中小企業の人事労務問題を解決する社会保険労務士
渡邉勉
Mybestpro Interview
中小企業の人事労務問題を解決する社会保険労務士
渡邉勉
#chapter1
千葉県市川市にある渡邉社会保険労務士事務所。所長の渡邉勉さんは、市川、浦安、船橋を中心に中小企業・中堅企業の人事労務管理をサポートする社会保険労務士です。企業の人事労務問題の解決において要となるのが「就業規則」です。「就業規則とは『職場の憲法』。経営者と従業員の両方を守ってくれる、大切なものです」と渡邉さんは語ります。
常時10人以上の労働者を使用する起業は就業規則を作成し、労働基準監督署長に届け出ることが義務となっています。しかし、就業規則の重要を認識していない企業の場合、実情に合わないひな形をそのまま使っていたり、作成したものの従業員が周知していなかったりすることも多いそうです。
最近はネットやテレビなどの情報により、従業員は自分たちの権利について豊富な知識を持っています。しかし、経営者側が理解していない場合に働き方や条件に意識のズレが生まれ、トラブルになることも。そうした意識のズレを解消するのが、就業規則なのです。
渡邉さんは、労働基準法の最低基準を基に、話し合いを重ねながらそれぞれの企業の状況に合わせた就業規則を作成します。時には、従業員も交えて話し合いをすることもあるそうです。「職場の憲法を経営者だけの秘密にするのではなく、一緒につくり上げることで信頼関係が増します。経営者と従業員の双方がより納得できる就業規則を作ることができるのです」
就業規則は一度作ったら、それで終わりではありません。法律改正の時期や時代の流れに合わせ、その都度見直すことが必要です。常に最良の就業規則は、従業員も経営者も安心して働き続けることができる職場をつくってくれます。
#chapter2
就業規則があれば100%問題が起らないということはありません。それでも、問題を最小限に抑え、トラブルに対応する時間や労力を小さくすることができます。最近の労働相談のトップは「いじめ・ハラスメント」。特にパワハラ(パワーハラスメント)が大きな問題になっています。
中小企業の経営者は、強いリーダーシップを持った方が多いのですが、一歩間違えると「ワンマン社長」になってしまうことも。パワハラで不満を持った従業員が集まって会社批判を行うことで、社内の秩序が乱れるなど、問題が広がることもあります。だからといってパワハラを気にしていると、従業員を怒ることができず、それも秩序の乱れにつながる恐れもあります。渡邉さんは、どんな接し方や怒り方がパワハラになるのか、具体的にアドバイス。経営者も従業員もイヤな思いをすることなく、士気を高める方法を伝えます。
次に多い問題が「解雇」です。「解雇という事態になる前に、遅刻や欠勤、問題行動が出ているものです。その度に注意や始末書を書かせるなど指導を行います。それでも改善しない場合に解雇という流れであれば、従業員側も納得しやすくなります」。どうしても従業員が納得できない場合は、渡邉さんが社会保険労務士の立場から就業規則に基づいて冷静に説明。お互いが合意の上で解雇という結論に至ることができるよう力を尽くします。
「人事労務問題で最も大切なことは、就業規則にのっとってきちんと対応することです。問題を起こす従業員を放置しておくと、他の従業員のモチベーションも下がってしまいます」と渡邉さん。そのためにも、始末書を提出する条件や解雇までの流れもきちんと明記した就業規則が必要不可欠です。
#chapter3
大学を卒業後、出版社の営業マンとして20年近く勤務していた渡邉さん。得意先の企業と接することを通し、中小企業の抱える問題や悩みなどを知るようになりました。40歳を迎えるころ、今後の人生は中小企業の力になれる社会保険労務士になることを決意。資格を取得し、1990年に渡邉社会保険労務士事務所を設立しました。
現在、千葉県社会保険労務士会の会長も務める渡邉さん。千葉県内の中小企業に社会保険労務士をもっと有効活用してほしいと考えています。「日常のこまごまとした人事労務について、気軽に相談できるのが社労士の役割。円滑な企業経営のためにも、すべての企業に社労士を積極的に利用してほしいですね」
社労士の必要性や活用方法を伝えるためにも、渡邉さんは定期的に年に3回のセミナーを開催。就業規則や実在賃金など、経営者にとって興味のあるテーマを取り上げています。
「経営が伸びている企業は、人事労務がうまく機能しています。そのためにも、しっかりとした就業規則をつくる必要があります」と渡邉さん。経営や人事労務について悩んでいる経営者の方こそ、まずは職場の憲法である就業規則をつくることからスタートするべきかもしれません。それぞれの会社に最適な就業規則をともに考えてくれる渡邉さんに相談してみてはいかがでしょうか。
(取材年月:2014年11月)
リンクをコピーしました
Profile
中小企業の人事労務問題を解決する社会保険労務士
渡邉勉プロ
社会保険労務士
渡邉社会保険労務士事務所
中小企業の人事労務問題を事前に防ぎ、問題が起っても最小限に抑える就業規則。経営者と従業員の両方を守る「職場の憲法」として、それぞれの企業に合わせた最適な就業規則の作成、見直しを提案する。
\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /
掲載専門家について
マイベストプロ千葉に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または朝日新聞が取材しています。[→審査基準]