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Mybestpro Interview

ITの価値を社会や生活の中に浸透させ、明るい未来へ導く

ITの価値を企業・社会・個人にあまねく拡げるプロ

井上研一

井上さんと男性1人
パン屋さん店頭

#chapter1

店舗の状況を工場、本社とリアルタイムで共有する「IoTハカリ〝焼くッチャくん″」が創業のきっかけ

 企業成長のために、IT技術が欠かせない昨今。各業界で注目を集めているのが、さまざまなモノをインターネットでつなぎ情報を共有するIoT(モノのインターネット技術)や、計算やデータ処理能力にたけたAI(人工知能)です。

 業務の効率化や合理化を目指す事業者から寄せられる「自社に適している技術は?」「システムで何ができるのか」といった疑問に応えているのが、ITコーディネータの井上研一さんが代表を務める「ビビンコ」です

 同社が開発・運用を行っているIoTの1つが、創業のきっかけにもなったIoTハカリ「焼くッチャくん」。北九州市が主催するビジネスコンテスト「北九州でIoT」に、井上さんを含む異業種の経営者4人で応募したモデルが、そのまま製パン企業に採用されたものです。
 店舗と、製造工場や本社をIoTで結び、リアルタイムで販売状況のデータを共有、さらに蓄積したデータの活用を進めることで経費削減、売り上げアップにつなげています。

 ビジコン第2弾では「健康を考えるシステムキッチン」をテーマに提案した家庭での調味料残量や消費量を可視化する「愛の目盛(メモリー)」が採択され、さらに、ビジコンで出合った企業を支援する形で口腔画像からその健康状態を画像認識AIでチェックできるシステムと、さまざまな分野で実用化に向けた実証実験が進んでいます。

 「システムの発案者は、どれも私以外のメンバーです。私は、ニーズとアイデアをどのようにマッチングさせるか、導入にあたってどのようなプロセスで進めるかなどの調整から、実際の開発・導入で手を動かす役割を担ったに過ぎません。唯一ひらめいたことと言えば、ビジネスモデルが採択され、4人で法人化する際に『社名をビビンコにしよう』と決めたこと。これだけなんですよ」と笑います。

#chapter2

ITコーディネータとして企業の悩みに向き合い、解決策を提案できることが喜び

 20代で北九州市から上京し、プログラマーやSE(システムエンジニア)として経験を積む中で、仕事で関わる業界や分野について探究する習慣を身につけた井上さん。事業を立ち上げてからも、その知識欲は収まらず、講師業や執筆のかたわら勉強会や異業種交流に参加してきました。

 「知識や情報を得るだけでなく人との出会いや言葉の中に多くのヒントがあるんです」その最たるものが、東京時代にある勉強会で同社の創業メンバーと巡り合ったこと。また同時期、自身の著書を通じて北九州市の産業振興担当者とつながったことが、井上さんを故郷へと導きました。

 会社員時代は自分が携わった仕事が、社会のどの場面で役に立っているのかが見えず物足りなかったことから、会社勤めを辞め、一時期は法律家を志したことも。
 「今は、当社が開発したシステムが『売り上げに貢献した』とか、『業務の効率が上がった』といった声を直接聞くことができ、この上ない喜びを感じています。『困っている人を助けたい、悩みに応えたい』という望みがようやく満たされた気がします」

 同社は、IT技術が十分に活用できていない地方の中小企業や個人商店などの支援事業に参画。井上さんがITの専門家としてサポートにあたっています。

 「『ビビンコ』は北九州の方言で肩車のこと。ITは、あらゆることがうまく機能するために縁の下で支えるような道具ですから」と井上さん。

井上さんデスク

#chapter3

世の中をより高い目線で見渡せるよう、企業や青少年にとっての力強い〝ビビンコ(肩車)″に

 「『先進技術などには縁がない』と思い込んでいる業種や小規模の事業所ほど、最新テクノロジーを「スモールスタートで生かせるフィールド」であり、「IT技術を適切に活用するためにも、専門知識を備えた技術の使い手を育てる必要がある」と話す井上さん。

 「ITの価値を遍く(あまねく)拡げる」をスローガンに掲げ、日々移り変わるITトレンド(AI・IoT・DX)のセミナーや研修を開催するほか、 初心者向けプログラミングスクール、IT技術者の育成と教育事業にも取り組んでいます。

 「特に、将来や生き方に悩んでいる若い世代には、伝えたいことがたくさんあります。というのも、私自身、地元で進むべき道に迷っていた経験があります。うまくいかないときこそ、ジタバタと動き回ることが大切。そしていろんなことに関心を持ち、とにかく考えを表に出してみる。そこから自分の進むべき道筋が見えてくるはずです」

 例えばITの世界でも、要求されたものを仕様書に基づき忠実に仕上げる仕事もあれば、経営者とともにアイデアを出し提案しながら作り上げるITコーディネータのような仕事もあります。可能性に満ちあふれたこの分野に興味を持つ青少年が増えれば、これからの北九州地域にとっても明るい展望となるでしょう」

 「ビビンコ=肩車」によって少し高い目線で世の中を見渡し、遠くの景色まで見通すことができるよう力を尽くす井上さんです。

(取材年月:2021年5月)

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専門家プロフィール

井上研一

ITの価値を企業・社会・個人にあまねく拡げるプロ

井上研一プロ

ITコーディネータ

株式会社ビビンコ

地方の中小企業が抱える具体的な悩みを直接解決へ導くため、身近なIT利活用からAI・IoT導入までをサポート。最新技術の使い手を育てる教育の分野にも注力し、ITトレンドの知識と価値を広げる活動を進める。

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