相場を知り尽くし、高品質車を安く販売する中古軽自動車のプロ福本宗也

相場を知り尽くし、高品質車を安く販売する中古軽自動車のプロ

福本宗也

走行距離や状態が1台1台異なる中古車。販売には知識とノウハウが必須

　「徳島など公共交通機関が少ない地方では、1人1台自動車を持つのが当たり前となっています。少しでも安く、手軽にお買い求めいただくため、中古の軽自動車に特化しています」

　そう強調するのは、徳島市の中古軽自動車専門店「フクモト自販」で代表を務める福本宗也さん。父の代に創業し、35年以上の歴史を誇ります。

　一言で軽自動車といっても、メーカー、車種により特徴はさまざま。「特に中古車は、走行距離や状態が1台1台異なるので、販売が難しいと言われています。当店には中古車一筋三十余年で培ったノウハウが蓄積されており、それぞれの長所や短所などをきちんとお伝えしますので、安心してお選びください」と呼び掛けます。

　福本さんが心掛けるのは、顧客の希望だけでなく、その人のライフスタイルに応じた車を提案すること。「例えば通勤で距離を長く乗る方にはまだ走行距離が少ない車を、小さいお子さんがいるファミリー層には、挟み込みを防止できるパワースライドドア付きをお勧めします。徳島に転勤で訪れ、2年だけ乗りたいという方がいらっしゃいましたので、その際は下取り価格が高くなる車をご案内し、喜ばれましたね」

　メンテナンスについては「中古車である以上、どうしても新車よりトラブルが起きる確率が高いので、利益を考えずに取り組んでいます」と福本さん。エアコンの風が弱い、警告灯が付いたなどの軽微な困り事についても丁寧に対応。「私どもは『売って終わり』ではなく、納車後もお客さまと長くお付き合いできることを重視しています」と力を込めます。

経験と勘が試される中古車の仕入れ。「車を見ればどんな人が乗っていたかが分かる」

　豊富な知識に裏打ちされた目利きと、丁寧なアフターケアが身上の福本さんですが、「良い車をお手頃価格で提供できる秘訣は、実は仕入れにあるんですよ」と明かします。
　「数ある中からえりすぐっていくのは容易ではありませんが、経験と勘を頼りに慎重に見極めていく仕事は、中古車を取り扱う醍醐味と言えますね」と目を輝かせます。

　福本さんが利用しているのは、主に神戸市の中古車オークション。一度に10台ほどをまとめて落札することもある一方、神戸まで行っても仕入れない日もあるとか。
　「リーマン・ショックやコロナショックの際に景気は減速しましたが、中古車市場も大きく相場が下がり、逆張りでたくさん仕入れを行い、結果的には大きく販売台数が伸びましたね。景気、店舗の在庫、顧客の動向を総合的に判断し、安価に入手できるタイミングを計ることで、お安く提供させていただきます」

　車を見れば、「どんな人がどのように乗ってきたかが想像できる」と鋭い眼識を持つ福本さん。店頭に並べる際は、エンジンや足回り、車内に電装品までくまなく点検し、試乗も実施。必要に応じて手当てを施し、修復歴はしっかりと顧客に説明します。

　「当店のお客さまは徳島県内の方が中心です。地域密着である以上、いい加減なことはできません。利益よりもお客さまとの信頼関係を重視してきた結果、2台目、3台目も買ってくださるリピーターが自然と増えた印象があります。既存のお客さまがご家族のお車ご購入や車検入庫にご紹介してくださると、信用してもらえているのだとうれしくなりますね」

創業三十余年の地域密着店。目指すのは敷居の低い街のほっとする安心の車屋さん

　福本さんの父が同店を立ち上げたのは1986年。「苦労もあったようで『お前は別の道に進め』と言われましたが、20歳の頃から店を手伝い始め、小遣い稼ぎのために洗車などをする毎日でした」と当時を振り返ります。

　その後、販売など主要業務にも関わっていきます。「最初は失敗ばかりで、お客さまからのお叱りの電話におびえたり、オークションでの仕入れや買い取りも失敗の連続で泣きそうになりながら帰路についたりしました」。それでも、初めて顧客に購入してもらった時、初めて自分が仕入れた車が売れた時など、節目節目でやりがいを感じていったと言います。

　実務を積み、30歳で社長に就任。2012年2月、老朽化していた店舗を移転拡大リニューアルオープンすると共に、国の基準を満たした認証整備工場となりました。
　「さらに、第1子の誕生とも重なりまして、子供の夜泣きでほとんど眠れず、移転オープン直後は目の回るような忙しさで、真冬の極寒の中疲れ果てて会社で朝を迎えたりと、あの頃のことは一生忘れません」と笑います。

　「近年、軽自動車の人気が高まり、特に若者は中古商品に抵抗が少なくなっております。さらに、SDGs（持続可能な開発目標）などに代表されるリユースや環境意識の高まりで、中古車の良さも見直されているようです」

　今後について「やはり中核事業の中古車販売を極めていき、目先の売り上げやノルマの追求よりも、地に足がついた商売をしていきたい」と語る福本さん。顧客から寄せられる「あのお店は頼りになる」の声を励みに、引き続き地域に根差した老舗を目指していきます。

（取材年月：2022年7月）

良い軽自動車を安く仕入れ、安価で販売。迅速丁寧なアフターサービスで顧客と長いお付き合い

走行距離や状態が1台1台異なる中古車。販売には知識とノウハウが必須

経験と勘が試される中古車の仕入れ。「車を見ればどんな人が乗っていたかが分かる」

創業三十余年の地域密着店。目指すのは敷居の低い街のほっとする安心の車屋さん

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