企業の経営を支援する電力プランニングの専門家
松屋泰史
Mybestpro Interview
企業の経営を支援する電力プランニングの専門家
松屋泰史
#chapter1
「電気の仕組みを知ると、多くの企業が最適な料金体系ではないことが分かります。それをまずお伝えしたいと思いました」
こう話すのは、新電力のプランニング事業を手掛ける「オンザマークス」の社長・松屋泰史さんです。2016年の電力小売全面自由化により、自由に電気を選べるようになりました。しかし、専門知識を持たずに電力供給先を選ぶことの難しさを、松屋さんは目の当たりにしていました。
「電気代の決め方は電力会社によって異なります。例えば、高圧契約では過去1年間の電力消費で最も高かった30分間の数値をもとに基本料金が決められます。しかし、これでは時期によって使う電力に差が出る企業には合っていません」
イベントなどでたまたま消費電力が増え、基本料金が上がってしまうケースもあります。特に工場や温泉旅館、商業施設、学校法人といった消費量が膨大な企業で電力プランのミスマッチが散見されるそうです。松屋さんは、こうした問題の解決を目指し、個々の企業に応じた新電力プランを提案しています。
「固定費で一番困っているのは中小企業。電気代を安くして、本来の業務にプラスになるようお手伝いがしたい」と語る松屋さんは、実は多彩な経歴の持ち主です。厨房機器メーカー勤務や飲食店を営んだ経験もあり、企業が抱える経費の悩みなどに対して当事者意識を持っていました。特に、突然の出費や売り上げの減少は事業運営に影響を及ぼします。経営リスクの軽減にもつながる、さらなる提案があると力を込めます。
#chapter2
松屋さんの提案は、“キュービクル(高圧受電設備)”という装置の所有権を買い取り、その管理をアウトソーシングするものです。キュービクルは、電力会社から送られてきた高圧電流を100Vまたは200Vに変換するための装置で、多くの電力を必要とする施設に設置されています。
「建物を建てる時にキュービクルも購入しないといけないので、『そんな物あったかな?』という認識で、どれほどの費用が掛かっているのかご存じではない経営者がおられるのも事実です」
キュービクルは保守管理費が毎月発生するほか、故障した場合の修理費500万円をこえる場合もあります。売却して所有権を移し、管理をアウトソーシングすればこうした経費はかかりません。売った後もキュービクルはそのまま使用可能で、売却利益も生まれます。
「売り上げがかんばしくない時に、キュービクルが故障したら大変です。手放すことで突発的な出費を回避し、先を見据えた経営ができるのではないでしょうか。併せて電力プランを検討することで、電気代を低減できる可能性もあります」
このビジネスモデルは東京に本社を置く(株)総合電商が特許出願済みで、松屋さんの会社はパートナー企業として業務提携をしています。松屋さんは、あまり知られていなかった電気について情報を提供することに、やりがいを感じているそうです。
「契約に至らなかったお客さまからも『いろいろ気づきがあって助かった。ありがとう』と言ってもらえます。伝わりやすい言葉を意識して丁寧にお話しすることを心がけています」
#chapter3
電力自由化により、国内ではガスや石油、通信や鉄道など幅広い分野の事業者が電気業界に参入しています。松屋さんのもとでは、10社をこえる複数の電力会社と業務提携しているので、企業はその中からより良いプランを選ぶことができます。
「『あなたのために考えました』というように、お客さまによってカスタマイズができるのがわれわれの強みです」と胸を張ります。
2016年以来、松屋さんはさまざまな企業の相談にのり、1500件以上の契約を結んでいます。契約後も、毎年電気料金の診断を行い、見積もりを取り直したり価格交渉をしたりと、常に企業にとって有益な状態を保てるように努めています。さらに、電気を効率的に使って、コストを削減するためのアドバイスもしているそうです。
「『電気を変えただけで、会社が変わったよ』といった言葉をいただくこともあります。使わないときは電気やエアコンは消す。こういった小さなことが本業での事業効率やムダなコストの見直しなど、従業員のかたの意識改革につながった例もあります」と松屋さん。これまではなかった電気の市場競争により、今後さらに消費者に有用なサービスやプランが展開されるのではないかと言います。
「電力業界では蓄電池やワイヤレス給電など、新しい技術が登場していて今後電気がWi-Fiのように飛び交う未来もみえています。電気の契約も選択肢が広がり、それぞれに付加価値を打ち出すでしょう。その価値を見極め、いち早くみなさんにご案内していきたいです」
企業の未来を明るく照らそうと意欲に燃える、松屋さんの取り組みが期待されます。
(取材年月:2021年9月)
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Profile
企業の経営を支援する電力プランニングの専門家
松屋泰史プロ
新電力コンサルティング業
株式会社オンザマークス
新電力や電気の仕組みに関する専門的な知識を駆使し、個々の企業に合った電力プランを提案し電気代削減を目指す。さらに、キュービクル買取による電力管理のアウトソーシングで企業が抱える経営リスクを軽減する。
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