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創業78年の歴史と実績を持つ老舗の質屋。宝石・高級時計の鑑定はおまかせ

宝石・時計鑑定のプロ

江盛新悟

江盛新悟 えもりしんご
江盛新悟 えもりしんご

#chapter1

鎌倉時代から700年以上続く、品物を預けてお金を借りる「質預かり」のシステム

皆さんは「質屋」と聞いてどんなイメージを思い浮かべますか? ひと気のない路地裏にひっそりと佇む、何やら近づきがたい場所…。そんなイメージをお持ちの方は、まるいの店舗を見ると驚くかもしれません。閑静な住宅地にある、和モダンの落ち着いた空間で出迎えてくれたのは、これまた質屋の店主というイメージを覆す爽やかな笑顔の持ち主、江盛新悟さんです。

まるいは戦前から続く老舗の質屋。長年に渡り広島の中心地・八丁堀で、宝石や高級時計、ブランド品など比較的高価な品物を取り扱ってきました。江盛さんは2005年の入社以来、宝石や時計の鑑定士として活躍。現在は、冒頭でも触れた真新しいおしゃれな段原本店で、鑑定にあたっています。

「鑑定では適正な相場を見極めて、常に公正で一貫性のある査定を心掛けています。データ社会となり、真贋も価格もAI(人工知能)が判断できる時代ですが、それでも世の中にはデータ化できないものも存在します。それらを五感と経験知で見極め、適正な値付けをする。そこに鑑定士としての存在価値があると思っています」と話す江盛さん。「今でも、これまで一度も見たことのない宝石や時計などを鑑定するときは鳥肌が立ちますね」と笑います。

質屋には、お客さまが品物をお店に預けて、それを担保にお金を借りる「質預かり」という独特のシステムがあります。期限内(預けた日から3ヶ月)に元金(融資金額)と利息を支払えば手元に品物が戻り、利息だけを支払えば契約期間の延長も可能です。また元金と利息を支払わなくても、品物の所有権がお客さまからお店に移るだけなので、取り立ても遅延利息も発生しません。

江盛さんは、「この『質預かり』は、鎌倉時代から700年以上も続く、安心してお金を借りることのできるシステムです。仕組みを正しく知り、お客さまにうまく活用していただければうれしいですね」とほほ笑みます。

#chapter2

「世代を超えてモノをつなぎ、価値あるモノを大切にする」。その価値観を伝えていきたい

まるいの歴史は古く、創業は1942年。江盛さんの曽祖父が中国・大連で質屋を開業したのが始まりでした。戦後、日本に引き揚げてからも、江盛さんの祖父、父とその歴史は引き継がれ、2005年には江盛さんが入社しました。

「父はすでに亡くなっていたので、鑑定の仕事は実践しながら覚えていきました。最初は相場が分からず、失敗することも。でもそのとき悔しい思いをしたからこそ、もっと勉強してやろうと頑張ることができたように思います。その経験が今の自分の力になっています」と話す江盛さん。

2017年には段原本店をオープン。和モダンで居心地のいい空間もさることながら、同時にリニューアルした花のようなロゴマークもとても印象的です。

「まるいが大切にしていることを五つの円=ご縁で表現しました。質屋を利用する『人』、商いの道具である『品物』と『お金』、お客さまにとって居心地のいい『場所』、そしてそれらは全て大切な『ご縁』でつながっているという思い。花のようにも見えるモチーフは、この五つの円=ご縁をつなぎたいという願いも込めています。花がどんどん大きく咲いていくように、お客さまとのご縁をつなぎながら、お店も一緒に成長していきたいですね」

質屋の仕事を通じて、「世代を超えてモノをつなぎ、価値あるモノを大切にするという価値観を伝えていきたい」と力強く話す江盛さん。これまでの歴史を守りながら、しっかりと未来を見据えます。

江盛新悟 えもりしんご

#chapter3

今年6月、本店横にギャラリー「Ito -tsunagu en- 」をオープン。新しい歴史をつむぐ

「これまでの質屋は、ちょっと怖い、暗いイメージで、入りづらいという方も多かったと思います。そのイメージを、まずは店構えから変えていきたいと思って始めたのが段原本店でした。さらに今年6月には、新たな試みとして本店横にギャラリーもオープンしました。いろいろな人が気軽に集まれる、そんな場所として使っていただけたらうれしいですね」と話す江盛さん。

ギャラリーの名前は「Ito -tsunagu en- (糸 -繋ぐ縁- )」。まるいならではの価値のある品物の展示販売をはじめ、お客さまの品物を査定する査定会、作家さんの個展などを企画。加えてレンタルスペースとして、さまざまな教室にも使われるなど、「気軽に人が集まれる場所」として、徐々にその存在感を高めています。

「ギャラリーの名前には、人と人、モノ、場所…など、いろいろなご縁を繋ぎ、たくさんの笑顔が生まれる場所にしたいとの思いを込めました。ここに来て、初めて質屋の仕事を知ったという方もいらっしゃいます。今までの質屋は入りづらいという固定概念を覆し、気軽に利用できる、新しい質屋のイメージを作っていきたいですね」

今回、江盛さんの話を聞いて、質屋は質預かり(融資)、買取、販売と、意外なほど私たちの暮らしに身近なお店だと感じました。一時的にお金が必要になったとき、宝石や時計などが不要になったとき、さらには良いものを賢く買いたいときなど、もっと気軽に質屋を利用してみませんか?

(取材年月:2020年9月)

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江盛新悟

宝石・時計鑑定のプロ

江盛新悟プロ

質屋

株式会社まるい

質屋として長年に渡り広島の中心地「八丁堀」で宝石・高級時計・ブランド品を中心に取り扱ってきました。どのようなお品物でも市場における価値を見極めた上で、常に公平で一貫性のある鑑定を心掛けてます。

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