不動産の価値を引き出すプロ
鈴木泰雄
Mybestpro Interview
不動産の価値を引き出すプロ
鈴木泰雄
#chapter1
大学を卒業後、財団法人日本不動産研究所(当時)に入所し青森に赴任、その後、有限会社として現在の会社を興しました。27歳、思い切った開業です。それから30年余り、株式会社みちのく鑑定事務所代表取締役、鈴木泰雄さんは不動産の活用に関する案件を1万件以上取り扱ってきました。
不動産に関する情報の多くは、不動産業者から発信されます。店頭の張り紙、専門情報誌、インターネット不動産サイトなどが挙げられます。その価格や価値の算定基礎を導きだすのが、不動産鑑定士の業務の一つです。現在、県内には不動産鑑定事務所が21社あり、情報交換をしながら、客観的な価値を開示しています。そのほか、鈴木さんが主業務としているのは、個人や企業を問わず不動産に関する相談、コンサルティングです。不動産を購入したい・売りたい・借りたいなど、目的に合わせた取引を支援しています。
昨今のデフレ経済の中で特に多くの相談が寄せられるのは、企業が所有する不動産の価値を見直すことだそうです。多くは購入した当時よりも価値が下がっています。その価値を見直すことで、より正確な決算が見えてきます。欠損を埋めるために売却するべきか、売れるとしていくらの価値があるのか否か、次の企業姿勢が生まれてくるそうです。地元出身ではないことが逆に幸いし、中立で客観的な判断を導き出すことができるのかもしれません。
#chapter2
企業の継承、個人の財産分与、広い意味で相続に関連する不動産活用の相談が増えています。地方経済の世代交代、転換期なのかもしれないと、鈴木さんは言います。企業の場合は先代が購入した不動産を次代に手渡すとき、それがどれほどの価値を有しているのか、譲渡は有益なのかどうか、税務のことも考慮した客観的な意見を求められるそうです。個人の場合の多くは、不動産を次代でどのように分割することができるのかということ、身内だからこその問題が発生しないように、中立な情報を提供するようにしていると言います。不動産取引では大きな金額が動きます。関わる人の人生や人間関係までを巻き込みかねない場合もあります。慎重な判断をする必要がありますが、過ぎると偏った判断にもなりかねません。誰にとっても中立で納得できる判断と情報を提供することが、1万件以上の受託につながったのではないでしょうか。
例えば青森市の場合、中心部の空きビルや土地を有効利用して居住空間を増やし、除雪にかかる費用を軽減する、高齢化が進む中で不動産を有効活用することは、街づくりと大いに関連しています。鈴木さんは「仔細な計画と大胆な判断は、コンパクトシティを実現する上で不可欠な要素です。そのとき、不動産鑑定という情報が生かされます」と胸を張ります。
#chapter3
囲碁は将棋と違い、駒の位や優劣、働きの違いもなく、白と黒、2種類の石で相手を追い詰めるのではなく、自軍の陣地を広げる。どこから打てばどのような広がりがあるのか、広がらない問題点は何か、相手の動きを読みながら次の一手を打ち込みます。趣味の上でも領域に関わっているようです。
日本棋院青森県本部理事長の肩書きを持つ鈴木さん、囲碁の話になるとこれが本来の姿では、と思わせる笑顔です。全国的に囲碁人口は60代以上と30代前後の両極に分かれ、その中間層や学生などの若い層が薄いそうです。中間層への普及はなかなか難しいものの、30代はゲーム感覚で若い層の掘り起こしに努めていると言います。「最近は女性も増えてきました」とにこやかに語ります。戦国武将や歴史上の偉人たちに熱をあげる歴女ブームは、彼らが好んだ囲碁にまで波及しているのかも知れません。
大きな取引や案件に取り組むとき、要素や条件をひとつひとつ積み重ねて大きな結果を導き出します。その姿勢は、囲碁や将棋の勝負で問われる「大局観」と通ずるところがあるのでしょう。「囲碁は業務推進の作戦に役立ちます」と鈴木さんは満足げに語ってくれました。
(取材年月:2013年2月)
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不動産の価値を引き出すプロ
鈴木泰雄プロ
不動産鑑定士
株式会社 みちのく鑑定事務所
不動産活用を取り巻くさまざまな条件や法規制などの最新情報を常に所得し、受託件数は1万件以上になります。専門知識の研鑽に務め、また若いスタッフの意見も加えて、最適なアドバイスが可能です。
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