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創業から百余年、日々の感謝を伝え「一家の心のよりどころ」となる仏壇を提案

製造から販売、修理、清掃まで手掛ける仏壇のプロ

五十嵐尚寛

五十嵐尚寛 いがらしなおひろ
五十嵐尚寛 いがらしなおひろ

#chapter1

金箔や装飾金具をあしらった富山仏壇を手掛け、修理や清掃にも対応

 「仏さまに手を合わせて家族の近況や日々の感謝を伝え、ご先祖さまに守られていることに心の安らぎを得ていただくことが私どもの願いです」

 そう話すのは、魚津市に本店を置く「五十嵐仏壇店」の代表・五十嵐尚寛さん。金箔をふんだんにあしらい、装飾金具を随所にしつらえた富山仏壇のメーカーとして、木材の仕入れから骨組みとなる木地づくり、研磨、塗り、箔押し、組み立てまで全ての工程を自社で一貫しています。

 店舗では仏具や神具も取り扱い、素材や色の好み、予算、設置する部屋の広さを聞いた上で適切な製品を提案。仏壇のメンテナンスにも応じています。

 「『金箔がはがれた』『付着している灰を落としてきれいにしたい』など、お直しやお手入れの際はご用命ください。最近では、お客さまが自宅を建て替える間お仏壇を預かり、修繕や清掃を施した上でお返しするサービスも行っています」

 同社の歴史は長く、五十嵐さんの祖父である嘉三松さんが1922年に創業したと伝えられています。「祖父の生まれが1910年で、尋常小学校卒業と同時にお仏壇の製造を始めました。それが100年以上続く当社の出発点です」

 「お仏壇は一家の心のよりどころ」と語る五十嵐さん。節目の折りに集い、絆を深める存在であることを胸に、誇りを持って職務に励んでいるそうです。

 「私が当社に入った年に、納品のためにあるお客さまのお宅へ伺いました。作業を終えた後、80代の女性が『こんなに立派なお仏壇を用意してくれて本当にありがとう』と涙を流して喜んでくださり、何て素晴らしい仕事なのだろうと感じ入りました」

#chapter2

3代目として老舗を継ぎ、多くの人が足を運びやすい店づくりに注力

 五十嵐さんは1963年に魚津市で生まれました。地元の高校を出て東京の中央大学へ進学。卒業後はキヤノン販売で事務機器の営業に従事します。当時、家業に入ることは考えていなかったそうですが、25歳の時に実家から連絡を受け帰郷します。

 「会社を切り盛りしていた父が腰を痛め、体に負担がかかる作業は難しくなったんです。私は長男でしたし、2人の弟とは年が離れていたため、私が継ぐしかないと覚悟を決めました。入社後は職人の下で仏壇作りを一から学ぶ毎日がスタートしました。幼い頃からかわいがってもらっていた先輩たちでしたから、厳しくも温かくイロハを教えてもらいました」

 朝一番に工場へ出向いて仏壇の製造に没頭し、夕方には父と2人で店番をする生活を15年間続けた後、2003年に3代目に就任。かねてより「還暦になったら社長を譲る」と公言していた通り、父が60歳になったタイミングでの交代でした。老舗を背負うプレッシャーもありましたが、心の準備はできていたと振り返ります。

 2005年には富山市蜷川にあった店舗を太郎丸西町に新築移転。街の中心地に店を構えたいと思っていたところ、テナント情報が届き開店の運びとなりました。

 「当方は気軽に立ち寄れる店づくりをしています。古くからの習わしがあり、専門的で入りにくいと感じている方もいらっしゃるでしょう。入り口近くのフロアはお線香やろうそくなどの小物を置き、日常使いの品や贈り物をお買い求めいただきやすいよう工夫しています」

五十嵐尚寛 いがらしなおひろ

#chapter3

紫檀や黒檀など木目を生かした唐木仏壇、現代的なデザインも展開

 真宗王国と言われる富山県においては、かつて家屋には必ず仏間があり豪華な金仏壇を設置していましたが、昨今は核家族世帯の増加や、生活スタイルの変化に伴い、徐々に仏壇の好みも多様化しています。

 「フローリングの洋室が主流になるなどお住まいのデザインも変化し、お客さまのニーズも多様化しています。時代の流れに合わせて、紫檀や黒檀のような木目を生かした唐木仏壇や、お部屋の雰囲気になじむようなシンプルで現代的なお仏壇も取り揃えています」

 経年劣化などにより、買い替えを検討している人にはリフォームも案内。「洗い出し」といって仏壇を分解して汚れを落とし、美しさを取り戻すことができると言います。

 「代々受け継いだかけがえのない宝として、優れた技術を持つ先人らの秀作として、後世につないでいただければ幸いです。お見積もりは無料ですので、ぜひお問い合わせください」

 五十嵐さんは毎月第2火曜日、地元北日本放送の午後のラジオ番組で「なおちゃんの仏事あれこれ・神事あれこれ」というコーナーを担当。仏教や神道に関するさまざまな話題を取り上げ、専門家の立場から解説しています。

 「おかげさまで、2025年4月で20周年を迎えました。時々、『毎回ラジオを聞いています』と声を掛けてくださるお客さまもいて、情報がお役に立っているようでうれしいですね」

 故人を偲び供養する。また、先祖に思いを馳せ日々の感謝を示す場所として、真心を込めて仏壇を作る五十嵐さん。お仏壇がご家族の心のよりどころとなり、そこから心豊かな生活が生まれることを本望としています。

(取材年月:2025年4月)

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専門家プロフィール

五十嵐尚寛

製造から販売、修理、清掃まで手掛ける仏壇のプロ

五十嵐尚寛プロ

宗教用具販売業

株式会社五十嵐仏壇店

富山仏壇のメーカーとして木地作りから塗装、組み立てまで手掛ける。メーカーの知見を生かし、要望を聞いた上で適切な商品を提案。多様なお仏壇・仏具・神具の販売も行う他、仏壇の修理、清掃に至るまで幅広く対応。

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