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現場理解からプロトタイプ生成まで伴走し、"AIで社会を正常化する"一歩に

業務改革と課題解決を“実装”で支えるPdM

濱中康之

濱中康之 はまなかやすゆき
濱中康之 はまなかやすゆき

#chapter1

現場理解から構想し、AIプロダクトの形まで提示する実装型コンサルティング

 「AIで社会を正常化する」──「レッドブリッジ」代表取締役、AIプロダクトマネージャーの濱中康之さんは、活動の軸をこう語ります。

 「AIはもはや技術論だけで語るものではなく、社会や業務の前提条件になっています。しかし多くの現場では、経営・管理・実務のあいだで認識が大きく乖離し、そのズレが心理的安全性を損ない、不満や非効率を生んでいます。私は一次情報、つまり現場で起きている事実を起点に、そのズレを埋めるためにAIを使用します」

 濱中さんが手掛けるのは、AI導入を前提としたコンサルティング支援です。戦略提案や業務改善にとどまらず、AIプロダクトのプロトタイプを実際に作成し、具体像を提示できる点が特徴です。
 「構想や資料だけでは、現場の納得感は生まれません。業務を分解し、AIが担う部分と人が担う部分を整理した上で、触れるプロトタイプとして示すことで、関係者の認識を揃えることができます。AIは導入することが目的ではなく、意思決定を前に進めるための道具です」

 支援領域は、バックオフィスや物流、カスタマーサポートに加え、社会福祉分野にも広がっています。
 「例えば、障がいのある方が持つ集中力や継続力、独自の得意分野を、AIが業務設計や情報整理の面で補完することで、無理なく価値創出につなげることができます。人をAIに置き換えるのではなく、個性を活かす設計を行うことが重要だと考えています」

#chapter2

業務改善を“構想倒れ”にしないためのAIワークフロー設計

  AIの進化により「仕事が奪われるのではないか」という不安が語られることもありますが、濱中さんは現場視点でこう語ります。
 「すべてを自動化することが最適解ではありません。物流のラストワンマイルや福祉現場の判断業務など、人が関わった方が効率的なプロセスもあります。AIは、判断材料を整理し、本来向き合うべき仕事に集中するために使うべきです」

 そのため、業務改善ではAIワークフローの設計を重視しています。
 「多くの組織では、現場・管理職・経営層で見ている世界が異なります。その認識差が、ストレスや不満を生みます。業務や情報の流れをAIで可視化し、共通言語をつくることで、心理的安全性の高い組織づくりにつながります」

 また、AI活用にハードルを感じる企業には、段階的な導入を提案しています。
 「最初から高度なAIは必要ありません。まずは業務の一部を整理し、業務フローを明確にします。その上で、AIを組み込んだプロトタイプを提示し、実現可能性を確認しながら進めていきます。構想と実装を往復できる点が、私たちの強みです」

 今後は企業支援に加え、地方創生や社会福祉など、現場理解が不可欠な領域にも注力していきたいと話します。
 「地域や現場ごとに事情は大きく異なります。AIやIoTは万能ではありませんが、正しく設計すれば、人の負担を減らし、本来向き合うべき価値創出に集中できる環境をつくれます。現場と同じ目線で実装を一緒に進めていきたいですね」

濱中康之 はまなかやすゆき

#chapter3

クリエイティブの現場から、IT・AIの実装支援へ

 濱中さんは、テレビ番組制作会社などクリエイティブ業界を経て、政治専門チャンネルでディレクターを担当。その後、モバイル系ベンチャーに転職し、ITやAIを含むソリューション領域に携わってきました。
 「音楽や映像といったクリエイティブの現場からスタートし、報道の仕事を通じて、テレビからネット配信へとメディアが移行する過程を経験しました。その中で、現場と仕組みのズレが価値や信頼に直結することを強く実感し、自然とITやAIの領域に軸足が移っていきました。現在はコンサルタント、AIプロダクトマネージャーとして活動していますが、価値を形にすること自体がものづくりであり、これまでの経験はすべてつながっています」

 コンサルティングでは、ITを軸に物流や地方自治体などの新規事業、業務改革に数多く関わってきました。代表的な実績の一つが、出身地・北海道で手掛けた通信インフラ整備です。
 「海外ベンチャーや地元企業を含むコングロマリットで参画し、大手キャリアが競合するコンペを勝ち抜きました。最終的には道内100カ所以上の整備につながり、構想を実装まで持っていけたことは大きな成功体験です。この経験は、地方創生分野でも生かせると考えています」

 濱中さんの座右の銘は、「打たないシュートは100%外れる」。アイスホッケー界のレジェンド、ウェイン・グレツキーの言葉です。
 「どんなことでも、行動しなければ前には進みません。私は『とりあえず聞いてみると、何か返ってくる』と相談されることが多く、困っている人がいれば、自分のできる形で手を差し伸べたいと思っています。AIも同じで、正しく使えば人の負担を減らし、個性や強みを活かすことができます。そうした一つひとつの実装が、社会を正常化するための一歩になると信じています」


(取材年月:2025年2月/更新年月:2025年12月)

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濱中康之

業務改革と課題解決を“実装”で支えるPdM

濱中康之プロ

AIプロダクトマネージャー

レッドブリッジ株式会社

「AIで社会を正常化する」をコンセプトに、ツール導入にとどまらないAX、DX推進や地域の課題解決に貢献します。業務プロセスを効率化するAIプロダクトの導入支援や、AIワークフロー提供サービスを展開。

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