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北海道から指定を受けた「居住支援法人」として、状況に応じたサポートで自立を見守る

住まいや生活に悩む人を支援して安心した生活に導くプロ

佐藤敏史

佐藤敏史 さとうさとし

#chapter1

低額所得者や高齢者、障害者などに向けて賃貸物件や老人ホームを紹介

 「住む場所があるのが普通だと思っていますが、中には『高齢』『保証人がいない』『求職中』などの理由で入居審査に通らないケースがあります。私たちは、住まいや生活に関して悩みを持つ一人一人の事情や心情に寄り添い、誰もが滞りなく日常を営む『当たり前の社会』を作りたいと考えています」

 そう語るのは、札幌市で生活困難者を支援する「蝦夷サポート協会」代表の佐藤敏史さん。低額所得者や高齢者、障害者などが民間賃貸住宅に円滑に入居できるように、住宅情報の提供・相談、見守りなどを行う「住宅確保要配慮者居住支援法人」として、北海道から指定を受けています。

 「私どもは『困っている人を助ける』という信念に基づき、賃貸物件や老人ホームをご案内しています。住宅だけではなく、生活保護の申請をお手伝いしたり、就労先を探したり、自立に向けた取り組みにも力を入れています」

 失業して退去を余儀なくされた、身寄りがなく審査に通らない、配偶者の暴力から避難したいなど。佐藤さんのもとでは住まいを求める人のため、家主や管理会社から部屋を借り上げて転貸借する、サブリースの仕組みを構築。入居日から快適に過ごせるよう、部屋には家具・家電を備えています。

 「必要に応じて、家賃や光熱費の支払いといった金銭管理、通院をはじめとする外出・入退院の付き添い、安否確認、雪かき、引っ越しなど幅広くフォローしています。借金がある場合は、債権者と返済について交渉もしています。地域社会の中で、皆さんが健全に暮らせる土台を築き、安心できる環境を整えます」

#chapter2

誰もが等しく住む場所を選べるよう、その人に適した選択肢を提案

 不動産会社の営業や、高齢者施設を紹介する相談員をしていた佐藤さん。部屋を借りたいのに、借りることができない人を数多く見てきました。
 「年齢が高かったり、勤務先の業績不振で働けなくなったりとか、ご自身の本意ではない要因も多く見受けられ、なんとか手助けしたいと思いました」

 2022年から同協会の代表を務め、「誰もが等しく住む場所を選んでほしい」との一心で活動してきましたが、施設に入ったほうが望ましいこともあると気付きます。

 「賃貸物件をご案内する中で、例えば加齢により認知症が進んだり、精神的な疾患から気持ちが不安定になって頻繁に救急車を呼んだりした方がいらっしゃったんです。さまざまな方と接するうちに、いくら一人暮らしをしたいと言っても、周囲に住む人のことを鑑み、またご本人とってもケアが受けられる施設をご提案することが選択肢の一つだと分かりました」

 自分で生活するのが難しいケースでは「軽はずみに一般住宅をおすすめすることはできません」と、個々の状況に合う支援の大切さを説く佐藤さん。

 現在は事前に面談をして、「近隣住民に迷惑をかけるおそれがある」「重度の精神障害・認知症があり一人での生活が困難」「虚偽の報告をした」という場合は、賃貸への入居を見合わせることがあります。

 「ただお断りするのではなく、いったん施設に入っていただき、落ち着いてから今後について一緒に検討するなど、希望を持っていていただけるアドバイスを心掛けています」

#chapter3

経済的に苦しい人が頼れる場所があることを、多くの人に知ってほしい

 近年、国際情勢の変化や不況のあおりを受け、経済的に困窮する人が増加。貧困の世代間連鎖や社会的孤立などの課題も指摘されています。

 「職を失い暮らしが立ち行かないという方や、身近に頼れる人がいないという方は、当方がお力になりますので一人で抱えないでください。生活の基盤となる住居を用意し、自立を後押しいたします」と呼び掛ける佐藤さん。

 入居や就活をサポートした人が仕事に就き、新たな部屋を借りられるようになったこともあるそうです。
 「巣立っていかれる姿を見送るのは、うれしいですね。収入が十分でないときは生活保護を受給して、心身ともに安定した毎日をかなえていただくのも私たちの役割ですから、お声がけください」

 話を聞くだけの窓口ではなく、未来に向かって一歩踏み出せるような解決法を見いだすことを目指します。

 「ご本人の意思やご家族の意向を踏まえ、医療・福祉事業者の方などからも話を伺い、その人らしい生き方をかなえたいと思っています。慣れ親しんだ地域を離れたくない方にはご要望のエリアで、一人暮らしに不安を感じている方には、施設を紹介することで皆さんに穏やかな日々を送っていただきたいですね」

 2017年に「住宅セーフティネット法」が改正され、居住支援法人の指定制度が誕生しましたが、不動産業界でもその存在が知られていません。
 「自治体でやっと認知されるようになってきましたが、一人でも多く困っている方に知っていただくのが一番の目標です」と熱を込めます。

(取材年月:2024年8月)

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佐藤敏史

住まいや生活に悩む人を支援して安心した生活に導くプロ

佐藤敏史プロ

居住支援

一般社団法人蝦夷サポート協会

北海道から指定を受けた「住宅確保要配慮者居住支援法人」として民間賃貸住宅の入居を支援。入居後に安定した生活が送れるよう、金銭管理や安否確認などの生活サポートにも力を入れて自立ができるよう見守ります。

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