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お客目線でスーパーの売り場を改善し、利益をあげる

高利益を出すスーパーマーケットにするコンサルタント

新谷千里

新谷千里(しんたに・ちさと)さん
「お客様のためになるのか?」が大切

#chapter1

立ち直るカギは現場にあります

 お店の周辺に次々とできるライバル店にお客を奪われる。値引きをしても客の姿はまばら。打つ手がない。そんな悩みを持つスーパーの経営者のみなさん。利益を出す店に変革するプロの新谷千里さんの話を聞いてみませんか?
 新谷さんは、大手スーパーの現場一筋で働き、業務改善チームも担当したエキスパートです。わかりやすい教え方で、無駄な作業をなくしてコストダウンを図り、利益を増やします。
 「作業を見直すことは、これまでしてきたことを否定することですから、当然、現場での反発はあります。でも、業務改善が従業員に利益があることを伝えて協力関係を作り、スムーズに進めます」と新谷さんは話します。
 例えば、在庫管理です。データで在庫を確認して無駄な発注をなくし、在庫を少なく適正にします。これまで手間取っていた商品探しや賞味期限の日付の確認作業が早く進みます。
 このほか、作業指示書を作り、作業内容を明確にします。これにより、従業員の指示待ち時間が減り、言い間違い、聞き間違いもなくなり効率化できます。
 つまり、無駄な時間が減り、人件費減にもなる。経営者、従業員双方の利益です。
 その一方で、新谷さんは意識のレベルアップも要求します。小さなことですが、その一つに、開店時に商品をきちんと品ぞろえして、来店客を待つことがあります。「朝一番で入って来られるお客様は、お店のファンです。ファンが求める商品がないという失礼なことはできません」と説明します。
 上から目線でなく、来店客の視線で指導する新谷さんの姿勢は経営者、従業員に伝わり、利益増に確実につながっています。

#chapter2

考え方を変えて、来店者を増やそう

 目の前のことだけを考える経営者は目先の売り上げを伸ばすことしか考えません。しかし、新谷さんは「本来の目的の営業利益を上げることに考え方を変えませんか」と呼びかけます。
 多くのお店が価格競争を繰り広げていますが、新谷さんは、これが本当に来店客のためになるのか?と強い疑問を持ちます。
 人口減少が続く小さな町で、新谷さんが指導し、利益を大幅に増やした事例を紹介しましょう。
海に近い、この町はおいしい魚が豊富に取れます。店頭では鮮魚を並べるだけで加工して販売する視点はありませんでした。
新谷さんは、もっとおいしい食べ方を来店客に提案するために寿司(すし)やお造り、お総菜にして付加価値をつけて販売を始めました。これが、喜ばれて売り上げと利益が大幅に増え、地域でNo.1の店になりました。
 加工するのは店員さんたちです。商品を並べる単純作業からレベルアップし、来店客を意識し、店の雰囲気も変わりました。
来店客に喜ばれつつ利益も増やす手だてをもう一つ伝授してもらいました。食料品の期限が切れる早く前から在庫処分することです。「ぎりぎりまで待てば、売上額は増えますが、お店からみて『まだ売れる』の論理。お客様からみて『大丈夫?』の意識が欠けています。早く処分する方が在庫管理のコストを減らせるうえ、お客様に喜ばれるので利益につながります」と新谷さん。
 売ることより、どうしたら売れるのか。どうしたら、お客様に喜んでもらえるのか、考え方を変えることで店も変わります。新谷さんは、そのスイッチを入れる手だてをたくさんもっています。

買いやすい、選びやすい店になることが大切です

#chapter3

売るより、買ってもらえる店に

 来店客を意識した時、お店はどう変わるのでしょうか?
 「商品の並べ方を見ればわかります。例えば、秋からは、おでんを食べたくなるお客様のために、厚揚げなどの具のそばに、カラシやだしのもとを並べます。季節によってお客様がほしくなるものは違います。それを予測して関連商品を1か所に集める。売るのではなく、買ってもらえる売り場作りができるようになります」と新谷さんは話します。
 また、並べる商品に心遣いが。例えば、在庫処分のため値下げの値札が付いた生鮮食品の横に値下げしない価格を付けた商品も並べます。「以前は、古い品から売る並べ方をしていましたが、それではダメです。安くてラッキーと思う方もおられれば、新鮮さにトコトンこだわる方もおられます。お客様が選択するのです」
 買いやすい、選びやすい店になることで、信頼関係が構築され、結果的に来店者が増え、営業利益も増えるということですね。
 ところで、来店客のことを意識していない店とは、どんなお店でしょうか?
▽商品を適当に陳列しているお店▽通路が狭く、やたら突き出し陳列が多い店などです。最近は、特にカートを使うお客様も多いので、通路が狭いと商品をゆっくり選ぶことができません。
 自分のお店の現場をのぞいて、そうなっていたら、ぜひ、新谷さんにご相談を。

(取材年月 2014年10月)

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専門家プロフィール

新谷千里

高利益を出すスーパーマーケットにするコンサルタント

新谷千里プロ

経営コンサルタント

有限会社サミットリテイリングセンター

100社以上の業績向上を実現した業務改善のプロ。売れてしまう実践的マーケティングと作業改善、そしてコスト削減。他では教えてくれない理論と実地指導で、競争の厳しい時代に確実に営業利益を向上させます。

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