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建物の「外回り」なら、何でもお任せ

建物の「外回り」なら何でもお任せの建築板金のプロ

古川直仁

古川板金工業所 代表取締役社長 古川直仁さん
鋼板を外壁に用い、独創的な外観をつくり出した施工事例

#chapter1

「信用と信頼」モットーに、お客さまと向き合う

建物が長く機能と美観を保ち、人々が快適に使い続けるために大切なのが、屋根や外壁などの「外回り」です。

 雨や雪、風、暑さや寒さなどの影響を和らげ、中を快適に保つ。構造材などを腐食から守る。そして、外観は美しく。季節による気象条件の変化が大きく、冬場は豪雪に見舞われる山形県では、その役割はさらに大きなものとなります。

 寒河江市の「古川板金工業所」は、大正時代の創業以来、地元密着の建築板金業として、多くの建物に携わってきました。3代目社長として社員を率いる古川直仁さんは「技術や知識を常に意識し、現場力を重視しながら仕事をしています。お客さまの要望を聞きながら、独自のアイデアも積極的に出し、『信用と信頼』をモットーに、気持ちを込めて現場に向き合っています」と語ります。

 金属を用いた屋根や外壁、雨どいなどの工事を行う「建築板金」を柱に、新築工事に限らず、外壁など建物の外回りのことなら何でも対応する「外のリフォーム」を精力的に展開しています。自社だけで対応できない分野は、別の会社の協力も仰いでいますが、「お客さまと向き合った、ワンストップの対応」がいい仕事に結び付いています。

さまざまな現場経験を踏まえて編み出した新しいアイデアを提案し、大規模な建物に採用されたことも。丁寧かつ、創意工夫も取り入れた仕事ぶりが、評判を呼んでいます。

#chapter2

「現場力」が息づく創意工夫の数々

 「子どもの頃、頼まれてよく手伝いをしていました。大学で建築を学んだのも、いずれこの仕事をすると思ったからかもしれません」と振り返る古川さん。手伝いを原体験に、「現場力」の下地を着々とつくってきました。

 大学時代は「構造学」を学び、橋や道路の構造を研究しました。瀬戸大橋の現場を見学した経験も。卒業後に入社した三晃金属工業は、屋根板金の分野で国内トップ。研修を経て赴任した広島で、サイオトスキー場の開発、岩国米軍基地格納庫、マツダ宇品工場、新明和特装車新工場といった大プロジェクトに携わりました。「経験のない若手がいきなり、社を代表して現場に立つわけだから、とにかく大変だった。夢中で取り組み、建築板金の仕事の土台が出来上がってきた」とのことです。

 その後、古川板金工業所の一員に。さまざまな仕事を手掛けながら、「お客さまと直接話をしながら、お互い満足できる仕事がしたい」との思いが強くなりました。

 建設業界は「富士山のような形態をしている」と古川さんは言います。きれいな形の下に、とても広いすそ野が広がっている。それを建設業界に例えると、頂上は元請けのメーカーや工務店であり、専門性が高く、実際に現場で作業をする下請けの業者がすそ野に位置します。そうした構造の中で、誤った指示や、利益が出ないような価格設定、何よりも納得のいかない仕事内容に、疑問を感じることがありました。

 「お客さまと直接話ができる」スタイルを重視するのは、責任を持った仕事で、お客さまと施工する側の双方が満足できるようにしたい―との思いからなのです。

 薄い鋼板を加工して強度を上げ、軽くて丈夫、外観も美しい構造材として使う独自の「モノコック鋼板工法」を考え出し、宮城県内の現場で採用されました。東日本大震災の大きな揺れに耐え、「次もお願いしたい」と声が掛かったといいます。雪国の屋根に取り付ける「雪止め」も、鋼板を素材に、軽くてさびにくい構造のものをつくり、好評を博しています。

学生時代に学んだ構造の知識と、経験に基づいた「現場力」、それらをうまく融合させる発想力が、一つ一つの工夫に息づいています。

人材育成や、働きやすい環境づくりにも心を砕いている

#chapter3

「いい仕事」の下地は、働きやすい職場環境

 いい仕事をするために、古川さんは「仕事の仕方」を重視しています。明るいあいさつ、整理整頓、個人の独創性を生かす、などの「職場の元気十ヶ条」を定め、朝礼などで徹底しています。建築業界ではあまり浸透していない完全週休2日制を昨年導入。「一人一人の意識が高まり、売り上げがむしろアップした」と、職場環境を整える効用を実感しています。

 6人の社員はそれぞれ、現場でお客さまと直接話をしたり、独自の工夫や提案を生かすスキルの持ち主。「『させられている』よりも、独創性を生かしたいい仕事で感謝されれば、毎日の生活が楽しくなる。そういう仕事を通し、地域の方々のためになりたい」。古川さんの気持ちを、社員たちが共有しています。

 県板金工業組合寒河江支部の一員として、子どもたちに、銅板細工の「エッチング」を体験してもらう取り組みも進めています。体験を通して「建築板金」や、技術を身に付ける素晴らしさを感じてもらいたい、と始めましたが、毎年学校から依頼が相次ぐほどの反響があります。

 「他人、他社にできないようなものを作り出していきたい」。業界や地域の今後も見据えながら、力強く意気込みを語ってくれました。

(取材年月:2020年9月)

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専門家プロフィール

古川直仁

建物の「外回り」なら何でもお任せの建築板金のプロ

古川直仁プロ

建築板金業

有限会社 古川板金工業所

屋根や外壁は、建物を守る大事な役割を果たします。「鋼板」の持つ優れた特性を生かし、独自の工夫も加味して、ご要望にお応えします。リフォームはワンストップでの対応も可能です。

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