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職人芸に偏らず、依頼主と二人三脚で自然の美しさを生かした庭づくりを提案

剪定から伐採まで引き受ける造園のプロ

湯月大生

湯月大生 ゆづきひろき
湯月大生 ゆづきひろき

#chapter1

気難しいといった職人のイメージを取り除き、身近な存在でありたい

 はさみを巧みに操って、丸みをもたせたり直線を描いたり庭木に意匠を施すほか、木々が持つ躍動感を引き出すために丁寧に枝葉を調整していく剪定(せんてい)。「湯月造園」を営む湯月大生さんの信条は、職人芸に固執せずに、依頼主と二人三脚で美しい庭をつくりあげていくこと。「自分の主張はできるだけ抑え、誰もが満足する仕事をしていきたい」と話します。

 個人邸の庭の手入れのほか、施設の庭園工事や外構工事、伐採・草刈り、公共エリアの緑地管理など、造園に関わるさまざまな案件を手掛ける湯月さん。この世界に身を置いて十余年、たくさんの経験を積みながらも決しておごることなく、技を磨いてきました。

「お客さまの意見を聞きながら進めていくのが私のやり方です。頑固や気難しいといった職人のイメージを拭い去り、身近な存在になりたいですね」

 少人数ならではの小回りの良さで、顧客の懐事情にも合わせ、植木1本からの剪定も気持ちよく引き受けます。「樹形を一からつくり直したい」との難題にも柔軟に対応。「お客さまの希望に応えることが、プロとしての腕の見せどころ」と力を込めます。

 最近では「親から受け継いだ庭園をどうしていいのかわからない」といった悩みも多く寄せられるそうです。「現地の状態を確認した上で、どうするかを一緒に決めていきます。一方的な提案ではなく、お客さまとの話し合いを大切にしているのは、お庭に愛着をもってほしいからです。お力になりますので、まずはご相談ください」

#chapter2

自然の状態にこだわる理由は「葉が揺れる瞬間」から

 「やっと巡り会えた」。これまで何度も業者を変えてきた依頼主から、湯月さんが受け取った言葉です。庭づくりに誠実に向き合い、要望をかなえていく姿勢が依頼主の琴線に触れ、「来てくださってありがとう」と感謝されることも。「まるでこちらがお客さんみたいで恐縮してしまいますね」と遠慮がちに話します。

 「昔から葉が揺れる瞬間が好きだった」という湯月さん。得意とするのは、山や林などで生息している雑木のような株立ち。人の都合に合わせた強引な剪定は好まず、野趣あふれる姿を目指します。

 「新米の頃は、ただひたすら形を整えることだけを考えていました。でも葉が風にそよぐ様子もどこか不自然で、徐々に違和感を抱くようになりました。自分がしているのは、伸びた枝木や葉っぱを切る単なる作業にすぎないのでは?と気づいてからは、仕上がりをきちんとイメージし、自然界のあり方に近づけていきました」

 もともと、庭職人を目指していたわけではありません。かつては違う業界で会社に勤務し、外で働く人たちを「大変そうだな」と眺めていました。転職したのは、自身の趣味に合わせて休暇を取りたいという理由から。条件が合った造園会社の社長が同郷であることも決め手になりました。「なんとなく、父が土木関係に勤めていた影響もあったのかもしれません」

 最初は先輩について現場へ出かけ、とにかく雑務の日々。次第に「なんとなく」が本気に変わり、造園の奥深さにのめり込んでいきました。

湯月大生 ゆづきひろき

#chapter3

造園は一生の仕事。技術を若手に伝え、次世代に引き継いでいきたい

 雑用ばかりの毎日でしたが「不思議と辞めたいという気持ちにはなりませんでした」と湯月さん。「道具を扱わせてもらって実技を覚え、早く一人前になりたい」の一心だったと言います。まわりに認めてもらうために、どんな業務も正確に手際よくできるよう工夫を凝らしました。5年を過ぎた頃から手ばさみを持ち、6〜7年目から独り立ちを意識するようになったと振り返ります。

 前社で約10年、地道な努力を重ね、満を持して独立を果たした湯月さん。現在は、依頼主に寄り添うスタイルで、こつこつと顧客を増やしています。

 「学生時代は飽きっぽい性格で、何一つ長続きしたことがありませんでした。でも造園を始めて変わりました。一生、この仕事をやっていくでしょうね。全然飽きがこないので、方向転換をしたいということもありません。この道に入って10年以上たちますが、今でもいろんな発見があります。深掘りすればするほど、知らないこともどんどん出てきます。まだまだ勉強したいし、自分でも伸びしろがあると感じます」

 今後は、「湯月造園」の名をさらに広めると共に、庭の木々がもたらす豊かな暮らしを伝えていきたい。そして若い世代に造園の魅力を知ってもらい、技術を引き継いでいきたいと夢を語ります。

 「業界に興味を持ってもらうためにも、多くの人が庭仕事に触れる機会を増やしていきたいですね」と湯月さん。四季折々の風情を楽しめる素晴らしい庭をつくるため、今日も現場に向かいます。

(取材年月:2021年11月)

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湯月造園

「職人って気難しそう」と構える必要はありません。依頼主の声を最大限聞き、造園作業に反映します。山林の木々のような自然の樹形に近づける剪定を信条に、造園に関するあらゆる業務を請け負います。

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