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従業員の定着は、職場風土の改善で解決できる

経営者と従業員をつなぐ職場風土づくりの専門家

中村英泰

経営者と従業員をつなぐ職場風土づくりの専門家 中村英泰さん
中村英泰さんセミナー風景

#chapter1

なぜ、社員は辞めるのか?定着に方法はあるのか?

 「従業員が定着しない」「従業員からやる気が感じられない」という問題を抱えている経営者は多いといいます。その一方で、「職場の雰囲気が合わない」「仕事が合わない」「人間関係が合わない」という理由で転職する人も多い。そうした問題に、「実はこれらは表裏一体。そこには雇う側と雇われる側のコミュニケーション不足に原因があります」と語るのは、株式会社職場風土づくりの中村英泰さん。中村さんは、長年にわたり人材サービス業界のコンサルタントとして経営者と従業員の双方の意見を聞いてきた経験から、「従業員と経営者のコミュニケーション不足を解消すれば、それらの問題の大半が解決すること」に気づいたそうです。

 「例えば、仕事にやりがいが感じられずに転職を考えている従業員がいるとします。その人にそれがなぜなのかを聞いてみると『仕事のやりがいを教えてくれる人がいない』という。そこで企業側になぜ教えていないのかと聞くと、『その人がどんなことを知りたいのかがわからない』という。これは、とにもかくにもコミュニケーション不足が原因。そして、こうしたすれ違いの積み重ねを原因とする離職は、離職理由の内75%を占めています。その一方で、多くの経営者が“声を掛けることの大切さ”を知っていて、従業員は“報連相の大切さ”を知っていいます。では、『なぜ、すれ違うのか?』『なぜ、一言掛けられないのか?』。そこにはお互いが“一声を掛けづらい職場風土”が存在するからです」。中村さんは職場風土について、「社員一人一人が『この会社は〇〇である』といった価値観が集合して成されるもので、職場を構成するさまざまな項目を向上させ、停滞させ、減退させる原因となっているもの」と位置付けます。だからこそその職場風土を改善することが、経営者と従業員の間にある問題の解決につながるのです。

#chapter2

時代の変化に合わせて、企業が変わらなければならない時

 一般的な人材サービス会社は、人材を必要とする企業から必要なスキルと雇用条件を聞き、そこにマッチする人材を紹介することが、主な役割になります。その後、その人材が定着するか、活躍できるかは双方の責任。人材サービス会社が入る余地はありません。しかし中村さんは、そこに人材サービス会社で働くことの物足りなさを感じて独立。同社を立ち上げました。「ひと昔前であれば、人がいなければ求人を出せばいい。採用後に活躍できるかは、本人次第という風潮がありました。確かに求人を出せば簡単に人が集まった時代であれば、それでもよかったかもしれません。しかし、今は求人を出しても応募する人の数が少なく、また職場に不満があれば、以前に比べて簡単に辞めてしまう人も多い。そんな時代だからこそ、企業側は応募してくれた人、採用した人材と長く上手くやっていかなければなりません。それは決して従業員に媚びるというのではなく、企業も時代に合わせて変わらなければならない時にきているのです」

 株式会社職場風土づくりでは、こういった職場風土改善のコンサルティングの他、キャリアコンサルタントの養成や資格取得後の情報交換の場の提供なども通じて、人材市場における最新の情報を共有。常にその時代、その時代で働く人に焦点を合わせた事業を展開しています。設立以来、これらの活動を通じた中村さんの考え方共感するキャリアコンサルタント仲間も増え、人材の定着で悩む企業や経営者に対して、さまざまな角度からの提案ができるようになってきたそうです。

中村英泰さんセミナー風景

#chapter3

働くことのやりがいを実感できる職場づくりを

 では職場風土が改善されれば、人に関する問題点はすべて解消されるのでしょうか。答えはノーです。「人は機械ではなく、成長していて、その過程で常に変化しているからです。そのためミスマッチがゼロになるとは言い切れません。しかし、限りなくゼロに近づけるための方法の1つが『役に立っていることが実感できる職場風土づくり』です。そこで目指すゴールは、経営者と従業員がお互いを1人の人間として認め合うことができる職場です」

 企業から職場風土の改善を依頼されたとき、中村さんが必ず経営者に確認することがあります。それは、経営者自身の“覚悟”です。「職場風土の改善は、その過程で経営者と従業員に対する徹底したヒアリングを行います。ヒアリングを行うことで“従業員の会社に対する期待値”は高まります。だからこそ、一度始めたら、“最後までやり抜く覚悟”が欠かせないのです。もしかしたら従業員からは、会社への不満など、会社にとって“不都合な真実”が出てくる可能性も大いにあります。それでも不退転の決意で職場風土を改善する覚悟を決めてもらいたいのです。経営者の方にその“覚悟”があれば、私たちは全力でお手伝いさせていただきます」。高齢化や人口減少による人材不足が進む今だからこそ、多くの企業は変わらなければならない時に来ています。

(取材年月:2019年10月)

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中村英泰

経営者と従業員をつなぐ職場風土づくりの専門家

中村英泰プロ

職場風土づくりコンサルタント

株式会社職場風土づくり

“働くこと”の定義が大きく変わる中、モチベーション高く仕事に向き合うことの重要性が一層高まっています。これからのキャリアプランづくりを専任のキャリアコーチとしてお手伝いします。

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