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心穏やかに次のステップへ進むため、「あなたという財産」を引き継ぐ準備をお手伝い

目先の節税対策で終わらない、本質的な相続対策に向き合うプロ

池田聖

池田さまデスク
外観

#chapter1

目先の節税対策ではなく、子や孫へ引き継ぐことも考えた本当の意味の相続を考える

 「相続税対策、節税対策、生前贈与といった言葉が世の中にあふれていますが、資産の内容や相続人の数や相続関係など、事情はさまざまです。目先の税額を1円でも減らすことに心を砕くより、次の代に引き継ぐときが訪れることをイメージしながら、家族が心穏やかに暮らしていくのに何が大切なのかを考えるべきではないでしょうか」

 そう問いかけるのは「池田聖税理士事務所」の税理士・池田 聖さん。38年間の税務署勤務を経て、「相続税対策ではなく相続のお手伝いを」と、2016年から東広島市の閑静な住宅街の一角に事務所を開いています。

 「在職中は、主に個人や法人の相続・贈与・譲渡所得といった、いわゆる資産税に関する事務に携わってきました。実際に提出された申告書を隅々までチェックし、入力するなど、年間200件前後もの業務をこなしてきた経験から、それぞれの実情に即した提案力には自信があります」
 
 「ワンストップ窓口」を目指している池田さん。自身が精通する相続対策・事業承継・終活といった分野だけでなく、おひとりさま対策や財産状況を把握しての相続対策など、寄せられる困りごとを余さず受け止め、適切な機関や相談窓口への橋渡しもしています。

 クライアントは東広島市内を中心に、「ご本人が遠方で新たに開業するなどの機会にお声掛けいただいて」と、北海道から沖縄まで。
 「外国籍のお客さまの対応に走り回ったこともあり、少しグローバルにもなったかも」と笑みを浮かべます。
 それでも自ら足を運ぶ基本スタイルは、事務所開設当初から変わりません。

#chapter2

法律と税務を学んだ青春時代から、目の前のことに全力投入する姿勢を一貫

 父親の仕事の都合で、幼少期から香川・大阪・北海道・滋賀と転居を繰り返した池田さんは、中学3年生で広島に。進路を決める大事な時期に、3度の転校という環境の変化にも負けることなく、高校卒業時に国家公務員初級試験税務職に採用され、同時に広島大学法学部二部へ合格しました。
 税務大学校広島研修所在学中には、大学を1年間休学し寮生活をしながら専門知識を学びました。
 
 寮には男子生徒105人がいて、「行動は基本15人一組の班が活動の単位で、当時の若者らしく、五日市の繁華街に繰り出したこともあり、楽しかったですね」と懐かしみます。
 「税務大学校の同期の多くは定年後も再任用される方が多いですが、それ以外の方は私と同じ進路を取り、大学の同級生の中には法曹界へ進んだ人もいます。よき相談相手となってくれる友人たちとの交友関係は、今も私にプラスの刺激を与えてくれています」

 池田さんは一人息子だったこともあって、両親が年老いてくると、比較的早い時期から介護や相続の問題に直面したそうです。
 「親の介護のためにバリアフリーに改装した家は、結局のところ、長年放置状態になってしまいました。そこで、開業する際に事務所として活用することにしたのです」
 
 常に全力で取り組み、理路整然とした語り口が持ち味の池田さん。
 「正直、少しきちょうめんすぎて疲れる時もあります」とこぼし、「これからは物事をあまり突き詰めすぎず、少し肩の力を抜いて、“まあまあ”のところで向き合おうかな」
 人間味あふれる一面ものぞかせたかと思えば、やはり「もちろん仕事の話ではありませんよ」と念押しも忘れません。

看板

#chapter3

“争続”回避の大切なヒント、それはお金に代えられない「あなたという財産」を残すこと

 少子高齢化、認知症の増加や8050問題といった社会的課題の深刻さに、池田さんも懸念を隠せません。
 「判断能力が衰えていく方の財産を保護するために設けられた、成年後見制度や民事信託(家族信託)と、国でも施策を打ち出していますが、メリットやデメリットについては、よく知られていないというのが現状です」

 家族信託専門士として相続対策の普及を目指す池田さんですが、「たびたび県民の気質として言われるように、『群れない、こびない、簡単になびかない』ことも、県内で制度の利用が進まない理由の一つかもしれませんね」と苦笑い。
 「一つの制度だけでなく、他にどんな方法があるのかを、個々の事情に合わせてご案内するのも私の責務と感じています」
 また、あらゆる産業構造が大きく変革し、従来のような地域共同体の維持が難しくなると予測される昨今。「県内の中小企業のうち7割以上は対策が進んでいないようです。事業承継についても、生身の人間の終活と同じく、企業に地力があるうちに始めておきましょう」と話します。

 池田さんは、遺言状やエンディングノートの作成についてもヒントを示しています。
 「正確な預金や不動産の一覧を書き出すのも重要ですが、何より先に家族への思いをつづってはいかがでしょうか。人生を振り返り、家族との思い出や生きていく知恵など、お金に代えられないあなたという財産を残してあげましょう。それが“争続”回避の手だてになると、私は信じています」

(取材年月:2022年6月)

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池田聖

目先の節税対策で終わらない、本質的な相続対策に向き合うプロ

池田聖プロ

税理士

池田聖税理士事務所

38年間の税務署勤務で、相続・贈与・譲渡所得などの資産税に関する事務に携わった経験を生かし、相続対策・事業承継・終活サポートに取り組む。目先の節税対策より本質的な相続対策に重きを置いて対応

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