技術と指導力でいけばなの魅力を広める華道家
鷲谷香明
Mybestpro Interview
技術と指導力でいけばなの魅力を広める華道家
鷲谷香明
#chapter1
「日本の伝統文化であるいけばなは、楽しくて面白くてカッコいいアートです。草花に触れることで心を癒やしてくれたり、物事を深く感じ取る感受性や表現力を高めてくれたり。それが人生やビジネスの可能性を広げてくれます。いけばなを通して人生を豊かにしませんか?」
そう話すのは、東京都品川区の華道家・鷲谷香明さん。草月流の師範理事としていけばなを教えています。
「日本三大流派の一つである草月流はモダンかつ斬新、自由なスタイルが特徴です。堅苦しい雰囲気はなく、自由にのびのびと学んでいただけます」
趣味として親しむ女性だけでなく、感性を磨いてあげたいお子さんや認知症予防につなげたい高齢者向けの脳活教室も展開。花とは縁遠かった男性や経営者層には発想力や想像力・リカバリー力を養うツールとしていけばなを提唱しています。
「複数のことを同時進行させて作業することが多い現代人は脳にストレスがかかっています。花をいけることに集中する時間を持つと、いけ終わった時の解放感が気持ちがよくて、脳もすっきりすると生徒さんたちは話してくれます」
オンラインにも対応。自宅でいけた作品の写真や動画を送ってもらいコメントを返すインタラクティブレッスン(双方向型)です。
「近隣に教室がない方や、お仕事が忙しくて決まった曜日や時間に通うのが難しい方、以前習っていたけれど子育てや介護などでお稽古から離れていた方も学びやすいのが利点です」
草月流創立者の愛弟子に30年以上師事し、確かな技術と指導力を強みとしている鷲谷さん。観客の前で生けるライブいけばななど、いけばなを普及する活動にも力を入れています。
音楽家とコラボし、コンサートホールやライブハウスで花を生けるイベントも行っています。大きな作品を手掛ける際には電動ドリルや金づちを用いることもあるそうです。
「来場した男性のお客さまの中には、和室で正座して生けるイメージをお持ちの方がまだ多いようで、『すごい』『これもいけばななの』と驚かれますね」
#chapter2
鷲谷さんが花の世界に入ったのは、学生時代にニュージーランドに短期留学した際の出来事がきっかけです。
「ホストファミリーのお母さんから『日本人の子が来るからいけばなを教えてもらおうと心待ちにしていたのよ。庭の木や花を全部使っていいから、教えて』と言われたんです。私が『習っていないから教えられない』と伝えるとすごくがっかりされました」
「自国の文化を知っていて当然」という姿勢が国際的なスタンダードであることに衝撃を受け、華道を学ぼうと決意。社会人になると同時に習い始めました。少しずつ腕を上げ、師匠のサポート役を経て、自身の教室を開きました。
#chapter3
「やりがいは、表現者として先人から紡がれる芸術を伝えられること。伝わって生徒さんに喜んでもらえた時にこの上ない幸せを感じますね。次の世代に伝えていかなければいう使命感も、活動の原動力になっています」
たおやかに、時に躍動的に草花をあしらう鷲谷さんの作風は、受講者の心をつかみます。
「最初は週1回で始めた生徒さんが探究心から、回数を増やすケースが多いです。多彩な花材を使いますので知識が広がりますし、同じ花材でも季節によって異なる表情を見せてくれますので、その時々でアレンジができ飽くことがありません」
今後は着物姿で近隣の戸越銀座商店街でいけばなや茶道を体験し、食べ歩きを満喫したりする企画を構想しています。
「日本人だけでなくインバウンド向けにも開催し、日本文化の素晴らしさを伝えていきたいですね」
また環境などに配慮する持続可能なサステナビリティーの活動にも関心を寄せています。
「公園などで枝打ちした木を、大作いけばなに再利用できないかと考えています。地域の子どもたちにも参加してもらって、楽しく植物と触れ合いながら環境に配慮する学びへと繋げられたらうれしいですね。賛同してくださる施設を募集しています」
いけばなを室内の小さな空間だけにとどめるのでなく、外に出て多方面で魅力を発信する鷲谷さん。「『花を生けるって独創的でクール!』と思ってくれる方をひとりでも多く増やしていきたいですね」と笑顔を咲かせます。
(取材年月:2024年11月)
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技術と指導力でいけばなの魅力を広める華道家
鷲谷香明プロ
華道家
草月流創始者の直弟子を師匠に持ち、30年以上師事。高い技術と自由で楽しい指導に定評があります。こどもから経営者、インバウンド向けのリアル・オンラインレッスン等、各々特徴ある指導をいたします。
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