自然と共生しながらおいしいりんご・米を栽培するプロ
古坂朝和
Mybestpro Interview
自然と共生しながらおいしいりんご・米を栽培するプロ
古坂朝和
#chapter1
“津軽富士”と呼ばれる青森県の最高峰・岩木山に抱かれた広大な穀倉地帯。岩木川流域に広がる津軽平野は冷涼な気候が特色で、北半部では稲作、南半部ではりんご栽培がさかんです。
雄大な岩木山のふもとに位置するつがる市で、「Kosaka Farm(コサカファーム)」を営んでいるのは古坂朝和さん、志保さん夫婦です。果樹園5haと水田25ha、合わせて東京ドーム約六つ分におよぶ農園で、りんごと米を育てています。
「きれいな水と澄んだ空気、豊かな土壌があればこそ、豊穣の秋を迎えることができます。私たち農家は自然から場所を借りて農業をさせていただいていますし、できあがる農作物もまた自然の産物です」と朝和さん。特にりんご栽培には、細やかなこだわりを持っています。
「果実を成らせ過ぎると木が疲れて樹勢が衰え、病気や害虫の原因となります。また果実同士が養分を取り合うため、実らせる量を徹底してコントロールし、熟す前に収穫する“早もぎ”はせず、丁寧に熟成させています。面積あたりの木の本数を減らし土壌への負担を軽減する、化学肥料の使用を抑制するなど、当園では、できる限り環境に負荷をかけないよう心掛けています」
ほとんどのりんごに「葉とらず栽培」を取り入れているのも特徴の一つ。「ふじ」などの赤系品種を栽培する場合、影になる葉を除去し、日に当てて色づきを良くする方法が慣例でした。
「摘まずに残すことで、葉っぱが太陽の光をたっぷり浴びて作り出した栄養分が果実に行き渡ります。蜜が入って糖度が高く、甘くジューシーなりんごになるのでぜひご賞味ください」
#chapter2
同園の創業は戦後間もない1950年。朝和さんの祖父が興しました。3代目として長男が後継しますが、2010年に突然の病でこの世を去ります。悲しみに暮れる間もなく会社員だった朝和さんが職を辞し、志保さんとともに家業を継ぐことになりました。
「とにかく必死でした。2人の幼い子を育てながら思いがけず始まった専業農家の生活は、試行錯誤と苦労の連続でしたね。事業を安定させるため水田と園地を拡大し、経費と労力の削減を考え、苗作りや田植えなど栽培方法を工夫しました」
生産工程などを改善して数年後、事業が軌道に乗ると、農協への出荷に加えて消費者に直接、販売する方法を模索し始めます。
思案する中で芽生えたのが、自分たちが心から「家族に食べさせたい」と思える作物を作りたいという気持ちでした。地域で慣習的に行われている農法も見直し、自らの畑に本当に合う方法を確立していきました。
「一般的に、日光が入るように夏場に伸びるりんごの小枝は切ることが多いですが、私たちはあまり切りません。近年の強い日差しからりんごを守るため、あえて残しています」
一貫して「おいしくて体にやさしい、安心して食べられるもの」を追求し続けてきた夫妻にとって、うれしい出来事がありました。2020年、長男の北斗さんが就農したのです。小学校から高校までバスケットボールに打ち込んでいた北斗さん。大学進学で一度は故郷を離れましたが、「やっぱり自分がやりたいのは農業」とUターンしました。
#chapter3
北斗さんが加わった今、力を入れているのがインターネット販売。2023年から大手産直通販サイトに出店中です。
「みずみずしく、まろやかな甘さ」といった味への好評価に加え、「りんごの季節になると注文開始をワクワクしながら待っています」「体に気をつけて」など、サイトには北海道から九州・沖縄まで、全国から口コミが寄せられます。
「冬季の剪定に始まり、余分な果実を摘み取る実すぐり、下草刈りなど年間を通じて手入れが欠かせず、気象条件にも左右されるりんごづくりは決して楽ではありません。手間ひまかかりますが、お客さまのコメントで労が報われます」と笑顔を見せる朝和さん。
2024年度から、手塩にかけたりんごや加工品がつがる市のふるさと納税の返礼品に採用。2025年度からは青森県のブランド米「はれわたり」「まっしぐら」も出品へ。
また新たな取り組みにもチャレンジし、「高密植栽培」も開始。規則正しく、狭い間隔でりんごの木を直線的に植えて動線や作業を効率化。樹形をコンパクトに整えることで日当たりの要領がよく、収量アップと省力化につながる次世代の栽培方法として注目を集めています。さらに昨今の夏の暑さを利用して、桃の栽培も試験的に始めました。
「お客さまにおいしい作物を届けるために、恵まれた自然や今まで積み上げたノウハウを生かしつつ、気候や時代の変化にも対応していきます。私たちの思いを注いだ品で、皆さまの食卓を豊かにできればうれしいですね」
(取材年月:2024年12月)
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自然と共生しながらおいしいりんご・米を栽培するプロ
古坂朝和プロ
農業
Kosaka Farm
農家自らが「家族に食べさせたい」と思える農産物を追求。津軽平野の豊かな自然と冷涼な気候を最大限に生かし、おいしくて体にやさしく、安心して食べられるりんごと米を一家で生産・販売しています。
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