不動産を見るプロ
田中健
Mybestpro Interview
不動産を見るプロ
田中健
#chapter1
かつて、経済が右肩上がりの時代には、土地を更地で所有することが一番とされていました。下手に利用してリスクを背負うより、ただ所有して確実とされた地価の上昇をじっと待つことが得策とされていたのです。ところが、マイナス、あるいは低成長の時代に突入した今日では、逆に、何も考えずに不動産を所有していることは損をする結果を招くとされています。
適正な不動産の価格を導くことのできる唯一の公的資格者である不動産鑑定士の田中健さんは、1980(昭和55)年に株式会社ケンホームズを創業。以来、30年もの長い期間、刻々と変化する愛媛の不動産マーケットを見続け、地域の環境や社会情勢などさまざまな条件を的確に分析して、不動産の公正な価値(Fair Value)をあらゆる角度から追求、適正な不動産評価を行って、多くの公共工事や大規模な開発事業のスムーズな完成をサポートしてきました。まさに愛媛の不動産の生き字引と言ってもよい存在です。田中さんがあらゆる条件を吟味して、公正な価値を追求して導き出した鑑定評価によって、無用な利害の対立が回避され、公共事業用地の適正な価格での取得や、多くの企業の経済活動がスムーズに実現されてきました。
#chapter2
田中さんは、自身が30年かけて蓄えてきた愛媛の不動産についての経験と知識、情報が、官庁や大企業だけでなく、一般の人々にとっても必要な時代が来たと確信しています。
「ある人が土地を持っているとします。その土地をどうしたらよいのか考える場合も、その土地の公正な価値が分からなければ、正しい方針を決めることはできません。家族の状況、将来の予定によって、売った方がよいのか、何か建てた方がよいのか。売るにしても今がよいのか、あるいは5年後がよいのか。すぐ売ってお金に変えるという考え方もありますが、後でしまったと思ったり、知らなくて損をしたりということがよくあります。
デベロッパーに相談すれば、開発分譲が前提となるでしょう。しかし、私たちは、売る、買う、開発して分譲するというお互いの立場の利益の均衡をきちんと見極めた公正な観点からシミュレーションを行い、実現可能で最も所有者に有利な方針を提案します。先に仕事ありきという提案はしません。それがフェア・バリューの考え方です」
田中さんは、これからは一般の人々に、自分が培ってきた知識と経験をどんどん還元したいと考えています。「最初は、相談するとお金が高いのではないかとか、忙しくて連絡がつかないのではないかなどと、敬遠されることもあります。確かに最初から計画案だけを求められた場合などでは、シミュレーションを書面にすれば実費はいただきます。しかし、それだけのメリットは十分にあります」
特に景気が下向きになっている時は、売るにしても買うにしても、単に高い安いだけでは判断を誤ることが多いと田中さんは指摘します。仮に買い値が市価より高くとも、今買った方がよい結果を生む場合もあるし、仮に市価の半値であっても、今売った方がよい場合もあるそうです。「そういうアドバイスをきちんとできるのは、われわれのように何十年も愛媛の土地を見ている者だけ」だと田中さんは自負しています。
#chapter3
田中さんがケンホームズを創業して30年がたちました。ケンホームズは、不動産鑑定士だけでなく、一級建築士や、公的資格を持った補償業務の専門家も擁する少数精鋭のプロ集団として成長。不動産の活用をあらゆる角度から検討し、フェア・バリューの観点に立って提案、実現しています。
田中さんは、大学を卒業して就職するときに、周囲を見回して一番価値の高いものは何かと考えたそうです。車より、何よりも不動産だということで、不動産の仕事を目指しました。当時は田中角栄首相の列島改造論華やかなりしころで、デベロッパーの初任給が高い時代でした。しかし、田中さんは給料よりも「不動産鑑定」という言葉に魅力を感じ、大学を卒業した後、会計事務所の不動産鑑定部に就職しました。田中さんは骨身を惜しまずに働きながら難関の不動産鑑定士を目指し、合格した後松山に帰郷、独立してケンホームズを創業しました。
田中さんの仕事の成果である、3200件を超える鑑定評価書には、愛媛の不動産の歴史がぎっしりと詰まっています。主要道路の供用、工業団地、公園、住宅団地などの建設から、内子の町並み保存や古建築の復元まで。田中さんは忙しい日々の中で、不動産の変化という視点から見た愛媛の歴史を綴(つづ)ることをライフワークとして、いつか完成させたいと思っています。
(取材:2010年2月)
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不動産鑑定士
株式会社ケンホームズ
遺産分割のお悩み解決を目的とした「調査・提案」に多くの支持が集まっています。
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