遺言・家族信託援助で円満な相続に導く弁護士
伊藤紘一
Mybestpro Interview
遺言・家族信託援助で円満な相続に導く弁護士
伊藤紘一
#chapter1
土地や建物などの不動産を相続した際、亡くなった人から受け継いだ人へ不動産の名義変更をする「相続登記」。これまでは当事者の任意でしたが、2024年4月28日から義務化されます。その概要は「正当な理由がない場合、自分が不動産の相続人であることを知った時から3年以内に相続登記をしなければ10万円以内の過料が科される」というもの。国内で増え続ける「所有者不明土地」の発生を抑え、適正に利用する仕組みを整えるための法改正の一環です。
「相続トラブルをなくして、遺産分割協議書なしで早めに相続登記をする方法はずばり、元気なうちに遺言書を作成しておくこと」と「伊藤紘一法律事務所」の伊藤紘一さん。弁護士となって四十余年。相続、医療過誤をはじめさまざまな案件に取り組んできました。高齢化社会の問題解決に一役買いたいと、近年は遺言書作成の援助に力を入れています。
中でも、相続人に寄与分が認められる場合、子どもがいない夫婦の場合、相続人の数だけ不動産がない場合などでは、特に遺言書が重要だといいます。
「故人の財産の維持や増加に貢献した方や同居して介護を続けた方などが、他の相続人よりも多く遺産を受け取れるのが寄与分ですが、不満を持つ人が現れるかもしれません。お子さんのいないご夫婦で夫が亡くなれば、被相続人の兄弟姉妹などが相続人となり、話し合いでもめることもあります。また一つの不動産に相続人が複数いると、売却などにより現金化して分けるケースも出てきます。自分がいなくなった後を考えるのは難しいかもしれませんが、円満相続のためには遺産分割について明確に伝え残すことが肝要です」
#chapter2
日本では2040年に高齢者人口がピークを迎え、65歳以上の高齢者が約4000万人、全人口の35%に達すると予測されています。2025年には高齢者の5人に1人、2060年には4人に1人が認知症を発症するとの推計もあります。相続や認知症の対応策として、伊藤さんが重点を置くもう一つの分野が「家族信託」。不動産・預貯金といった財産を信頼できる家族に託す手法です。
「誰に、どのように財産の管理処分を任せるかを決めておくことで、自分で判断できなくなった後でも、不動産の運用や株式の取引などに対応してもらえます。また『自分の次は長男、長男の次は孫』というように、二代先以降の後継者を指定することも可能です。相続人の誰か一人でも判断能力が低下すると、物件の賃貸・売却契約や修繕ができなくなるという、共有不動産の凍結リスクが避けられるのもメリットです」
家族信託には、公正証書の作成、銀行での専用口座開設、不動産の名義変更、借地人・借家人への通知などが必要です。信託契約書には、税制面で不利益が生じないように入れておくべき条項などもあり、専門家のサポートが有効です。
「第三者が入ることで、家族だけでは話しにくい内容も進めやすくなります。私のモットーは、先入観や予断を持たずとにかく最後まで聞く。今後の方向性を決めたら、ご納得いただけるまで説明する。これに尽きます。まず安心して話していただけなければ解決にはつながりませんから。相談時間は限られるので、あらかじめ問題点や現状を整理して来てくださるとスムーズですね」
#chapter3
伊藤さんは大学卒業後、金融機関に就職するも弁護士を目指して一念発起。法律事務所の事務員やサウナのボーイなどをしながら勉強を続け、28歳で司法試験に合格しました。30歳で弁護士登録し、34歳で独立。若手の頃から相続事案を数多く手がけ、中には40年以上交流が続いている依頼者もいるとか。
1994年には、東京弁護士会の紛争解決(ADR)センター開設に携わりました。
「世の中の事案で法的な構成になじむものは1割ほど。あとは人のさまざまな感情などが絡みあう紛争です。弁護士が間に入り、専門知識を基礎として、物事を冷静に見渡すことで、裁判では白黒がつかない問題を解決したいという思いがありました」と伊藤さん。身近なトラブルに柔軟に対応するADRは、現在も多くの人に利用されています。
70代後半にして現役。元気の秘訣は「趣味を大切にする」。多忙な中でもボクシングと囲碁の時間を週に一度ずつ確保しています。
「ボクシングは大学時代に始め、いったん離れて40代で再開しました。60代の頃は試合もしていたんですが、年々相手がいなくなって、今はトレーニングだけ(笑)。囲碁は頭のリフレッシュ。依頼者のお悩みを受け止める仕事だからこそ、私自身が心身を強く保てるようにと心がけています」
不動産会社や町内会の要望に応じ、相続登記の義務化や家族信託について講演活動も行っている伊藤さん。「体力が続く限り社会の役に立ちたい」と第一線に立ち続けます。
(取材年月:2021年9月)
リンクをコピーしました
Profile
遺言・家族信託援助で円満な相続に導く弁護士
伊藤紘一プロ
弁護士
伊藤紘一法律事務所
超高齢化時代に必要なのは元気なうちからの相続対策。半世紀にわたるキャリアを持つ経験豊富な弁護士が遺言作成と家族信託をサポートし、スムーズな財産管理、笑顔の相続を実現します。
\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /
掲載専門家について
マイベストプロ東京に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または朝日新聞が取材しています。[→審査基準]