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働く人の思いやメッセージを刺しゅうしたオリジナルユニフォームで、心を一つに

刺しゅう加工も手掛ける、オリジナルウエア製作の専門家

萩元武

萩元武 はぎもとたけし
萩元武 はぎもとたけし

#chapter1

ロゴやネーム、キャラクターなど多彩なデザインの刺しゅうに対応

 医師・看護師らが着用する「医療用スクラブ」。VネックのTシャツのように軽やかで親しみやすい雰囲気があり、動きやすいことから、医療現場で導入が進んでいます。

 「白一色だった医療業界に、紺やえんじなどの色が加わり、患者さんの緊張を和らげることができるようになりました。当方はロゴやネームなどを刺しゅうすることで、その病院らしい特色を打ち出し、イメージアップをお手伝いします」

 そう語るのは「アルファユニ」の代表・萩元武さん。医療用ユニフォームのスクラブやドクターコートを中心に、Tシャツ・ポロシャツ・スポーツウエア・ユニフォームの販売、デザイン制作およびオリジナル加工(刺しゅう・プリント)を手掛けています。

 「スクラブの魅力は豊富なカラーバリエーション。さらに胸や袖、背中といった位置に、診療科目のモチーフ、キャラクターやキャッチフレーズ、地域を象徴する名所のイラストなどを施すことができ

 もちろんデザイン作成にも対応し、4万円以上の注文なら無料のデザイン作成とアドバイスなどのサービスが受けられます。

 「厚みや伸縮性など素材の特徴に合わせたアプローチを見極める必要があります。当社は、創業時から培ってきた刺しゅうのノウハウで、自信をもってご希望のデザインをかなえます」

 絵や文字のバランス、線の太さなどを調整する際、「お客さまの言いなりにならないことも大切」とか。
 「『図柄がつぶれないようサイズを大きくしませんか』『縁取りするとシンボルマークが引き立ちます』など、求められる以上のことを提案する姿勢が喜ばれているのだと思います」

#chapter2

刺しゅうを施したユニフォームで一体感を高め、病院のブランディングにも貢献

 萩元さんがスクラブへの刺しゅうを思い付いたのは2008年頃。まだ日本に入ってきたばかりのスクラブは種類も少なく、他院との差別化という発想もありません。以前、オリジナルウエアの製造会社(アパレルメーカー)に勤め、オリジナルデザイン入りユニフォームが現場にもたらす一体感を感じてきたことから、医療業界でも有用ではないかと考えます。

 「医療用の制服は衛生処理が重要です。プリントでは強度の洗浄負荷に耐えられませんが、幾重にも糸を重ねる刺しゅうなら強度は申し分ない。高級感もあり、患者さんの心証も良くなります」

 狙い通り、刺しゅう入りスクラブはビジョンを表現することで士気を高め、病院のブランディング・患者との話題のきっかけにもなると評判に。その後、多くの業者が同様のサービスを始め定番化しますが、萩元さんらは先駆者として今も技術を磨き続けています。

 「現在のコンピューターミシンは、ソフトに画像を読み込ませれば自動で縫い方を設定しますが、その場合縫い目が単一で単調な印象になりやすいんです。当社では、さまざまなステッチ(縫い方)を組み合わせ、縫い目の方向や順番、幅まですべてマニュアルで1針ずつ設定。デザインに合わせて針や糸の太さを変えるなど、人間の目と手を介しデータを作ります。さらに採用されたスクラブとほぼ同じ厚さや伸縮性の生地に試し刺しゅうをし、微調整を加えて完成です」

 同社は創業時、一般的な刺しゅう工場にいる「職人」がいたわけではありません。細部まで密度が高く、立体的な刺しゅうは、萩元さんを中心とした社内スタッフが独学で導き出したもの。トライ&エラーの末に生まれた刺しゅうだからこそひときわ存在感を放つのです。

萩元武 はぎもとたけし

#chapter3

ロナ禍に、過酷な現場を支えるオリジナルユニフォームの真価を実感

 かねてより刺しゅう入りスクラブは現場のモチベーションアップに貢献すると考えていた萩元さん。士気の高まりを特に感じたのは、飛躍的に受注の伸びたコロナ禍だと振り返ります。

 「医療従事者が肉体的・精神的につらい中、『そろいのスクラブは心を一つにするツールになった』という声を多数いただきました」

 実際、診療科や研修医時代の仲間との思い出の品として注文されることが多いとか。絆の証であるウエア製作に携われることに萩元さんは誇りを感じていると言います。

 「医療機関に限らず、ユニフォームが過酷な業務や練習の励みとなるなら、これほどうれしいことはありません。必ず満足いただくものを作ろうと身が引き締まります」

 同社は刺しゅう技術を開発したり、ECサイトの利便性を上げたり、アメリカ生まれのブランドスクラブ「Koi」を入荷するなどさらなるサービスの向上に努めています。多様な素材への刺しゅうが可能で、取り扱い製品が多いのも強みと力を込めます。

 「多くの業界で刺しゅう入りのオリジナルウエア文化を根付かせていくことが目標で、特に介護業界に着目しています。訪問看護師のスクラブ、介護士のエプロンやポロシャツ、運転手の帽子やジャンパーなど、結束力が高めるものはたくさんあります。今後もチームの心をつなぎ、着る人の背筋が伸びるようなアイテムを提供していきたいですね」

(取材年月:2023年12月)

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専門家プロフィール

萩元武

刺しゅう加工も手掛ける、オリジナルウエア製作の専門家

萩元武プロ

オリジナルウエア販売

株式会社アルファユニ

医療用スクラブへの刺しゅう加工をいち早く始めたオリジナルウエア販売会社。美しい仕上がりは技術者の目と手で作られる刺しゅうデータで実現。一体感があり、現場の士気が上がるユニフォーム製作を手掛ける。

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