一人一人の希望に寄り添い、高齢者の在宅生活を支援するプロ
大内田省治
Mybestpro Interview
一人一人の希望に寄り添い、高齢者の在宅生活を支援するプロ
大内田省治
#chapter1
「ケアプランで幸せ届けます」をモットーに、福岡県京都郡苅田町で高齢者の在宅生活をサポートする居宅介護支援事業所「ケアプランセンターはぴるす」。代表の大内田省治さんをはじめとするケアマネジャー(介護支援専門員)が、介護サービスを受けるために必要な「要介護認定」の申請代行や、ケアプラン(居宅サービス計画書)の作成などを行っています。
「デイサービスやヘルパーステーションなどを併設していない独立型の事業所なので、公正中立な立場で、ご本人やご家族の希望に沿った提案をいたします」と大内田さん。サービス提供事業者への連絡や調整を担うほか、その後も利用者宅を定期的に訪問し、見守りを続けます。
「私たちケアマネジャーは、在宅での生活を望む利用者やそのご家族にとって、最後のとりでです。『介護保険以外のことはお手伝いできない』と切り捨てるのではなく、まずはお話を伺い、できる限り力になりたいと思っています」
そう語る大内田さんのもとには、「家の中に手すりを付けたい」や「自分で家事をするのが大変」など、さまざまな声が寄せられます。最近、増えているのが「終活」にまつわることだとか。つい先日も一人暮らしの高齢者から、お墓について相談がありました。
「詳しく事情を聞いた上で専門の業者につなぎ、解決の糸口を見付けることができました。近年は価値観やライフスタイルが多様化しています。私たちケアマネジャーにも一人一人の生き方や考え方に配慮しながら、柔軟に対応していくスキルが求められていると感じています」
#chapter2
厚生労働省は、1940年代後半に生まれた団塊の世代が75歳以上となる2025年をめどに、医療・介護・予防・住まい・生活支援を一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の実現を提唱しています。
要介護の状態になっても、住み慣れた場所で自分らしく過ごせるよう、社会参加を促したり、住環境を整備したり、「地域が一体となって高齢者の暮らしを支える」という考え方ですが、介護の実情を目の当たりにしてきた大内田さんは、「まだ十分ではない」と指摘します。
「これまでの画一化された介護保険制度では、カバーできない問題も目立ってきました。例えば、未婚や子どものいない高齢者の介護や相続などの問題です。また、『子どもには迷惑をかけたくない』という人もいます。誰もが自分の望む最後を迎えられるよう、いろいろな立場の人が協力し、支え合っていかなくてはなりません」
業界・職種を問わず連携していくことが重要であるという考えのもと、北九州市の異業種交流会にも積極的に顔を出す大内田さん。地元の中小企業経営者らが集まる「守成クラブ北九州」では副代表を務め、各分野の専門家、事業者とのネットワークを広げてきました。
「介護の現場では人手不足が慢性化し、日々の業務に追われてしまっているのも事実です。それでも、いろいろな立場の人が知恵を出し合うことで、より良い形で高齢者の暮らしを支えていけるはず。全国に先駆け、モデルケースを示していけたらいいですね。また、それは地域活性化にもつながると信じています」
#chapter3
大内田さんは、2014年に「はぴるす」を設立するまで、通所型や訪問型の介護事業所、介護付有料老人ホームなどに勤務していました。さまざまな現場を経験するうち、在宅支援に興味を持つようになり、2011年にケアマネジャーの資格を取得。高齢者優良賃貸住宅の立ち上げなどに携わります。
「さまざまな制約から、本当の意味で利用者さんの立場に立った支援ができず、悔しい思いをする場面もありました。次第に、『本人の自己選択と自己決定を尊重したケアマネジメントをしたい』という気持ちが強くなり、独立を決意したんです」
開業時の利用者は30人程度でしたが、現在は170人を超える利用者を抱えています。ケアマネジャーも4人に増え、広いエリアをカバーできるようになりました。
「自分自身が満たされていないと、利用者さんの幸せをかなえることはできない」と大内田さん。ケアマネジャーの働き方にも気を配り、LINEなどを活用して相談に乗ることも。さらに、ケアマネジャーを目指す人に向けて、試験対策講座も無料で行っています。
自らが理想とする支援を実現するため、奮闘してきた大内田さん。現状に満足することなく、常に「次の一手」を考えていると言います。
「介護と仕事の両立を後押しする資格『ワークサポートケアマネジャー』の取得や、東南アジアでの事業展開も視野に入れています。1人でも多くの人が最後まで自分らしい暮らしを送り、『いい人生だった』と言えるような社会をつくるため、これからも走り続けます」
(取材年月:2022年10月)
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Profile
一人一人の希望に寄り添い、高齢者の在宅生活を支援するプロ
大内田省治プロ
ケアマネジャー(介護支援専門員)
ケアプランセンターはぴるす
「ケアプランで幸せ届けます」をモットーに、高齢者の在宅生活を支援する居宅介護支援事業所「ケアプランセンターはぴるす」を運営。公正中立な立場で、利用者や家族の希望に寄り添ったサービスを提案している。
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