妊活から育児まで女性に寄り添い並走する身近な助産師中山朱里

妊活から育児まで女性に寄り添い並走する身近な助産師

中山朱里

対面での乳房ケアやベビーマッサージのほか、オンライン相談も実施

　「『女性の一生に寄り添うこと』が助産師の仕事と考えています。当方は、妊娠前・妊娠中・産後と長きにわたり並走する助産院です。お悩みがあれば一人で抱え込まず、お声掛けください」

　そう話すのは、愛知県豊川市で訪問型助産院「nicohug（にこはぐ）」を営む中山朱里さん。総合病院で働く助産師として、また2児を育てる母としての知見を生かし、精神的にも身体的にも負担が大きい妊活から育児まで、細やかに支援しています。

　「現代は5.5組に1組が不妊治療や検査を受けていると言われています。また4人に1人が産後うつになっているというデータもあります。皆さんの不安やストレスを少しでも和らげられるよう、心と体を癒やし、身近な専門家としてサポートいたします」

　豊川市近郊を中心に、自宅を訪れて対面カウンセリングや乳房ケア、沐浴指導を行うほか、ベビーマッサージやアロマセラピーを実施。少人数制のアロマベビーマッサージ教室も開講しています。遠方の人のため、ビデオ通話のZoomやチャットアプリのLINEを使ったオンライン相談も受け付けています。

　「立ち位置としては、病院やクリニックと家族や友人の間にいるようなイメージです。『こんな症状があるけど産院に連絡した方がいい？』『母乳ってこれで足りているの？』など、気になることがあれば何でもお気軽にご相談ください」

　さらに、必要な栄養がとれるバランスの良い食事や、肌を通じて体内に化学物質などの経皮毒を極力取り込まないような日用品の選び方などもアドバイスしています。

助産師として病院に勤務しながら、産前産後の女性をサポートするため開業

　中山さんが現職を目指したのは高校生の時。母から自身の出産時の話を聞いたことがきっかけでした。
　「私には兄がおり、2人目のお産なので正直あまり記憶に残っていないだろうと思っていましたが、母はその時の助産師さんがどんな方で、どんなことがあったのか、鮮明に覚えてくれていたんです。10年以上たっても人の心に残り続けることに感動しました」

　資格を取得して産婦人科病棟に勤めるようになりますが、実務を積む中で次第に歯がゆさを覚えるようになったと言います。
　「出産前後の数日間しかお母さんたちと深く関われないことに、物足りなさを感じました。ママと赤ちゃんにとっては、退院してからがむしろスタート。私自身、子どもを産んでいざ帰宅すると迷いや疑問がたくさんあったので、お家に戻ってからの生活を長く支えていきたいと考えるようになりました」

　中山さんは、産前から産後まで一貫して携わり、切れ目のない支援を実現するために病院勤務と並行して、2023年7月に「nicohug」を開業しました。

　「先日、2児のお母さんから『おっぱいが痛くて体もだるいから来てほしい』とご連絡をいただきました。肩甲骨から肩周りにかけて入念にほぐしてから、乳房マッサージをしたところ、『痛みが和らいでおっぱいの出も良くなったので、赤ちゃんがしっかり吸ってくれるようになりました』と、うれしいお言葉をいただきました。ほっとしたご様子のお母さんを見て、助産院を始めてよかったと改めて思いました」

日々頑張る女性たちが心からリラックスできるサービスを目指して活動

　中山さんは、女性たちに心からリラックスできるひとときを届けたいと力を込めます。

　「子育て中は、トイレすらゆっくり行くことができません。外出する時はオムツなどかさばる子ども用の荷物を必ず持ち歩き、病院に連れていくと1、2時間待つのは当たり前。気力も体力もどんどん削られていきます。訪問サービスや地域で開く教室は、日々頑張るお母さんたちがゆったり過ごせる場になるよう心掛けています」

　乳房ケアやベビーマッサージを行う際は、香りによって気持ちを落ち着かせたり、緊張をほぐしたり、感情面にアプローチするアロマを取り入れています。
　「当方では植物から抽出した天然由来のオイルを使用しており、『夜泣きが激しい』『寝つきが悪い』など困り事に応じて選んでいます」

　細胞レベルに働きかける分子栄養学について学びを深めたり、乳房ケアの勉強会に参加したりと、常に知識とスキルの向上に努めている中山さん。根底にあるのは、「笑顔を増やしたい」という真っすぐな思いです。

　「関わる全ての人の健やかな心身を養うお手伝いをして、朗らかな毎日をかなえることが目標です。食事をはじめ、食器用洗剤、せっけんやシャンプーといった日用品の影響について知ることが、お母さんの、そして赤ちゃんの健康につながります。いくつになっても楽しく幸せに暮らせるよう、今後も勉強を続け伝えていきたいです」

　看護師とも連携し、活動の輪を広げる中山さん。「身近な相談相手としていつでも頼ってくださいね」と呼び掛けます。

（取材年月：2023年11月）

女性と赤ちゃんの笑顔のため、妊活から育児まで切れ目なく支援を展開

対面での乳房ケアやベビーマッサージのほか、オンライン相談も実施

助産師として病院に勤務しながら、産前産後の女性をサポートするため開業

日々頑張る女性たちが心からリラックスできるサービスを目指して活動

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