PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

保育園は日常生活の延長。家庭的な雰囲気を大切に、園児が遊びに没頭できる環境をつくる

子どもの発達を導き見守る、遊び込める環境づくりのプロ

賀川真琴

賀川真琴 かがわまこと
賀川真琴 かがわまこと

#chapter1

園児と保育士の信頼関係を育む育児担当制や、年齢が異なる縦割りクラスの異年齢保育を採用

 「当園では、保育園を日々の暮らしの延長の場と捉え、子どもたちが遊び込める環境と家庭的な雰囲気を大事にしています。私たちの服装もジャージやエプロンといったユニホームではなく、動きやすさや安全性に配慮した私服なんですよ」。朗らかに話すのは、徳島県徳島市にある「めだか保育園」で主任保育士を務める賀川真琴さん。

 遊びに没頭することで集中力や思考力、想像力が培われることから玩具にもこだわっているそうです。
 「用途が限定されていない方が自由に遊び、発想力を高めることができるので、飾りがなくシンプルなものを選んでいます。品質も追求し、スイスの木のおもちゃメーカー『Naef社』の積み木は10年以上使っていますね」

 玩具ごとに置き場所を決めており、園児は思い思いのコーナーへ駆け寄ります。「『あそこに行けば自分の好きなおもちゃがある』ということが、幼い子どもに安心感をもたらすんです」と賀川さん。自然に触れ、情操を養えるよう、室内の壁は色画用紙で装飾せず、四季折々の花を生けるなど季節感も大切にしていると言います。

 また、0〜2歳の乳児期は育児担当制を導入するなど、年齢に応じた配慮も細やかです。
 「食事・睡眠・排泄といった生活習慣を同じ保育士が受け持ちます。まずは一人の先生と信頼関係を育み、ここが安心できる場所だと感じてもらうためです。3〜5歳の間は、縦割りクラスで異年齢保育を実施しています。年齢が異なるお友達と交流する中で協調性を身に付け、お互いに刺激し合うことで学びや成長につなげていきたいですね」

#chapter2

小学校に入った時に子どもたちが感じる戸惑いを減らしたいと、保育士の道へ

 大学時代は小学校教諭を目指し、教育学部を卒業後は臨時的任用教職員として小学校に勤務していた賀川さん。そこで保育士の道に進むきっかけを得ます。
 「1年生の担任の先生が、『保育園でこんなことを教わっていたら、子どもたちも学校生活が送りやすいんだけど』と話していて。次第に、小学校に入った時の戸惑いを減らせるよう、就学前にできることがあるのではないかと考えるようになりました。母が保育士をしていたので、身近な存在でもあったんです」

 すでに保育士資格を取得していた賀川さんは、さっそく園探しを開始。「家庭的な雰囲気」「和食中心の給食」という言葉が目にとまり、めだか保育園で働くことを決めました。
 「当園の給食は可能な限り地元の旬の食材を使い、すべて園内で調理しています。園の前には畑があって、子どもたちは芋掘りなど収穫体験をします。畑作業はみんな大好きなんですよ」

 2008年の入職以来、園児たちとまっすぐに向き合ってきた賀川さん。「心掛けているのは、子どもたち、保護者、起こった問題に対して丁寧に関わること。あとは、子どもたちが話しやすいよう、ピリピリせず穏やかな気持ちでいることですかね」と笑顔を見せます。

 「私たちの仕事は明確な正解があるわけではないので、毎日が試行錯誤です。休日の外出先でおもちゃがディスプレーしてあると、つい観察してしまいますね。いいなと思って取り入れたモノ、コトで、子どもたちが夢中になって遊んでいる姿を見ると、すごくうれしくなります」

賀川真琴 かがわまこと

#chapter3

津波避難タワーを併設した分園のほか、療育相談、医療的ケア児のサポートも展開

 2013年には本園のすぐそばに、津波避難タワーを併設した分園を開園。普段は3〜5歳児が通う園舎ですが、有事の際は園児や保護者のみならず近隣住民も退避できる収容能力を備えています。
 「子どもや職員の身の安全を守ることは、園の重要な責務の一つです。災害が頻発する昨今、防災には引き続き力を入れていきます」と賀川さん。

 徳島市保健センターと連携し、療育相談も実施。保護者は子育てで気になることや不安があれば職員に相談することができます。
 「子どもの特性に応じた幅広い支援ができるよう、言語聴覚士や理学療法士といった専門家に必要に応じて訪問してもらい、助言をいただいています」

 さらに2022年からは、徳島市と連携し、日常的に医療的援助が必要な医療的ケア児の受け入れると手を挙げています。
 「今まで園に通うことが難しかった子どもたちにも、同年代の友達と過ごす喜びや楽しさを感じてもらいたいです。保育園は、単に子どもをお預かりしてお世話をする場ではありません。社会や人と交わり、好奇心をもっていろんな経験をすることで、今後の人生に大きな影響を与える場所だと考えています」

 日頃からアンテナを張って情報収集に努めるほか、さまざまな研修に積極的に参加。「保護者のみなさんと一緒に考えながら、子どもたちそれぞれの発達をサポートし、成長を見守っていきたい」と熱意を見せる賀川さん。子どもたちにより良い保育を提供していくための取り組みは、これからも続きます。

(取材年月:2022年8月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

賀川真琴

子どもの発達を導き見守る、遊び込める環境づくりのプロ

賀川真琴プロ

保育士

めだか保育園

保育園を日常生活の延長と考え、家庭的な雰囲気を大切に、園児が遊びに没頭できる環境をつくる。育児担当や異年齢保育など、発達に応じた環境保育にも注力。給食は地元の旬の食材を豊富に使った和食中心の献立。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ徳島に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または四国放送が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO