IT活用で効率よくビジネス中国語の習得をかなえる専門家李洲

IT活用で効率よくビジネス中国語の習得をかなえる専門家

李洲

30コースから成る「スマチュ」や、企業のフィードバックを反映した「ビジネス中文EX」を展開

　「市場規模が大きい中国に進出する企業は、今後ますます増えるでしょう。私どもは、ITを活用して中国語を効率よく習得できるサービスを用意しています。仕事で使うフレーズを厳選し、自分の言葉でビジネスができる人材を増やします」

　そう力を込めるのは、名古屋市を拠点に、中国語の語学教室や翻訳、企業研修、留学相談などを手掛ける「イーチャイナ」代表取締役の李洲さん。

　パソコンやスマートフォンから受講できるeラーニング「スマチュ」を展開。中国政府教育部が認定する検定試験「HSK」や、ビジネス中国語検定「BCT」などの基準を満たす構成と、上達に応じた30段階のコース編成で実力を養う内容で、日本e-Learning大賞において「語学教育特別部門賞」を受賞しています。
　「読み書き、聞き取りのリスニングのほか、ロープレで発音もトレーニングできます。クラウド型なので、ご本人の習熟度に合わせて続々と単語や会話シーンが追加され、進化していきます」

　加えてオンラインレッスン「ビジネス中文EX」をスタート。研修などで付き合いがあった企業からのフィードバックを反映しています。
　「企業では社員を駐在させるために、かなりの経費をかけています。残念ながら、現地の社内で雑談ができても、客先で商談ができるレベルには至らないのが現実です」

　特に難関と言われるのが発音。中国語の音をローマ字で表記した拼音（ピンイン）や、四声（しせい）と呼ばれる声調を身につけることはかなり大変で、「心が折れるポイントになっている」と分析。多くの人が苦戦する発音を、いかにクリアするかに知恵を絞っているのが特長だと言います。

難解な発音を音声認識ツールで練習、学習の進み具合も測定しモチベーションアップ

　「従来の中国語学習は『発音がよければ全てよし』という傾向があり、教師は指導に多くの時間を割いていました。しかし、発音の間違いを何度も指摘されるのはモチベーションが下がる原因になります。そこで『ビジネス中文EX』では、音声認識ツールにより、スマホなどから1人で発音の反復練習ができるようにし、教師による会話で実践を重ねるコンテンツを取り入れました」

　さらに、カリキュラムを企業に合わせてカスタマイズ。それぞれの実務に則した表現などを、使いこなせるようサポートしています。

　「また、企業の担当者さまと目標を設定して、達成に向けて着実にステップを踏める仕組みを構築しております。一人一人の学習の進み具合をシステムで測定することで、やる気を引き出し、意欲を保ちながら取り組めるように工夫しています」

　高い中国語スキルを持つ人材を育成するために尽力する李さん。中国杭州で生まれ育ち、1995年に来日し理系の大学で学業に励みました。
　「ちょうとインターネットが普及し始めた頃でした。みなさんが、分厚い辞書で中国語を勉強しているのを見て、大学で専攻したITのノウハウをもとに、仲間と一緒に無料で使用できるオンラインの日中辞書をリリースしました」

　当時は、日本語の電子辞書が中心だった時代。ネット上で中国語を検索できる便利さが話題となり、手応えをつかみ2003年に「イーチャイナ」を設立。商用のWEBサイト制作を主軸としていましたが、2008年に中国語を主とする業態に転換しました。

中国語とITの知識を生かして、社会に貢献していきたい

　自身も日本語の習得に苦労した経験を持つ李さん。通訳を介すると微妙にニュアンスが異なるため、「自分の言葉で本気で相手に伝えることの大切さ」を、身をもって知っています。
　「正しい文法や、きれいな発音にこだわりすぎず、どんどんコミュニケーションを取ることを心掛けてほしいですね。アウトプットの繰り返しでチューニングされていきますから」

　3カ間の研修を受け、現地に赴任した人から「取引先で、中国語であいさつや自己紹介ができた」「中国語でプレゼンテーションができた」といった、うれしい声が寄せられます。
　「限られた内容に絞り、集中的にレッスンをした成果です。相手に伝わった成功体験を通じて、話す勇気が持つことが何より大事です」と笑顔を見せます。

　日本に30年近く住み、さまざまなことを吸収する中で意識しているのが「プラスよりマイナス。やらないことを決める」ということだとか。
　「日本には『100年企業』と言われるような老舗が多く、確固たる理念に沿って業務などを取捨選択しています。弊社も、即戦力となる中国語を教えることに特化しました。今後も、企業ごとに必要なフレーズを精査することで、事業の発展を後押ししたい」と思いを語ります。

　「中国語を母語とし、ITの知識を備えた自分にできることで社会に貢献したいんです。日本語ネーティブの人が、スマートに中国語を学ぶ方法を提供することで、世界で新たな道を切り開いてく一助になればと願っています」

（取材年月：2023年8月）

IT活用と企業に合わせたカリキュラムで、実践的な中国語習得をサポート

30コースから成る「スマチュ」や、企業のフィードバックを反映した「ビジネス中文EX」を展開

難解な発音を音声認識ツールで練習、学習の進み具合も測定しモチベーションアップ

中国語とITの知識を生かして、社会に貢献していきたい

専門家プロフィール

Other Interview