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しまなみ海道の橋脚の島・生口島から海上へ、瀬戸内ならではの絶景とグルメを堪能

瀬戸内の海の恵みと島の魅力を伝える釣り船のプロ

新畑秀行

新畑さん正面
新畑さん横

#chapter1

観光クルーズ・グルメ船・渡し舟と、楽しみ方も自由な釣り船で、穏やかな瀬戸内海の島巡り

 広島県尾道市から対岸の愛媛県今治市まで、瀬戸内海に点在する島々を結ぶ「瀬戸内しまなみ海道」。車や自転車、徒歩でも渡ることができ、雄大な橋の姿や多島美が織り成す景観が魅力的な海上ルートです。

 九つの島のうち、レモンやアートで注目を集める生口島。
 白い砂浜が広がる瀬戸田サンセットビーチに隣接する垂水漁港から出航しているのが、「釣り船秀丸」です。

 40フィート、10人まで乗船可能な同船の船長を務めるのは、新畑秀行さん。周辺の島で活動する10艇で形成された船団「チーム秀丸」を率いるリーダーでもあります。

 「船はそれぞれ独立して運行していますが、お客さんが集中したときなど、断るのは気の毒でしょう?だから受け入れ態勢を整えるために協力しているんですよ」

 エアコン、トイレはもちろん、電源、魚群探知機といった釣りに必要な装備を完備。テレビやオーディオまで備えているので、観光船やクルージング、渡し船など多様な使い方もOK。穏やかな波が特徴の内海とは言え、毎回、出航前の安全管理もぬかりはありません。
 
 貸し切りや乗り合い、道具のレンタル、出航時間や魚種といった要望は、事前連絡で対応しています。
 「『釣った魚をすぐに味わいたい』という時は、島内の料理屋さんへご案内しますので、とれたての格別な味を楽しんでください。『釣るのは面倒だけど、新鮮な魚は欲しい』という方には、私が準備します」と力強い言葉。町内にある「新畑食料品店」では、魚介類だけでなくレモンやミカン、野菜なども販売しています。

#chapter2

静かな離島からにぎわう観光スポットへ。見守り続けた地元の魅力を伝えたい船長たちの「チーム秀丸」

 生口島で生まれた新畑さんは、海に抱かれて育ちました。家業は食料品店だったため、「もっとじかに海に関わっていたい」と、生きる道を探すため、一時的に島を離れます。

 「寒いところは苦手だし、遠洋漁業もキツそう。養殖業は、現場が海から離れたところと、当時なかなか希望に添う仕事が見つかりませんでした。『やっぱり瀬戸内の海は最高』と思い知るばかりでしたね」

 関東の釣具店勤務を足掛かりに、船舶免許を取得。25歳で島に戻り、小さな釣り船からスタートして、現在の「秀丸」は3代目。地元の海にこぎ出してから20年以上がたちました。

 航行する中で残念だったのは、シーズンの繁忙期に申し込みが重なってしまい、期待に応えられなかったことだとか。
 「近隣の島を拠点とするほかの釣り船も、おそらく同じ悩みを抱えているだろうと、沖合で行き交う船の船長に声を掛けるようになりました」

 1艇また1艇と賛同が増え、今では5人乗りから10人乗りまで10艇が連携する「チーム秀丸」へと成長。予約の調整だけでなく、年間を通した釣果コンテスト「大物ダービー」を合同で開催しています。

 「瀬戸内の静かな離島で橋脚工事が始まり、眺望が様変わりしていくのを見続けてきました。変化に富んだ美しい景色、そしておいしい魚や果物が豊富なこの島は自慢のふるさと」と話す新畑さん。海がいとしくてたまらない様子は、家族からもあきれられるほどだそうです。

船内から

#chapter3

海の幸と絶景を多くの人に。潮の流れを体感しながら味わう豊かな自然の恵みをいつまでも

 「タイ・メバル・アコウ・ハマチに芝エビと、季節によって用意できるものは変わりますが、滋味あふれる海の幸を、たくさんの人に届けたい気持ちでいっぱい」と笑みを浮かべる新畑さん。

 一方で、「近年の気候変動や環境汚染が自然界に悪い影響を与えないかが気掛かり」と言います。

 「島は、以前に比べて漁業従事者は減少傾向ですが、日本近海だけでなく世界的に見ても、過剰漁業が海の生態系を脅かす一因と聞いています。生口島と同様、『うさぎ島』と呼ばれる大久野島や無人島なども話題になって、大勢の人が来てくれるのはうれしいのですが、人の手によって海洋資源がダメージを受けるなど、困ったことになりはしないでしょうか」

 心配は尽きることがなく、「国の施策ももちろんですが、私たち海に関わる者も、お客さんも、ルールをしっかり守っていかなきゃならんと思うんです」と、かけがえのない宝を後世につなぐために奮闘中です。

 「釣り客以外、観光で訪れる人にも、表情豊かな海と、そこから得られる素晴らしい味覚を堪能してもらいたくて、リクエストを受けた分だけ、とれたての魚を調達して提供するようになりました。小さなことですが、多くの恵みをもたらしてくれる瀬戸内の未来のために、今、私ができる精いっぱいのことをしていきたいですね」

 漁港近くの海水浴場は、夕暮れ時のマジックアワーに空が色づいて、幻想的な風景が見られると評判。沖を眺める新畑さんのまなざしも、同じ色に染めています。

(取材年月:2022年5月)

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新畑秀行

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新畑秀行プロ

釣り船運航

釣り船秀丸

釣り船としてだけではなく、貸し切りのクルージングや離島間の移動手段としても利用可能。また持ち帰り用の魚介類、レモンやミカンなどの特産品も販売。絶景スポット・グルメスポットも紹介します。

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