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医療と介護の架け橋になる、真のソーシャルアクション

医療と介護の架け橋になる、リハビリと介護支援の専門家

加藤武範

医療と介護の架け橋になる、リハビリと介護支援の専門家 加藤武範さん
加藤武範さん商談風景

#chapter1

リハビリを中心としたデイサービスを運営

 要介護者の面倒を見るようになるとき、どのような介護をしていけばいいのか、多くの人が相談することになるのがケアマネジャーといわれる人たち。しかし、多くのケアマネジャーには得手不得手があります。「ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格を取得するためには、医療や介護に関する資格と5年以上の実務経験が必要になります。また、介護についての知識や経験が十分にあっても、実は要介護者の方が必要としているのは、そういった一般的な介護だけとは限りません」。そう教えてくれるのは、愛知県清須市でデイサービス“福寿想”などを運営している 合同会社福寿想の代表の加藤武範さん。加藤さん自身、ケアマネジャーとして日々多くの方の相談にのっていますが、その経歴は少し異例です。

 「福寿想を立ち上げる前はリハビリ専門の病院で、医療ソーシャルワーカー(MSW)をしていました。そこでは退院後のリハビリや介護の方法などについてのご相談にのるのですが、退院後の生活に不安に感じている患者さんやご家族は少なくありません。実際、退院してしまうと一般的な介護サービスでは、十分なリハビリを受けられないケースが多くあります」。そんな患者さんや要介護者の方の声に応えるために立ち上げたのが、福寿想。同所では理学療法士を配置し、リハビリを中心としたプログラムによるデイサービスを提供しています。

#chapter2

医療と介護の両方の知識を持つことの必要性を実感

 もともとは大手酒造メーカーでサラリーマンをしていた加藤さん。30歳を前に、以前より興味のあった“身体と健康”にまつわる仕事に就くことを決意し、一念発起して仕事を辞め、専門学校に入学。鍼灸マッサージ師としての資格取得を目指します。「鍼灸やマッサージは東洋医学として学べば学ぶほど、その奥の深さを感じました。しかし、その一方で、それだけではなかなか世の中のニーズに応えられないことも実感。そこで同時に、それらとも親和性の高い医療や介護の分野の知識も身に付けるために、社会福祉士の資格取得も目指しました」。そんな加藤さんが資格取得後に転職先として選んだのが、リハビリを専門とする病院の医療ソーシャルワーカー職でした。

 「社会福祉士の資格取得の過程で、介護の現場については実習を経験させてもらうのですが、なかなか医療の現場にふれる機会がありませんでした。いずれは何らかの形で自分で独立してやりたいとは考えていましたが、その前に医療の世界について知っておきたくて、五条川リハビリテーション病院にお世話になることを決めました」。そこで加藤さんが直面したのが、最初に挙げたような「退院後に不安を持つ患者さんが多い」という現実。それが、福寿想の開設につながります。福寿想には、訪問専門の治療院も併設されており、さまざまな角度から多くの介護施設がカバーしきれない、高齢者のリハビリもサポートしています。

加藤武範さんセミナー風景

#chapter3

医療と介護の垣根をなくすことで、より当事者に寄り添った介護環境を

 最近では医療と介護の両方の現場を知るケアマネジャーとして、その架け橋となるような活動にも取り組んでいます。「これからの時代、医療と介護の現場はより連携を深めていく必要があると感じています。両方の業界で働いて私が感じたことを、もっと多くの人に届けたい。これが本来の意味での“ソーシャルアクション”なのかもしれません」。高齢化社会や制度改正によりどんどん状況が変わっていく医療や介護の世界だからこそ、要介護者のためには、お互いが協力することが必要だという考えです。

 ケアマネジャーとしての加藤さんのキャリアで大きく転機になったできごとがあります。それは自身の母親が認知症を発症し、その介護もするようになったことです。「それまでにも当然認知症についての知識はありましたが、身内が実際に発症したことで、それがより身近なものに。それ以降ケアマネジャーとして認知症のご相談を受ける際にも、先回りをしたアドバイスや提案ができるようなりました」。そして人はいずれ死と向き合います。「介護の行きつく先は、人生の終末をどう迎えるかということ。私自身、父を膵臓がんで亡くしており、その終末について何が正解だったのか、今でも答えは出ていません。だからこそ、今そういった現実に直面しているご家族の気持ちにも寄り添うことができますし、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)についても、みんなで議論を深めていきたいと考えています」

 自身のさまざまな実体験が、より介護の当事者に寄り添う気持ちにもつながっていった加藤さん。そんな想いが込められた言葉や取り組みが、これからの地域医療や介護の新しい道を切り開いてくれそうです。

(取材年月:2019年11月)

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専門家プロフィール

加藤武範

医療と介護の架け橋になる、リハビリと介護支援の専門家

加藤武範プロ

ケアマネジャー

合同会社福寿想

リハビリ病院で医療ソーシャルワーカーをしていた経験から、地域のネットワークとも連携。従来の福祉的な視点に捕らわれない柔軟な発想で、介護を必要としている方やその家族にとって本当に必要な介護を提案します。

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