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学習書、専門書のイラスト・デザインに携わって40年超。理解を促す具体性のある表現が強み

学参のイラスト・デザイン制作を一気通貫で支えるデザイナー

恒松尚次

恒松尚次 つねまつひさつぐ
恒松尚次 つねまつひさつぐ

#chapter1

制作数は年間1000点以上。イラスト・図版から組み版、DTP、装丁まで対応

 「当方では、イラストや図版といった学習書や実用書、専門書のビジュアルを制作しております。紙面をレイアウトする組み版、印刷データのDTP、本として整える装丁までマルチに対応します。書籍まわりを一気通貫で任せてもらうことで、製本工程の負担を和らげ、編集業務に専念していただくことができます」

 そう語るのは「熊アート」の代表・恒松尚次さん。40年以上にわたるデザイナー歴を持ち、特に幼児教育書や医療書関連のイラスト・デザインに定評があります。多方面から引き合いがあり、その数は年間でイラスト・図版だけでも約1000点に上るそう。

 難しいテキストなどを、絵や図を用い具体性をもって表現。書店に並ぶ書籍を見た出版社から問い合わせが入ることも多いと言います。

 「学習書のイラスト・デザインの豊富な実績こそが弊社の強みです。例えば、雰囲気や概要をつかんでもらうためにラフ画から提案することが一般的ですが、私たちはほぼ完成形で出すこともあります。長年の経験知から、何を求められているかをある程度導き出すことができるんです。クライアントには『イメージが湧きやすい』と喜ばれています」

 得意とするのは、幅広い年代に親しんでもらえる柔らかくシンプルなタッチのイラスト・デザイン。恒松さん以外のイラストレーター・デザイナーは全員女性で、読者に優しく理解を促すイラスト・デザイン制作にたけたものがそろいます。

 「近年は執筆や編集部門を強化し、小中学習書の編集も手掛けています。教育現場の第一線で使われるものですから責任も大きい。児童、生徒さんの好奇心をかきたて、伝わる内容に作り上げていこうと身が引き締まりますね」

#chapter2

読者目線で「見やすさ・分かりやすさ」を追求し、ストレスのない書籍作りをサポート

 恒松さんはイラストレーターになる夢を胸に、故郷の熊本県から上京。教科書や学習書に強いイラスト・デザイン会社に入社し30歳にて独立、1991年に熊アートを設立しました。

 「仕事する上で大切にしていることは三つ。一つ目は読者目線です。知育教材はお子さん、教科書は学生さん、医学書ならお医者さんというように対象となる人物、いわゆるペルソナがあります。読む人に合わせ、見やすくて分かりやすい、ストレスのない書籍作りをサポートします」

 二つ目はクライアントが求めるイメージをとことん追及すること。発注の仕方は千差万別で、条件を詳細に指定する会社もあれば、一任されるケースもあるからです。
 「ニーズにぴたりとはまる形に仕上げるには丁寧な擦り合わせが欠かせません。読者のためを思えばこそ、クライアントの言いなりにならないことも重要。いただいた要素を集約し、膨らませるだけでなく、時には削ることもあります」

 産みの苦しみに葛藤しながら恒松さんは言葉を視覚的に補うデザインを考案します。

 「三つ目はルールを踏襲すること。実はジャンルによって抑えるべき要件は微妙に異なり、学習書では信頼性や公平性が重視される傾向にあります。ごく小さなイラストにも指を5本描くといった情報の正確さや、近年は性別にとらわれないジェンダーフリーの視点も取り入れられています」

 多様性への配慮など業界の機微を捉えて実務に反映。ミスマッチを減らし、修正の手間が少ないスピーディーな納品を目指しています。

恒松尚次 つねまつひさつぐ

#chapter3

動画制作やコンテンツの素材提供など、教育のDX化を支えるサービスにも注力

 「デザイナーは感性が必要だと思われがちですが、実際は地道な作業の連続」と恒松さん。クライアントの要望や理想をかなえるべく各案件に根気強く取り組み、具現化してきました。

 「教育現場でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、インターネットを活用したICT教材が普及していますので、今後はデジタル領域でのサービスも強化していくつもりです。例えば、動画制作会社はたくさんありますが、弊社ほど学習書制作に携わってきた会社は多くありません。約40年の経験に基づく『分かりやすさ』像があるので、書物以外もお気軽にご相談ください」

 自社の公式YouTubeでは子どもたちの創造力や推察力などを育む知育動画を公開し、動画を含むオンライン教材で利用できる素材も展開。自身が培った知見が社会にどんな価値を提供できるか考え、変化を重ねます。

 「デザインの知識にはゴールがなく、自己研鑽(けんさん)の毎日です。絵柄にはトレンドがありますし、商売道具がペンからパソコンに変わったときも四苦八苦しました。大変ですが自分のバージョンアップもやりがいの一つです」

 子どもたちが楽しく学べる媒体を届けたいと願う恒松さん。「どんな小さなイラストも1点1点が真剣勝負です。一つの成果物が誰かの目に留まることで、ご縁が枝状に広がっていくのがこの仕事の面白さです。これからもクライアントの意図や思いをくみ取り、期待を越えていきたいですね」と、イラストレーター・デザイナーとしての心意気を語ります。

(取材年月:2024年2月)

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専門家プロフィール

恒松尚次

学参のイラスト・デザイン制作を一気通貫で支えるデザイナー

恒松尚次プロ

イラストレーター・デザイナー

有限会社熊アート

学習書や専門書のイラスト・デザインを手掛けるデザイン制作会社。イラスト、図版、デザイン、DTP、装丁まで一気通貫で対応。豊富な知見でクライアントの理想を具現化し、読者の理解を促し教育現場を支える。

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