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「洗浄マイスター」の認定者として、産業洗浄のコンサルを通じモノづくりに貢献

洗浄マイスターの称号をもつモノづくり洗浄のコンサルタント

柳川敬太

柳川敬太 やながわけいた
柳川敬太 やながわけいた

#chapter1

品質、コスト、環境への影響を考慮し、合理的な洗浄方法をアドバイス

 「生産・加工の際に生じる汚れを取り除く『産業洗浄』に関して困りごとがあれば、当方がお力になります」

 そう呼び掛けるのは、愛知県安城市の「HOKUSHIコンサルティング」職務執行者の柳川敬太さん。日本産業洗浄協議会(JICC)の洗浄技術検定で、日本で7人しかいない「洗浄マイスター」を保有し、大手、中小企業を問わず支援しています。

 「金属加工の場合、プレスや切削などで加工油剤を使用しますが、素材に付着した油を除去する工法は多岐にわたるため、洗浄剤も含め『どれを選べばいいのか分からない』というのが悩みの種となります。クライアント様の視点に立ち、品質、コスト、環境への影響を考慮して、合理的な対応方法を経営工学的アプローチでアドバイスするのが私の役目です」

 柳川さんは、愛知県内の自動車部品製造会社で34年にわたり勤務し、産業洗浄の研究開発に従事。モノづくりの現場を熟知しているのが強みです。
 「洗浄剤や機材などのメーカー出身ではありません。中立のユーザー視点で、真にお客様にあったご提案をしています」

 柳川さんの知見は、部品メーカーをはじめ、電機・電子関係の企業、半導体の工場などからも頼りにされ、近年ではマテリアルリサイクルのために廃棄部品・素材の洗浄に関する相談も多く寄せられているそうです。

 「コンサルに際しては、『できない』と言わないことをモットーとしております。中には難易度の高い依頼もありますが、一歩でも半歩でも前進する施策を考えます。私にとっても学びが多いですし、今後の業務の糧となっていくと思うのです」

#chapter2

洗浄力を備えた塩素系溶剤の提案や、アウトソーシングの受託先も紹介

 コストに対する顧客の目はシビアだと柳川さんは語ります。

 「例えば、研磨や成形といった加工は製品の精度や機能にかかわるので、予算の確保や投資に対し比較的寛容です。洗浄により製品の性能が直接的に上がるわけではなく、どうしてもコスト削減の対象となりますから、無駄のない効率的な工程が求められます」

 柳川さんが注目しているのが、かつて『産業洗浄』の主流であったトリクロロエチレンやジクロロメタンなど、塩素系溶剤を使った洗浄方法です。

 「塩素系溶剤は、人体への有害性が指摘されており、その取り扱いを自主的に控えている大手企業があるため、使用禁止と誤認している方もいらっしゃいます。しかし、洗浄力があるうえ乾燥性が高く、製品や部品には残留しないので、『適正に使えば』が大前提となりますが、工程をシンプル化でき、コスト面並びに環境負荷を軽減できる洗浄工法であることを伝えていきたいですね」

 また、産業洗浄を委託するアウトソーシングの要望にも対応しており、業界で築いたネットワークを元に業者を紹介。特に、新潟県燕市の受託洗浄会社「本間産業」とは、協働企業として強いパートナーシップの関係にあると言います。

 「当方は『地球環境との調和』『循環型社会の共創』を企業理念に掲げています。部分的な環境保全を追究するのではなく、バランスをとることが重要です。大所高所からの視点で『地球にやさしいリサイクル社会の創造』を目指しております」

柳川敬太 やながわけいた

#chapter3

資格取得や技術情報誌の立ち上げに尽力し、多くの企業に貢献するべく独立

 日本産業洗浄協議会が実施する検定をクリアし、卓越した専門知識を持つプロフェッショナルのみに与えられる「洗浄マイスター」。柳川さんは、2017年に資格制度が設定された時に認定された第1号です。

 「試験(3時間の筆記)では、洗浄システムの構築に向け、問題解決のプロセスや考え方が問われます。当時はまだ会社勤めをしていましたが、洗浄技術検定1級に合格していたので、さらに自分の力を試したいと思い挑戦しました。」

 マイスター取得で自信を付けた柳川さんは、多くの企業をサポートしたいという気持ちを強くします。役職定年を控え、ちょうどセカンドキャリアを検討していたことから、退職して独立を決意。実家の鋳型製造会社を業態変更するかたちで、2020年に「環境保全」と「産業洗浄」に特化したコンサルタント事業をスタートさせました。

 また、技術情報誌「産業洗浄」(JICC発行)の編集委員を2008年の立ち上げ時から務め、創刊号では自動車部品の洗浄特集が組まれ、自身の論文が巻頭に掲載されました。
 「業界誌に携わることで常に新しい情報を得ることができ、私自身の知識をアップデートできました」

 業界団体の講演に登壇するなど、多方面で活躍する柳川さん。近年は、SDGsに貢献する技術として「オゾン」に注目しています。
 「オゾンの特性は、『産業洗浄』と組み合わせることで新たな課題解決手段につながると期待しています。用途展開を考えるだけでわくわくしますね」と探究心は尽きることがありません。

(取材年月:2023年11月)

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柳川敬太

洗浄マイスターの称号をもつモノづくり洗浄のコンサルタント

柳川敬太プロ

コンサルタント

合同会社HOKUSHIコンサルティング

品質、コスト、環境への影響を考慮し、顧客にあった産業洗浄の方法をアドバイス。自動車部品製造会社での34年にわたる実務経験を生かし、一歩でも半歩でも前進する提案をする。

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