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日本語でプログラミングする自由度の高い「プラットフォーム電脳地蔵」をプロデュース

日本語入力のプラットフォームなどソフトウエア開発の専門家

荒木貴代美

荒木貴代美 あらききよみ
荒木貴代美 あらききよみ

#chapter1

「電脳地蔵」は自作プログラムの販売や、他人が作ったプログラムのアレンジも可能

 人間がコンピューターに与える指示をプログラミングと言います。IT化社会への対応などを目的に小・中・高の授業でも必修になる中、日本語仕様に改良したのが「電脳地蔵」です。

 開発したのはシステムやソフトの制作を手掛ける「インテリジェンス・ワークス」。代表の荒木貴代美さんは「英語のプログラミングではささいなスペルミスだったり、不適切な単語を選んだりしてエラーが生じ、原因が分からず挫折する人もいます。この壁を取り除いて日本人特化型のプラットフォームにしたのが特長です」と話します。

 神経系アルゴリズム(コンピューターの処理方法)により、一つの指示に連動して複数のプログラムを動かすことも可能。例えばオフィスのドアを開けるとパソコンが立ち上がり、各種センサーや装置を介して「照明をつける」「未読メールを音声で読み上げる」などを自動的に実行することができます。

 「『電脳地蔵』で作ったプログラムは一つずつ『情報部品SEED(種)』としてまとめられ、起動させる順番や内容を自由に変えられます。また、自作のSEEDをECサイトで売買でき、プログラムの中に、自作の音楽音声、イラストなどさまざまなコンテンツ等を入れることも可能です」

 開発のコンセプトは「ITをDIYで」。家庭や学校の他、人材やデジタル環境が不足する中小企業などで「自分自身の手でプログラミングする」を当たり前にすることが目標です。さらに日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、経済を立て直すことをミッションとしています。

#chapter2

憂う若者を応援しようと起業。国産OSの精神を受け継ぎ「電脳地蔵」を開発

 荒木さんは起業前に国内外の航空会社でCA(客室乗務員)として従事。小学生の頃に初めて乗った飛行機で雲の上を飛んだことに感動し、後に、覚悟を持って顧客を安全に快適に目的地に運ぶという、プロ意識の高い職業であるCAに憧れて、夢を実現させました。

 「本音ではパイロットになりたかったです。コックピットを見て最新鋭の機器類にワクワクしました。でも当時の日本では女性のパイロット採用はありませんでした。また、仕事で外国人と交流し、海外生活も経て『日本はどうあるべきか』と考えるようになり、起業の動機にもなりました」

 帰国後は企業と契約して採用関連の面接官や講師に。しかしリーマンショックに見舞われ、若者たちが希望を失っていく様子を目の当たりにします。

 「厳しい状況にあっても『前を向いて進めば新たな道が開けるはず』と、次代を担う若人を応援するために起業しました。創業当初はラジオ番組を制作して学生を取材し、就活での成功談や失敗談を広く伝えました。クラシックピアノ、バンド活動の経験から、番組内で流す音楽をコンピューターで作曲する中で、弊社会長の矢島正樹にも出会いました」

 かつて矢島さんは「日の丸OS」と呼ばれたTRON(トロン)プロジェクトにおいて、中核システムのBTRONを研究していたとのこと。

 「矢島はBTRON上で、後の『電脳地蔵』の元になるプログラミングを作っていました。Microsoft Windows上で展開する過程で『電脳地蔵』が生まれ、世の幸せや発展を見守ってくれるお地蔵さんに敬意を表して命名しました」

荒木貴代美 あらききよみ

#chapter3

授業のプログラミングでは物足りない子や指導方法に悩む教員にも使ってほしい

 「電脳地蔵」は商工会議所、商工会、地元の郵便局やクリニック、カフェなどで採用。例えば訪問客が出入口を通過する時、音声と映像が自動で流れ、独自のおもてなしの言葉(13か国語)を掛ける仕組みが施されています。

 「電脳地蔵エントランスシステムを活用したもので、多忙でも接客がおろそかにならないよう工夫できます。郵便局では迎送のあいさつの他、取り扱い商品、地域イベントの案内や、振込詐欺などに対する注意喚起をしたり、防犯カメラと連動させたりしています。局長はITとは無縁だったようですが、『おもてなしと広報、防犯と地域貢献に役立っている』とご満足いただいております」

 プログラミングが容易で便利になれば、誰もが本当に実現したいことに集中でき、職場や教育現場の効率化につながっていくと語る荒木さん。難しさよりも楽しさがクローズアップされることを願っています。

 「男子中高生が目指す職業として、ある調査ではITエンジニアやプログラマーが2位に入ったと聞きます。この業界を盛り上げようとしている身として胸が熱くなりましたね。授業のプログラミングでは物足りない子、教え方に悩む先生方、クリエイティブなお子さんを育てたい保護者の皆さんにこそ『電脳地蔵』に触れてほしいです」

 AI(人工知能)に蓄積されたビッグデータは“過去のもの”であり、新しい領域を見つけるのは、やはり人間の役目とか。プログラミングを通じて子ども達や若者達のアイデアが育まれ、それを自由に伸ばしていける柔軟な社会になっていくことを期待しています。

(取材年月:2024年2月)

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専門家プロフィール

荒木貴代美

日本語入力のプラットフォームなどソフトウエア開発の専門家

荒木貴代美プロ

ソフトウエア開発・音声音楽コンテンツ制作

株式会社インテリジェンス・ワークス

英語が主流のプログラミングにおいて日本語入力のプラットフォームを開発。ITに不慣れな人も、英語が苦手な人も自由にコンピューターを動かせる環境を構築し、日本経済の立て直しを図る。

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