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磨き続ける技術の上にスタッフの個性が光る、メンズヘアに特化した理容サロン

髪型で男性の“かっこいい”を作り人材育成に尽くす理容のプロ

田邊健一

田邊健一 たなべけんいち
田邊健一 たなべけんいち

#chapter1

パーマもフェイスのお手入れも。男性スタッフが男性の悩みやニーズに寄り添う

 島根大学正門から徒歩約1分。松江市学園でメンズヘアに特化した理容サロン「CLAPS GAKUEN(クラップスガクエン)」を開くのは、理容師の田邊健一さん。

 「男性の“格好良い”を作る」をコンセプトに、カット、カラー、パーマ、ヘッドスパ、顔そりなど各種メニューを展開。広々とした明るい店内はセパレートされたセット面・完全個室を完備しています。

 「お客さまの髪質、骨格、顔型に合うヘアスタイルをかなえ、ご自身で再現できるよう、初回来店時には好みのテイストや普段のスタイリング方法などを丁寧にヒアリングします。お時間に余裕をもってお越しください」と田邊さん。

 キッズから60代まで幅広い世代を迎え入れ、トレンドヘアや就活向けなど多様なオーダーに応えます。中でも人気なのがパーマで、顧客の利用率が20%を超えると言います。

 「お客さまに新たなデザインを提案するため、スタッフはコンテストに出場したり、東京のサロンのセミナーに参加したりして技術や流行を取り入れています。トレンドに敏感な10~20代向けのパーマはもちろん、30~40代向けには、骨格を補正し頭の形をきれいに見せるパーマや、ボリュームを出すパーマもトレーニングしています」

 若者が多く集まる場所柄ですが、オープン当初から20年以上通う常連客も多いとか。
 「男性スタッフが男性の髪型を作るので、男性の要望にフィットした対応ができていると思います。眉毛やひげなどのパーツを整えると印象が変わりますので、フェイスのお手入れ、年齢を重ねる中で生じる毛量や髪質の変化など、どんなお悩みも気軽にご相談ください」

#chapter2

時代に合わせた伝え方に更新することで、受け継がれてきた技能を次世代へ

 松江理容美容専門学校を卒業後、元日本チャンピオンが経営する都内の理容サロンに就職。若手理容師の世界大会に出場するなど、腕を磨いてきた田邊さん。地元で独立したのは2002年のことです。

 「オープン当時から意識しているのはアパレルのセレクトショップ。ラグジュアリーからカジュアルまで、個性的でいながら1つのコンセプトで貫かれたブランドが揃う店が目標です。当店で言えばスタイリスト一人一人がブランドのようなもの。スタッフがそれぞれの得意分野でお客さまの“格好いい”をお手伝いし、ご来店のたびにサロンを楽しんでいただきたいと考えてきました」

 全国理容生活衛生同業組合連合会(全理連)をはじめ業界団体で講師を務め、組合員向けの教科書の作成に携わるなど、後進の育成にも尽力。自身のサロンでも毎週研修を開いています。

 「教育現場などで得た知見をスタッフに伝え、お客さまに還元するサイクルを作っています。背景には私自身の修業時代が影響しています」

 かつて職人の技は見て盗むといった風潮があり、仕事が覚えられず辞める同僚を見てきたそうです。

 「僕は感覚に頼らず『髪を切る時は頭皮に対して90度に毛束を引き出し、45度でハサミを入れる』などとロジカルに指導したい。先代から受け継がれてきた技能を、次世代に継承するには誰もが分かりやすく教えることが重要。時代に合わせて伝え方を更新し、世代間をつなぐ“橋渡し”が僕ら世代の役割だと思います」

 田邊さんはいち早くSNSやブログを活用し、ヘアスタイルの提案や店の情報発信にも努めてきました。

#chapter3

業界の高齢化や後継者不足を解消するため、理容師の教育・育成に尽力

 理容師美容師試験研修センターによると、毎年約2万人が美容師資格を手にするのに対し、理容師は約1500人。2020年の国勢調査によれば、理容師の平均年齢は60歳を超えました。業界の高齢化や後継者不足が進む現状に、田邊さんは風穴を開けようとしています。

 「理容師にとって働く場所は、技術を覚える大切な場所。島根の理容師の雇用を守るため、サービス料金や勤務形態・給与などについて、全国の仲間の取り組みや成功事例を聞きサロンでも実践しています。理容師を目指す人が好きな仕事をしながら家族を作り、地元で暮らせるようになるのが理想。まず理容師が一生涯続けられる店づくりをしたいですね」

 田邊さんは、休日にレッスンやセミナーを受講した際は時間外手当を支給。練習用のマネキンは会社で購入するなど、個人が負担なくスキルアップに励める環境を整備してきました。

 雇用の面では、未経験・無資格のパートスタッフを採用。働きながら理容師資格を取得した実績もできました。他に、ロンドンの美容アカデミーを卒業後、東京で活躍しUターンした美容師が加入。今後も多様な人材を受け入れ、育てていきたいと考えています。

 「テクニックを駆使して自在にヘアスタイルを作り、目の前のお客さまに喜んでいただきながら一生成長していけるのが理容の面白さ。私にとって理容業は、教育・育成こそが本懐だと思っているので、これからも多くの人に仕事のやりがいや技術を伝えたいですね」

(取材年月:2024年5月)

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田邊健一

髪型で男性の“かっこいい”を作り人材育成に尽くす理容のプロ

田邊健一プロ

理容師

CLAPSGAKUEN

男性のヘアスタイルに特化し、パーマで高い技術を持つ理容サロン。髪質、顔型に合ったヘアスタイルを提案します。また理容師の働き・学びやすい職場環境づくりで次世代で活躍する理容師育成にも尽力。

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