日欧米での経営経験を生かし中小企業を支援するコンサルタント七五三木敏幸

日欧米での経営経験を生かし中小企業を支援するコンサルタント

七五三木敏幸

営業力や社内組織の強化、財務改善などの具体策で時代を生き残れる企業へ

　中小企業基盤整備機構によれば、日本の企業の99.7％が中小企業。ニッチな商品を提供したり、先端技術を世界に展開したり、その在り方は多種多様。雇用においては、国内で働く人の約7割が中小企業に勤務している計算です。

　「日本経済を支える中小企業を活性化して、地域から日本を元気にしたい」との思いで中小企業を支援しているのは、「トライパワーズ」の代表、七五三木敏幸さん。

　2014年から5年間務めたポルシェジャパン代表取締役社長をはじめ、30年以上にわたり自動車業界で活躍。営業、マーケティング、IT、ファイナンス、マネジメントと幅広い業務で職能を磨き、成果を上げてきました。

　経営コンサルタントとなった現在は、日本・ヨーロッパ・アメリカで培った実績と人脈をフル活用。「ディーラーをはじめ中小企業のお力をお借りしてきたので、今度は私が皆さまのお役に立つ番」と、営業力強化、社内組織の最適化、資金調達や財務改善などに取り組み、クライアントの成長を後押ししています。

　「例えば、老舗企業のユニークなビジネスを後世に伝えるには事業承継やM＆Aが有効ですし、新しいサービスを広めたいスタートアップ企業とサービスを求めている大企業をマッチングすればウィンウィンの関係が作れます。お客さまの目標や事業内容、プロジェクトの種類に応じてお手伝いしますので、お気軽にお声がけください」

　中小企業への“恩返し”を込め、M＆Aは着手金なし、業界最低水準の成功報酬を設定。「激変する時代でも生き残れる強い企業づくりを目指しましょう」と呼び掛けます。

趣味が高じて銀行員から自動車業界に転身。「フェアな仕事」がぶれない軸

　七五三木さんが車に興味を持ったのは地元・群馬にいた高校時代。一橋大学2年の夏にトヨタ「カリーナ」を入手すると2年間で6万8000キロ走り、群馬銀行に就職後はフォルクスワーゲン「シロッコ」で碓氷峠の旧道をドライビング。クルマ好きが高じて、30歳で自動車業界に飛び込みます。

　メルセデス・ベンツ日本ではマネージャー職を、ダイムラー・クライスラー日本では営業部長を、クライスラー日本では代表取締役社長兼最高経営責任者を経験。日本自動車輸入組合理事、公正取引委員会理事などの要職も歴任しました。

　いずれの職場、職務でも、大学の入学式で学長が語った「最も大切なのはフェアな仕事」を礎にしてきたと言います。

　「ある時、日本に割り当てられた人気車種の供給台数が予定より多いことがありました。本国の担当者のミスでしたが、私は多くのお客さまに販売できて良いと考えた。しかし上司に『気付いたならなぜ指摘しないのか。公正なスポーツ精神を貫いたテニスプレーヤー、清水善造のようにフェアでなければいけない』と諭され、学長の言葉がよみがえりました」

　七五三木さんの高校・大学の先輩に当たる清水氏には、対戦相手が転倒した際、緩い球を返して立ち上がるのを待ったという逸話が残ります。

　「清水氏は、“近代日本経済の父”と称される実業家で、一橋大の前身組織の創設に尽力した渋沢栄一が掲げた“士魂商才”に共鳴しました。これは利益とともに道徳を重んじる理念であり、私も人としての道理や公平性を胸に刻みました」

経営ノウハウを活用して個性輝く地域を作り、テクノロジーの力で課題を解決

　七五三木さんは英語とドイツ語を操り、ドイツ、イタリア、アメリカ、中国など多国籍の同僚と世界を舞台に切磋琢磨してきました。

　「北イタリアのコモは人口8万余りの小さな町ですが、シルク製品の産地でヨーロッパ繊維市場の約80％を占める。各国の名だたるハイブランドで採用され、世界最高品質と言われます。ヨーロッパでは住民が『私たちの町はこれ』と産業にプライドを持っていますが、同じようにキラッと輝く個性を持つ地域が集まったのが日本なんです」

　ものづくりをはじめとする日本の産業や、伝統工芸の多くは、個人事業者や中小企業によって支えられています。日本の優れた技術を維持し、広くアプローチしていくために、経営体質強化や事業承継、海外進出のサポートなど、「できることは何でもやりたい。異文化間の橋渡し役として、世界でビジネスをしていく若い世代に経験を伝える役割も果たせたら」と力を込めます。

　起業後は故郷・群馬県をはじめ地方を訪ねる機会が増え、地域の課題を目の当たりにしたことで、新たな目標も生まれたとか。

　「人口減少と高齢化が進み、商店が減りバスなどの公共交通が廃線に至っています。自家用車の配車アプリを活用したライドシェアや、AI(人工知能)を使った買い物支援など、テクノロジーの力で生活の不便を解決できる可能性がある。お付き合いしているスタートアップ企業のアイデアと地方とつなぐことで、地域の暮らしをより良くするお手伝いもしたいですね」

（取材年月：2024年2月）

営業・マーケティング・IT・ファイナンスと多角的に中小企業・スタートアップ企業を支援

営業力や社内組織の強化、財務改善などの具体策で時代を生き残れる企業へ

趣味が高じて銀行員から自動車業界に転身。「フェアな仕事」がぶれない軸

経営ノウハウを活用して個性輝く地域を作り、テクノロジーの力で課題を解決

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