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いつまでも自分らしく生きるため、人と人との輪を築く支援の“かけ橋(ARCH)”に

誰もが自分らしく生きるための日々の暮らしを支えるプロ

寺尾賢一

寺尾さん正面
面談

#chapter1

官民の枠を超え、サポートが必要なところへ応援の手をつなげるお手伝い

 「住み慣れた場所で、いつまでも自分らしい生活を送れるよう、日々の暮らしを支えたい」。家族や関係各所と連携し、助けを必要としている一人一人に合わせた支援の輪を作る「ARCH(アーチ)」の代表、寺尾賢一さんの言葉です。
 
 運営する事業所「ソーシャルオフィスてらお」では、一人住まいの高齢者や障害のある人、病気やケガなどで日常生活に難しさを感じている人が、心穏やかに過ごせるよう尽力しています。
 「みなさんに成り代わって部屋の片づけや日用品の買い物など、さまざまな家事をフォローいたします」と寺尾さん。訪問による見守りをはじめ、それぞれの事情や状況、要望に応じたサービスの提供、各種申請に関するアドバイス、施設入所の相談や紹介、身元保証なども行っています。

 「介護保険や医療保険、地域のサポート制度などが用意されていますが、どこに何を頼めばいいのか、ご本人やご家族で情報を集め、検討するのは容易ではありません。私どもにご連絡いただければ、医療・福祉機関や法律の専門家、行政などへつなげ、協力体制を構築いたします」

 手厚いケアを受けていても、在宅・入所と生活環境が変わるに伴い、管轄する部署や担当者が変わり、利用者が戸惑うこともしばしばあります。
 
 寺尾さんの元では、施設に移った後も定期的に足を運んでコミュニケーションを重ね、雑事に対応するなど変わらず力を貸してくれます。万一の場合にも、本人や家族の希望に沿った形で葬儀・納骨ができるよう一通りの手配も引き受け、人生の締めくくりまで寄り添います。

#chapter2

官民問わず複数の手が差し伸べられるよう、調整や橋渡しをする支援の要を目指して

 「誰もが自分らしく生きられる社会」を理想とする寺尾さん。その原点となったのは、幼い頃、祖父の家の近所で見聞きした生活困窮者の実情でした。
 
 「高度成長期の好景気に沸く日本にあって、前世代的な暮らし向きの地域があることに、子どもながら違和感を覚えたんです。一緒に遊んだ子どもたちの未来が、自分たちと違うものであってはならない。不合理を埋める手だてはないかと、福祉系大学から公務員の道に進みました」
 25年間、函館市役所に勤務し、地域福祉の部署に所属。生活保護、高齢者や障害者、児童福祉に携わり、市民の声に向き合ってきました。
 
 「日常の中で生じる困りごとは、身体的・経済的なことだけが要因ではないので、必ずしも法令や制度でカバーできるとは限りません。また利用できる制度があっても、うまく適用するすべを知らずに、長年苦しんでおられる人も少なくないのです」

 多くの相談者に心を寄せてきた寺尾さんですが、担当を外れてしまうと何の力にもなれないことにもどかしさを感じ始めます。とはいえ、民間の事業所に同様の職務規定があることも受け入れざるを得ません。支援の方法に制約があることに疑問を抱き、打開策はないかと模索。「対象者1人に対して、官民問わず複数の手が差し伸べられるよう、調整や橋渡しをする存在が必要」と気づきます。

 実現に向け、定年を待たずに退職。福祉行政の経験と法律や介護の知識を投入して、自らが支援の要となるべく事業所を立ち上げました。

デスク

#chapter3

子ども世帯や家族に成り代わり、その人の人生の終わりまで深く寄り添う

 「利用者の悩みは千差万別。経済面で問題がなくても、頼れる親族が近くにいない、健康に不安があるといったケースもあるでしょう。認知症や精神疾患などを患い、心身ともに不安定な状態のまま孤立してしまうと、生活の場が次第に乱れてしまうこともあります」
 
 多くの人が口にするのは「今は大丈夫だけど、この先お金の管理をしたり、終末期の過ごし方や相続に関する意思決定は、できなくなるかもしれない」といった将来に対する心配ごとです。

 「当方では、ご家族に代わり、公共料金や税金、施設利用料の支払いを代行したり、買い物に同行したりするほか、自宅や不用品の処分と、介護サービスの適用外のお手伝いもしています」

 行政書士事務所も開設している寺尾さんは、認知能力などが低下した場合、財産管理や契約行為を委任する成年後見制度について案内すると共に、手続きをサポート。任意後見人の受任も可能です。遺言書の作成支援、相続手続きも行っています。

 「『自分の旅立ちに際し、家族を煩わせたくない』という声に応え、葬儀を執り行い、納骨までさせていただいています。大切な人を亡くしたご家族のみなさんには、お葬式の準備に追われることなく、静かに故人をしのんでいただきたいのです」

 人の生涯に寄り添い続ける寺尾さん。
 厳しい現実に直面することの多い中「気持ちをフラットに保つ秘訣は、家族や老犬との温泉巡り」と、いつも穏やかな笑顔を絶やしません。

(取材年月:2022年8月)

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専門家プロフィール

寺尾賢一

誰もが自分らしく生きるための日々の暮らしを支えるプロ

寺尾賢一プロ

行政書士

合同会社ARCH

福祉行政の経験を持ち、官民の別なく生活支援システムの内容に精通。在宅支援から施設入所後の雑事の補助、さらには死後の清算まで、生涯に渡って自分らしく生きるための継続的な支援の要を担う

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