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物流・マテハンの自動化をサポートし、企業の潜在能力を引き出す

企業の省人化をサポートする物流・マテハンの専門家

渡邊博美

渡邊博美 わたなべひろみ
渡邊博美 わたなべひろみ

#chapter1

物流オペレーションとITインフラの2軸で、標準化された使いやすいシステムを提供

 労働力人口が減少し人件費が高騰する昨今。物流業界においては、EC(電子商取引)市場の拡大に伴い扱う荷物が増えていますが、人手が足りず「モノが運べなくなる」ことが懸念されています。

 「ブリッジタウン・エンジニアリング」代表の渡邊博美さんは、省人化、省力化に向けたコンサルティングや、荷役作業機器のマテハン(マテリアル・ハンドリング)の導入支援を通じ、物流企業の潜在能力を引き出しています。

 「現場では人材不足が慢性化しているうえ、2024年度からはドライバーの時間外労働の上限が規制されたことで輸送力が落ち、顧客が求めるサービスを維持するのが難しくなっています。やむを得ず短時間のアルバイトを採用した結果ミスが頻発し、事業継続が困難になるケースも見受けられます。持続可能な物流のためには、人に依存しない仕組みづくりが急務となっています」

 渡邊さんはインターネット通信販売大手で物流センターを新設した実績を持ち、第一線の物流システムに精通。スタッフにはITの専門家もおり、「物流オペレーション」と「ITインフラ」の2軸で、入荷・入庫、ピッキング、仕分け、出荷・配送と一連の工程をデジタル化、効率化できるのが強みです。AI(人工知能)のサービサーや、業務の企画・設計・運営を請け負う3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)などとも連携します。

 「設備や流通フローの整備では、手順やルールを標準化して業務品質の向上を図るとともに、使いやすさを重視しています。お客さま起点で考え、実践することでハード、ソフト面の利便性を高めます」

#chapter2

クライアントの業容や事業規模に応じて、自動化や業務効率化について柔軟に提案

 総合商社では物流ロボット事業を担う子会社の創業を支援し、国境を越えて行うECビジネスでは倉庫コンセプトを立案。街中にある物流ロッカーでは故障を減らすための課題を抽出するなど、渡邊さんのコンサル事例は多岐にわたります。

 「倉庫操業では、立地の選定に始まり、レイアウト、ITインフラ、運用までをプランニングしました。クライアントの業種も通販会社やホームセンター、百貨店などさまざまで、『構想の策定だけでなく、施策の実行に至るまで寄り添ってくれた』といった声を頂戴しています」

 自動化する前に、業務効率化で解決できることも多いと話し、顧客の業容や事業規模に応じて柔軟に提案するのも強みの一つ。場合によっては新しいシステムを入れずに、現状でできる改善案をアドバイスすることもあるとか。

 「あるお客さまはEC事業で業績を伸ばしたことにより、外部委託をしていた物流業務のひっ迫を招いていました。物流の内製化を希望されていたのですが、仕組みを一から構築するのは大変で、労力もコストも要しますので、委託業者のスキルアップをベースに改革を進めるよう助言しました」

 マテハン機器については、中国メーカーの「HC Robotics」の総代理店として高速自動仕分け機を販売。北海道から沖縄まで全国で導入されています。

 「2025年4月からは24時間・365日の電話サポートを開始。各地のメンテナンス企業とパートナーを組むことで、迅速な対応を可能にしていきたいと考えています」

#chapter3

物流にものづくりの考え方を取り入れ、物流センターを「サービスを生む拠点」に

 物流業界に身を置く前は、コンピューターメーカーで約20年にわたり勤務した渡邊さん。薄型ノートパソコンの開発やカスタマーサービスに従事していました。

 「海外へ生産拠点が移設されるなど、日本のものづくりが空洞化したこともあり、これからはコンピューターを“作る”のではなく、“使う”側に回りたいと考えるようになりました。物流エンジニアリングの重要性が注目されていたこともあり、サプライチェーンの分野で社会の役に立とうと決意しました」

 ネット販売大手のアマゾンジャパンに入り、技術統括責任者として物流部門の変革を推進。国内15カ所の物流センターを立ち上げました。

 「当時はアマゾンの倉庫が日本に1カ所しかない時代でした。前職で培ったものづくりの考え方を物流に落とし込んだのが特徴で、注文品をスピーディーに届ける仕組みにより、物流センターを単なる保管庫ではなく『サービスを生む拠点』と位置づけました」

 その後、GMS(総合スーパー)や携帯電話補償会社の倉庫開設やマテハンの自動化などに携わり、2018年にブリッジタウン・エンジニアリングを設立。設備機器の拡充に伴う電力使用量の増加を解決するため、太陽光を活用した電力コストの最適化など新たな事業も模索しています。

 「先進的な技術を有するわが国ですが、物流やマテハンの自動化に関する世界的な製品はなかなか出ていないのが実情です。ロボットソリューションを、日本から世界に届けることが当方の目標です」

(取材年月:2025年3月)

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渡邊博美

企業の省人化をサポートする物流・マテハンの専門家

渡邊博美プロ

物流コンサルタント

ブリッジタウン・エンジニアリング株式会社

物流オペレーションとITコンサルティングの2軸で自動化を推進。AIサービサーや3PLとも連携し、企業の潜在能力を引き出します。業容や事業規模に応じ、使いやすい標準化したシステムを提案します。

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