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子どもの笑顔を取り戻す。信頼と実績の発達支援。

教育・福祉・社会をつなぐ発達障害者支援のプロ

竹内吉和

プロフィール

#chapter1

豊かな経験を基に、2000人以上の支援に携わった発達障害の専門家

 「近年、発達障害や自閉スペクトラム症、学習障害といった用語が広く知られるようになった一方、表面的な行動だけでは診断が難しいケースもあります。乳幼児や学童期の子どもだけでなく、『対人関係がうまくいかない』『学習や仕事で成果が出ない』『トラブルが絶えない』といった大人になってからの生きづらさの背景にも、脳の働き方の特性が影響している可能性があると考えられています」

 そう話すのは、中学校等の教員経験を経て、乳幼児保育教育支援センターアドバイザー、スクールカウンセラー、法務省地方更生保護委員会委員、専門学校、短大、大学の教員を務めるなど豊富な経験を持つ竹内吉和さん。
2014年に「竹内発達支援Co.」を設立し、日々、教育や就労の場の課題に即した対応策を組織や当事者とともに検討し、より専門的かつ多角的な支援に取り組んでいます。

 発達に不安を抱える子どもの保護者はもちろん、仕事や家庭生活で生きづらさを感じている人やその家族など、0歳から成人までの幅広い立場の人から寄せられる声に丁寧に耳を傾け、課題解決の糸口を探ります。

 また、現場で発達支援に携わる教員に対して専門的な指導を行う特別支援教育士スーパーバイザーとしても活動。教員や福祉施設職員、企業の雇用担当スタッフに向けて、発達特性への理解や支援の方法、組織内での関わり方などについて、具体的な事例に対する助言や提案を行うコンサルテーションを実施しています。個別の支援は年間200人、これまでの10年間で2000人以上の支援に携わっています

 講演活動や各種講座、動画配信、執筆などを通して、発達障害や子育て、誰もが自分らしく生きるためのヒントを発信し続けています。

#chapter2

問題行動と発達障害の関連性に気づき、教育現場の枠を超えた支援にシフト

 問題行動と発達障害の関連性に気づいたのは、竹内さんが中学校の数学教員として勤務していた頃のこと。繰り返し問題行動を起こす生徒の指導に手詰まりを感じ、「行動の背景にある理由に向き合う必要があるのではないか」と思い至りました。
 本質を見極めたいとの思いから、脳機能の特性を学びつつ、当時の養護学校への異動を志願。勤務5年目の2005年には、ようやく国も個別の教育支援や指導計画の導入に動きはじめます。

 「発達障害も支援の対象に含めるなど、多様なニーズに応え、共に学ぶことを重視した特別支援教育へと大きく舵を切ったのです。支援体制を整備するにあたって、現状を知る私にも声がかかり、行政側に籍を移して支援機関の再編成や地域の巡回支援などに携わることになりました」

 その後、再び現場に戻るものの、「教育現場の枠を超えて支援の輪を広げたい」と独立を決意。立ち止まることなく、臨床心理士のスキルを身に付けるため大学院にも入学するほどの徹底ぶりは、家族からも「子どもより教育費がかかる」と呆れられるほどとか。

 教員時代には家庭裁判所に通う中で、公的制度も活用して大学院で法律を学び直すなど、知識を積み上げてきた竹内さん。「省みれば、気になることがあるとどこまでも突き詰めずにはいられない傾向があるようです」と自己分析します。

 「そもそも考え方の傾向やこだわり、癖などは誰にもあるものです。人と違う部分があるからこそ魅力的だったり、特別な存在だったりするのではないでしょうか」

#chapter3

一人一人の自分らしい生き方と社会全体の幸せのために、「今できること」にこだわり続ける

 竹内さんの支援は教育の場だけにとどまらず、一般の企業や組織など就労の場にも及びます。

 障害者雇用センターやハローワークなどの公的機関のほか、企業の人事責任者などの相談を受け、実際の就労現場へ足を運び、生の声を受け止めています。

 「どの業界でも人材不足は深刻です。就労した本人へのサポートだけでなく、雇用主や現場担当者など直接関わる人に向けて、実際に働く作業空間に即した支援を行います。例えば、棚の配置方法や手順表の掲示の仕方、休憩時間の過ごし方を工夫するなど、できるだけ細かく具体的にお伝えして工夫を凝らし、誰もが心地よく働ける職場づくりをお手伝いしています」

 その時々で自分にできることを見つけ、学びを重ねてきた竹内さん。もう一つのライフワークとして取り組むのが、広島の被爆者の声を聞き取り、未来へ残す「伝承者」の役割です。

 「時代の証言者による生の声を記録できるタイムリミットが迫っています。被爆者が語る『戦争の記憶』や『平和への思い』を未来に繋ぎたいと思っています」

 竹内さんは、一人一人が自分らしく生きるために、本人だけでなく周りの認識や環境を整えることで支えると同時に、平和や人権といった、社会全体の幸せのために欠くことのできないものにも、心を寄せてこだわり続けています。

(取材年月:2025年7月)

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専門家プロフィール

竹内吉和

教育・福祉・社会をつなぐ発達障害者支援のプロ

竹内吉和プロ

公認心理師

竹内発達支援Co.(タケウチハッタツシエンコーポレーション)

小中高校、特別支援学校、大学等での教員経験から発達特性と行動の関係性に着目。現在の特別支援教育の制度設計にも着手。個別最適な支援を提案し、0歳から成人までを視野に入れた末永いサポートを実践。

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