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専門性や工数を要する測定業務を引き受け、ものづくり企業の成長を支援

品質管理の工数不足を補う計測のプロ

佐々木偉全

佐々木偉全 ささきたけはる
佐々木偉全 ささきたけはる

#chapter1

新製品でも臨機応変に測定し、スピード感ある対応で顧客の利益確保に貢献

 ものづくりにおいて図面通り製品ができあがっているかを確認することは、時間を要する上に専門人材も必要です。「お客さまがコア業務に集中できるよう、測定・計測を一手に引き受けます」と話すのは、「TS測定」代表の佐々木偉全さん。精密寸法測定やデータ作成などを手掛け、協力会社との連携で素材・工法を問わず受託しています。

 「近年、エンドユーザーの品質への関心が高まり、要求されるレベルも上がる一方です。検査回数が増えたり、検査成績書のボリュームが膨らんだり、製品単価はそのままで工数ばかり増えているのです。人材育成も一朝一夕にはいかず、外部にアウトソーシングする流れは加速すると考えています」

 機械検査に関する国家資格を有し、品質管理(QC)検定の合格実績も持つ佐々木さんは、新規製品でも測定理論を適切に構築できるのが強み。製造ラインを立ち上げた際や、レギュラー品以外にも臨機応変に応じています。

 通常約1カ月かかる工程を5日に短縮するなどスピード感にこだわるのも特長で、自動車メーカーやサプライヤーで働いた経験が影響していると言います。

 「多くのものづくり企業では良品を安定的に供給することが求められており、とりわけ金型を使用する製造業では、寸法合格が出た更新金型を適切なタイミングで現場に渡すことが利益確保につながります。劣化して耐用ショット数が増えた金型を引き続き使っていると、バリ取りなどの手間がかかるだけでなく、メンテナンスの費用もかかり、企業にとって大きな損失です。高品質と短納期により、お客さまの利益確保をお手伝いしたいと思っています」

#chapter2

測定のほか、自動化プログラムの作製や不良品解析、新製品開発も支援

 「私が主に使用している三次元測定機は、国内トップシェアを誇るミツトヨ製。空間上のXYZの3方向の座標を検出し、対象物の形や大きさを正確に捉えます。熱による膨張で長さや体積が変化しないよう、測定室の温度は常に摂氏20度前後に保っているんですよ」

 佐々木さんが受ける依頼で多いのは、自動車の部品として使われるアルミダイカストや切削加工品・樹脂部品。クライアントからは「社内のキャパシティーがオーバーしており、急ぎ委託先を探していたので迅速に対応してくれて助かった」「データを詳細に解析してもらい、新製品開発の原動力になった」など、感謝の声が寄せられているそう。

 「当方では、お客さまの製品に合わせた自動測定プログラムの作製も承ります。ご要望があれば、設備への実装や作業者さんに使用方法などもレクチャーし、修正点についても随時お伺いしてアフターフォローもいたします」

 製品のどこに不具合があるかを調べる不良品解析も実施。秘密保持契約を結んだ協力企業とタイアップして、非破壊検査であるCT測定を実施し、複数の部品から成り立つ複雑な構造も分解することなく原因を特定することが可能です。

 「また当方の技術を活用して新製品の開発もサポートしており、最近では精度の高い接触測定が困難とされる製品の測定を請け負っています。元々この業界では金型寸法などの設計品質が重視される傾向にあるのですが、出来栄え寸法の概念を新たに導入することで、金型寸法などの製造工程の金型とのギャップを小さくすることや最良条件パターンによる製品開発や量産における同業者との差別化が図れると期待しています」

佐々木偉全 ささきたけはる

#chapter3

測定の省人化、自動化で雇用を創出し、誰も取り残さない持続可能な社会に

 佐々木さんはトヨタ自動車でミニバンやSUVの組み立てに従事したほか、プレス工場で自動車部品の製造に携わるなど、自動車産業に長く身を置いてきました。
 「学生時代からラジコンなどの模型が好きで、おもちゃ店でアルバイトしながらミニ四駆をカスタマイズして、店頭に飾ったりしていました」

 測定に本格的に取り組んだのは、10年間勤めた前職のアルミダイカストの会社です。
 「プレス工場で測定器を触っていたというのを品質管理課の課長が聞き付けたらしく、週末に呼び出され『来週からお願いね』と。そこから外観検査や金型測定、検査業務全般の管理などを行いました」

 培った技術でさまざまな企業の労働力不足を補い、属人的で難しい仕事を標準化することで社会に貢献したいと考え2023年に開業。リピートや顧客からの紹介により、着実に得意先を増やしています。

 ノウハウの共有にも注力し、技能講習で指導役を務め、ものづくり関連の企業から直接用命されたり、測定器メーカーから相談を受けたり多方面に赴きます。

 「測定に関わる全てを幸せに」を企業理念に掲げる佐々木さん。企業発展と地域活性化を陰に日なたに支えていきたいと語ります。

 「測定の省人化、自動化が進むことは、新規受注枠の確保につながるだけでなく、専門的なスキルや知識がない多様な人材を受け入れることにつながります。障がいのある人の雇用や女性の社会進出が増えることで、誰一人取り残さない持続可能な社会が実現すると信じています」

(取材年月:2024年8月)

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専門家プロフィール

佐々木偉全

品質管理の工数不足を補う計測のプロ

佐々木偉全プロ

受託寸法測定

株式会社TS測定

三次元測定機などの精密寸法測定機器を使った測定や自動測定プログラムの作成を受託。新製品、新しい製造ラインにも臨機応変に対応します。製造業での勤務経験から短納期を実現し、依頼者の利益確保に貢献します。

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