポートしています」
また、墓じまいを検討する人もいます。「事業を始めた十数年前に比べ、社会の常識もずいぶん変わってきました。『子どもにお墓を見てもらうのは申し訳ない』『継承しなくて済むように事前に片付けたい』という親御さんがいらっしゃいます」
人生の終わりをどう迎えたいか。子や孫に何を引き継いでいきたいか。そして残される側は、故人をどう送り出してあげたいか。板垣さんはより良い道筋を、一緒に描いていきたいと言います。
「時代は刻々と変化しています。これからも故人や遺族の思いを尊重し、ニーズに応える葬儀社であり続けたいですね」
(取材年月:2022年10月)
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故人と遺族の「思い」を重視する、時代に合った葬儀を届けるプロ
板垣朋宏プロ
葬祭業
Infinity Spread株式会社
しきたりや形式にこだわらず、遺族が故人を心から見送ることができる葬儀を提供する。式後の納得感を左右する費用面も重視。見積もり通りの金額を請求し、追加オプションが生じる場合は見積もりを再発行する。
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