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利用者の生活の質を高め、笑顔があふれる介護を目指す

利用者の立場に立ち、傾聴する介護のプロ

大中弘治

ケアネット代表の大中弘治さんは、広島県安芸郡で「デイサービス かむながら」と「すみれ介護ステーション」を運営
すみれ介護ステーションでは、介護認定を受けた高齢者、障害者福祉サービス受給者証、障害者移動支援事業受給者証の交付を受けた人に介護サービスを提供。

#chapter1

デイサービスと訪問(居宅)介護サービスを運営

 介護事業者の「ケアネット」代表の大中弘治さんは、広島県安芸郡で、「デイサービス かむながら」と「すみれ介護ステーション」を運営しています。地域に根ざした介護で、2020年には創業十周年を迎えました。

 デイサービス かむながらは、「自然に、趣くままに~」をキャッチフレーズに、折り紙や塗り絵などの作業的なレクリエーションは行わず、利用者が自宅にいるように、思い思いに過ごせることをコンセプトにしています。施設は、古民家を改装。テレビ鑑賞やカラオケも楽しめるリビング、食堂、静養室、浴室、トイレなどを備え、認知症など要介護状態の高齢者の方が8人ほど通所されています。

 「レクをあまり行わないのは、男性の利用者さんが多く、そうした作業は好まないというのも理由ですが、職員にとっては、レクをやり遂げる責任が先行してしまいがちだからです。かむながらでは、利用者さん一人一人に寄り添ったケアを目指しています。みなさん、新聞を読んだり、テレビを見たり、それぞれ好きに過ごしておられます。ご家族からは、心身の状態が良くなったという声をいただくことも多いです」

 一方、すみれ介護ステーションでは、介護認定を受けた高齢者、障害者福祉サービス受給者証、障害者移動支援事業受給者証の交付を受けた人が対象。ケアプランに基づき、入浴介助、食事介助、通院介助などの身体介護、家事支援、重度訪問介護、行動援護といったサービスを提供しています。

 同ステーションの利用者は、障害のある30~40代男性が多いそうです。両親の高齢化も進んでいることから、入所型の施設につないでいくなど、「“親なきあと”のケアについても考えていきたい」と話します。

#chapter2

遠慮せずに、介護サービスを利用してほしい

 「利用者さんの自由を尊重するのが、かむながらだとすると、すみれではもう一歩踏み込んで、より個別のサービスを提供したいと考えています」と大中さんは話します。

 なぜなら、介護認定を受けていたり、障害者手帳を持っていれば利用できるサービスがあることを知らない人や、「うちはまだ大丈夫」「一人でがんばれる」と、サービスを受けることを遠慮する人も少なくないからだそうです。

 「障害のある方のご家庭では、家族だけで介護を担い、外出もままならず、一家で引きこもってしまうことも。移動サービスを使えば、外出はもっとラクになります。例えば、加齢で目が見えにくくなったら、老眼鏡を使いますよね。介護サービスも、それと同じだと思うんです。利用者さんの日々の暮らしの質を上げ、ご家族の介護の負担を減らすためにも、もっと介護サービスを利用してもらいたいと思います」

 介護をする人が今は元気でも、倒れてしまったら、介護される側は一人になってしまいます。転ばぬ先のつえとして、介護保険や障害者支援法でどんなサービスが受けられるかを知っておくだけでも、安心です。「お節介かもしれませんが、『こんなサービスがありますよ』と、地域のみなさんに、もっと周知していきたいと考えています」と大中さん。

車椅子でも移動が可能な送迎車

#chapter3

利用者と真剣に向き合うことが、「利用者本位の介護」

 大中さんの前職は、自動車販売の営業マン。父親の正弘さんがケアネットを起業したことから、介護の道へ。県内の社会福祉法人で4年間、修行を積み、介護福祉士の資格を取りました。今も、ヘルパーとして障害者の入浴介助などを行っています。
 
 修業時代には、こんなエピソードも。「ショートステイ施設に認知症の女性がいたのですが、私が部屋を訪ねると、『また来てくれたん?』と、笑顔で声をかけてくれるのです。認知機能が低下しているにも関わらず、私を認知してもらえたわけです。この『介護』という仕事にやりがいを感じました」

 この経験を胸に、「自分の訪問(サービス)が、利用者さんの笑顔につながったらうれしい」と話します。「例えば、障害があっても、書類へのサインや押印ができそうだと判断したら、やってもらうようにしているんです。ある利用者さんは、最近では、押印の場面になると、腕まくりをするようなしぐさを見せることも。健常者からすれば、たわいもない行為ですが、利用者さんにとっては一大事。親御さんにほめられて、残存機能が発揮できる楽しく、刹那的ではありますが唯一の貴重な時間でもあります。こうした環境や瞬間を提供できたら、私も幸せだし、双方にとってウィンウィンですよね」

 本来のサービスではないことでも、目配り、気配りを忘れない大中さん。やさしい人柄と共に、介護への強い思いが伝わってきます。
 
 「感情表現は苦手なほうなんですが、一日5分でもいいから、本音を聞くなど利用者さんとは真剣に向き合っていきたい。それが、“利用者本位の介護”だと思います。介護に携わる方々と、こうした考えをシェアしていきたいですね」

(取材年月:2021年4月)

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大中弘治

利用者の立場に立ち、傾聴する介護のプロ

大中弘治プロ

高齢者介護

ケアネット株式会社

利用者が気兼ねなく過ごせる「デイサービス かむながら」と、一人一人のニーズを的確に掘り起こしながら、訪問(居宅)介護サービスを提供する「すみれ介護ステーション」を運営している。

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