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住む人に寄り添うコンサルタントとして

マンション・ビルの大規模修繕コンサルタントのプロ

山下竜正

山下竜正プロ
外壁調査

#chapter1

約20棟のマンションを診断

 広島市中区平和大通りに面したビルの4階にある「有限会社シグマ建築事務所」。大きな窓からは陽射しが差し込み、季節の色に染まる樹木や空が広がります。気持ちのよい空間で、ビル、公共施設や住宅の設計を手がけているのが代表取締役の山下竜正さんです。

 山下さんは1級建築士ほか、コンクリート診断士、建築仕上診断技術者、建築設備診断技術者、マンション維持修繕技術者などの資格を持ち、設計だけでなく建物の維持管理、メンテナンスの分野でも活躍。特に多くの物件を手がけてきたのが、マンション大規模修繕工事で、コンサルタントとしてこれまで約20棟のマンションの診断をしてきました。
 一般的にマンションは築12~15年に大規模修繕するのが適正とされています。
 「なぜ大規模な修繕が必要なのかご存知ですか。何もケアしないとマンションなどのコンクリートの建築物の寿命は約65年といわれています。12~15年間隔で定期的にメンテナンスすると、寿命は70~80超年に伸びます。建物の劣化の主たる要因はコンクリートの中にある鉄筋の錆によるものです。錆びると鉄筋は約2.5~4倍の太さになり、コンクリートが爆裂してしまうんです」
 外壁をきちんと保護することで、鉄筋のサビの原因となるコンクリートの中性化を遅延させるため、メンテナンスが必要なのだそうです。山下さんは「ただ漠然と必要な時期だから大規模修繕を行うというのではなく、住んでいる人にもマンションの構造や劣化の原因、メンテナンスの役割を理解してもらいたい」と、話し合いながら進めることをモットーとしています。

#chapter2

建物の劣化について重ねた勉強

 山下さんは父親が設計士だったことから、父親の仕事を見て自然に今の道を選びました。大学を卒業後、東京の設計事務所で公共の建物の設計に携わるうちに、メンテナンスや修繕の大切さに目覚め、建物の劣化についての勉強をスタート。仕事を離れて旅行に行っても建築物ばかりを見ていたという山下さん。ただ、建築家としての目は意匠やディテールに注がれていました。あるとき、「もしかしたら普通の人にとって大切なことと、自分が提供したいことは異なっているのではないか」と思い始めました。「もっともっと社会に貢献したい」という思いも強くなっていきました。

 「人には医者がいるように、建物にも医者が必要です。建物の劣化のメカニズムを理解し、どのように治療していくか。その面白さがわかってからは、自分が学んだことを人にも伝えたいと思い、マンションの大規模修繕に力を注ぐようになりました」

スタッフ集合

#chapter3

理想は伝え上手の池上彰さん

 マンションの診断はコンサルタントによって見解が異なります。「医者と一緒で、同じ建物を見てもその人によってどう見るか、判断するかが変わります。従って、メンテナンスの手法や工期なども異なります」
 山下さんがコンサルタントとして一番大事にしているのが、コミュニケーションです。「住民の方が長い間積み立てた大事なお金を使うのですから、十分に理解をしてもらうのが第一です。そして入念な調査をもとに、予算にあった適正な修繕をすること。更に工事期間中の安全面、防犯面への配慮も大事です」。調査診断期間は一棟のマンションで、短くて2週間、長いときは2~3ヵ月かかる場合があり、診断結果は診断書にまとめられ提出されます。
 「一般の人が見てもなかなか理解しづらい報告書ですが、なるべく噛み砕いて説明するようにしています」「せっかくの大規模修繕の機会だから、みなさんと建物について勉強する機会にしたい」。山下さんの理想は、小学生にも理解できるように政治経済の話をする池上彰さん。一見難しそうなマンションのメンテナンスや構造について、一般の人にもわかりやすく話をしたいと思っています。

 住む人に寄り添うコンサルタントでありたいという山下さんとなら、マンション自体への関心も高まりそうです。
(取材年月:2014年11月)

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山下竜正

マンション・ビルの大規模修繕コンサルタントのプロ

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一級建築士

有限会社 シグマ建築事務所

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