数字を通してみんなの幸せを実現する「マネーのプロ」奥山享

数字を通してみんなの幸せを実現する「マネーのプロ」

奥山享

ぶれない「自利利他」の基本姿勢

　眼鏡の奥の、優しいまなざし。時にはダジャレも交じる、流ちょうかつ分かりやすい語り口。「徹頭徹尾、お客様の幸せを願う仕事をする」ことをモットーに掲げる奥山享さんは、文字通り「幸せに導いてくれそうな」雰囲気を感じさせます。山形放送（YBC）ラジオへの出演は25年目になり、身近なお金の問題を分かりやすく解説。税理士、ファイナンシャルプランナー（FP）の存在を身近にしてくれました。

　そんな奥山さんの表情が、帳簿を前にすると一変します。数字の中から問題の本質をえぐり取る鋭い目線で、「見える」数字から「見えない」姿をあぶり出します。見つかった問題を、どうやって解決するか。経験に裏打ちされた知識、そして豊富な情報を基に、相談者に解決策を提示します。

　「数字を通して、企業や人々の幸せをどうやって実現することができるかを考え、道筋を示すのが私たちの仕事」と奥山さんはいいます。税理士としては、法の正しい解釈に基づいた適切な納税。経営コンサルタントとしては、企業が持続的に成長できるための財務、マネジメント面からのアドバイス。根底にあるのは「自利利他」、自分が良くなるためにはまず、相手のためになることを考えよう―という精神です。時代に合わせ、取り扱う案件の種類も幅広くなりましたが、この基本姿勢は変わらず貫き通しています。

情報化を先取り。養った「複眼的な目線」

　「『幸せになる』ことと『社会の役に立つ存在になる』こと。誰もが共通の願いを持っています。人が、企業が、社会を通して支え合える間柄になるお手伝いが、私たちの仕事の本質です」。奥山さんの事務所は、企業の活動を税務・会計、経営管理の両面から支援しています。会社組織や個人事業に限らず、医療法人や社会福祉法人、農業法人など、幅広い経営形態に対応できることも強みです。

　中でも重視しているのが「情報」。「情報を制することが、幸せに導く第一歩」との考えから、情報関連の分野に早くから力を入れてきました。独立開業した1973（昭和48）年、いち早く業務用コンピューターを導入。インターネットが普及する前から、コンピューター通信で情報収集をするなど、情報化時代を先取りしてきました。農業や医療などの分野では、目まぐるしい制度変更が行われますが、それらにいち早く対応できるのも、蓄積した情報収集力があってこそ、です。

　ありとあらゆる情報が世の中に氾濫し、誰もがそれらにアクセスできる時代になりました。本当に必要で役立つ情報はどれなのか。正しい道はどこにあるのか。それを見極める「目」が、プロには求められます。奥山さんは「鳥のように俯瞰（ふかん）する目と、魚のように間近な動きを見極める目。複眼的な目線から『潮目』を見極めなければならない」と力を込めます。

　「会社をどうしたいの？」。相談に訪れた経営者に、こうした根源的な問い掛けをすることもあります。経済活動の基本は、まず「豊かになること」。その上で利益が出たら「社会に役立てること」。経営状態に問題がある企業は、この基本を見失っている場合が多いといいます。問題に気付かせ、「もっと豊かになる」ための選択肢を提示する。その上で、最終的な決断は相談者に求めます。「決めること」が、経営者の最大の仕事だからです。
そして「決めた限りはすぐに実行してください」。「明日までにこれをしてください」と求めることもあります。厳しい時代を生き残るには、それだけのスピードも求められるのです。

願いを反映、「丸くおさめる」

　相続や事業継承などをめぐる、個人からの相談も増えています。当事者同士の争いがこじれ、〝争続〟になってしまっているケースも少なくありません。そうした場合に目指すのは「丸くおさめる」こと。当事者同士の意見をすべて聞き、妥協点を見いだす、つまり「丸くおさめる」ために最大限の努力を払います。意見がぶつかる背景にある、それぞれの「願い」を結果に反映させるために。

　「誰もがみんな、心の中に『こうなりたい』姿を描いている。お客さまが『なりたい姿』に近付いて輝き始めると、仕事冥利（みょうり）に尽きます」と語る奥山さん。困難な相続問題が解決した時、企業が成長軌道に乗り始めた時、生き生きした経営者の姿に触れる時…。奥山さん自身も「幸せ」を感じているのです。山形を幸せでいっぱいにするために、約30人のスタッフの先頭に立って奮闘し続けています。

（取材年月：2012年3月）

数字から本質を見抜く。幸せになるために。

ぶれない「自利利他」の基本姿勢

情報化を先取り。養った「複眼的な目線」

願いを反映、「丸くおさめる」

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