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1932年創業、3代にわたる確かな技術で建物を雨風から守る

工場・倉庫の操業を止めずに屋根を改修するプロ

豊田守

豊田守 とよだまもる
豊田守 とよだまもる

#chapter1

工場・倉庫の操業を止めず、屋根に改修工事を施すノウハウが強み

 「工場や倉庫の屋根をメンテナンスしたいけれど、製造ラインを止めたくないという事業者さまも多いでしょう。しかし、劣化が進むと美観を損ねるだけでなく、雨漏りなどの原因にもなりますので、気になる箇所があれば早めに対処することをおすすめします。弊社は、操業を続けていただきながら施工するノウハウを備えております」

 そう語るのは、岐阜市を中心に東海エリアで屋根や外装の改修工事を手掛ける「トヨダ工業」代表取締役の豊田守さん。一般的な建築物とは工法などが異なる、工場や倉庫の雨漏り修理に専門性を発揮しています。

 「工場や倉庫の屋根は高くて奥行きがあり、状況を確認するのが難しいんです。また『スレート』という粘板岩の薄板が多く使われ、年月を経過したものは衝撃や重量に弱いため、人が乗ると割れてしまう恐れもあります。材質にアスベストが含まれているため繊維を飛散させないよう、事前調査に基づき適切に処置することが求められます」

 既存建物の改修工事は、さら地に一から組み上げる新築工事と比べて制限を受けます。「内部は稼働しているので、資材を運び上げるクレーン車は、出荷が少ない週末に使用するなど配慮します。最も神経を使うのは工期中の雨漏り。切断したり穴を開けたりといった作業が伴いますので、天気予報を確認しながら工程の計画を立てています」

 依頼主と綿密な調整をして、関係者に周知するなど手間がかかりますが、「業務に支障を及ぼし、ご迷惑をおかけすることがないよう細心の注意を払います」と力を込めます。

#chapter2

きつい・汚い・危険の「3K」と思っていた仕事に誇りを持つように

 「トヨダ工業」は、1932年に豊田さんの祖父が設立。3代目である豊田さんは、祖父から「事業を継いでくれ」と言われたことをきっかけに、20歳で建築板金の世界に入りました。

 「他にしたいことがなかったというのが正直なところです。祖父や父の話を耳にすることはありましたが、興味がなかったので素人同然です。現場に行ったこともなく、安易に考えていましたね」

 就職した1980年代は、高度経済成長時代の余韻が残り、高校の学友たちは企業勤めをすべく大学や専門学校に進みました。
 「われわれの業界は、きつい・汚い・危険のいわゆる『3K』。泥だらけの姿を見られるのが恥ずかしくて、同級生が通りかかると身を隠してしまいました」

 半ば「家業だから仕方なく」という気持ちでしたが、阪神・淡路大震災の復興支援に携わったのを機に心境が変化します。
 「現地に赴くと、倒壊しかかった家が一面に広がっていました。なんとか雨風をしのごうと、ご主人らが屋根に上ってブルーシートを貼ろうとしているんです。私たちプロから見たら危なっかしい光景にひやひやしました」

 手際よく屋根を直す豊田さんに被災地の人たちは拝むように手を合わせ、お礼を述べたそうです。

 「涙を浮かべて喜んでくださる姿を目にして、自分は、人が生きるうえで欠くことができない『衣食住』という尊い営みを担っているのだと知ったんです。劣等感ばかりでしたが、この経験が自分の仕事に誇りとやりがいを持たせてくれました」

豊田守 とよだまもる

#chapter3

「温故知新」の心を大切に、新しい技術を取り入れながら職人技を伝えていきたい

 2022年に創業90周年を迎え、歴史を刻む同社。豊田さんは、屋根改修に用いる建材がブリキからトタン、ガリバリウムというサビに強い金属板に変わったり、始終、充電式ドライバーが使えるようになったりしたことで、ネジ締めが楽になるなど進歩の過程を見てきました。最近は、足場を組んで屋根に上がらずとも、ドローンによる調査が可能になりました。

 現場が好きで、今でも足を運ぶ豊田さんが心に留めているのが、古きをたずねて新しきを知る「温故知新」。便利な新技術を導入しつつ、「祖父や父親が培ってきた職人技の良さも伝えていきたい」と話します。

 工事の規模が大きくなると仲介業者とのやり取りが中心で、顧客との接点がなくなります。職人たちの士気を高めるためにも、ねぎらいの言葉をかけるようにしているとか。
 「お客さまから感謝されたり、褒めていただいたりすると励みになります。人はお互いにたたえ合い、認めることが大事ですから。業界全体のモチベーションアップにもつなげていきたいですね」と笑顔を見せます。

 近年、ゲリラ豪雨と呼ばれる異常気象が頻発する中、新たな問題が発生しています。許容量を超える雨水を処理できず、工場内に排水があふれてしまうのです。

 「屋根は自然環境の影響を一番受ける場所ですが、普段は忘れられている、いわば『縁の下の力持ち』です。ダメージを受けて初めてその大切さに気づくのも無理ないですが、少しでも異変を感じたら、私どものような専門家に相談してください。お客さまの状況に応じた解決策をご提案します」

(取材年月:2022年6月)

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豊田守

工場・倉庫の操業を止めずに屋根を改修するプロ

豊田守プロ

工場・倉庫の屋根、外装改修

有限会社トヨダ工業

創業90周年を迎える会社の3代目として、職人技と新技術を融合させた工法で顧客ニーズに応える。住宅や一般建築物と異なる工場・倉庫の屋根改修において、専門的な知識と技術を有し、多数の工事実績がある。

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