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庶民の生活支えた質屋を基盤に新しいネットビジネス展開

確かな鑑定力による質屋・ブランド品買い取りの専門家

川崎雅史

川崎 雅史(かわさき ただし)さん
得意な取り扱い商品は宝石、時計、ブランド品

#chapter1

上手な使い方で活用できる業態です

 まっすぐつながった商店街として日本で一番長いとされる天神橋筋商店街のアーケードを抜けた地下鉄・阪急電鉄「天神橋筋6丁目」駅5号出口からすぐの場所に、創業60年を超える丸万質舗があります。三代目社長の川崎雅史さんは「質屋という業態が若い人にはなじみ薄くなってきていますが、上手に使っていただければ思い出の品を売らずに当座の入り用をまかなったり、メンテナンスされた良質な中古品を格安で買い求めたりできるお店だということをもっと知ってほしいですね」と、アピールします。
 質屋とは、時計・貴金属、カメラ、衣類などの品物を金庫で預かり、その価値に見合ったお金を融資するお店で、一定期間内(原則3か月間)に借りたお金と利息や保管料にあたる「質料」を支払えば品物が返ってきます。
 アメリカでは現在、「Pawn Stars」という質屋を舞台にしたドラマが大ヒットしていますし、映画「メン イン ブラック」やブラッド・ピット主演の「スナッチ」にも質屋は登場します。また日本でも昔から「一六銀行」(1+6=7だから「しち」)と呼ばれ、洋の東西を問わず質屋は庶民の生活を支える仕組みとして親しまれてきました。ただし、銀行などの金融機関とは異なり、都道府県の公安委員会の許可の下で営業をしています。
 また、品物の売却を希望するお客さまには、品物を査定して即金で支払います。買い取った品物や、お金を用立てたものの期限内に返済されなかった品物は、中古商品、質流れ品として店頭やインターネット、百貨店の質流れバーゲンなどで販売もしています。

#chapter2

ブランド品・時計などの「目利き」を同業者で研さん

 品物を預かってお金を融資するにせよ、買い取るにせよ、その品物が本物かどうかだけでなく、その価値を金額として正当に評価する能力が大切です。
 「輸入ブランド品の中にはかなりの割合で偽物が横行しているのは事実です。一目で分かる粗悪品もありますが、非常に精巧な物もあって見破るのはなかなか難しいのです」と川崎さんは現状を憂います。
 そこで、全国の質屋経営者たちが出資して、偽物を二次流通市場から排除し、消費者が安心して中古品を購入できるよう、その真贋(しんがん)を見極めるためのデータ収集と鑑定力のアップを目指して設立したのが一般社団法人「ATF全国質屋ブランド品協会」です。
 目視による検査だけでなく、化学的分析装置をもちいた真贋判定を研究するなど地道に活動している団体で、川崎さんは現在、協会の副理事長を務めています。「偽物作りもどんどん巧妙になるので、日々の研さんが必要で、同業者同士で情報交換や研修を重ねています」とのことです。
 さらに丸万質舗では中古品相場の業者間取引価格がデータベース化され、日々変動する相場に敏感に反応できるような体制がととのっています。
 質屋では、様々なものを取り扱っていますがお店によって得手不得手があります。丸万質舗では時計・宝石・貴金属・ブランド品・カメラ・電化製品などを扱っていて、「私は、特に宝石、時計、ブランド品などが得意です」。川崎さんは宝石の鑑別技術に必要なGIA.GG(米国宝石学会 宝石学修了者)の資格を持っています。「宝石鑑別の技術は、ほかの商品の真贋判定の技術としても非常に役立ちますね」とのことです。

宝石鑑別の資格も取っています

#chapter3

SNSを活用して商圏拡大します

 お金を融資する質屋の営業は、本人に店頭に品物を持ってきてもらう必要がありますが、買い取りと中古販売はインターネット上の取引も可能です。川崎さんが今、力を入れているのは、庶民的な金融はもちろんのこと、弁護士事務所や会計事務所などと連携して、相続時の評価額査定や、中小企業オーナーの皆様の短期的な資金繰りの一助を担うことです。そしてFaceBookやブログといったSNSを活用して、皆さんにもっと質屋のことを知ってもらいたい、もっとうまく質屋を活用してもらいたい、一般にあるネガティブなイメージを払しょくしたい、そんな思いを熱く語ります。
 創業者の妻の祖母、二代目の父も健在で、お店で若い三代目の後見役をしっかり務めています。川崎さんは「先代から譲り受けた、地域に根差した信用を基盤に、長年培った鑑定眼を武器にして商圏を全国に広げていきたい」とのこと。
お店の金庫室の前に「十二月十二日」と書いてある札が逆さに貼ってあります。
 「泥棒よけのおまじないです。12月12日は石川五右衛門が釜ゆでの刑に処せられた日と伝えられ、昔は泥棒は屋根裏から頭を出して逆さまに侵入してきたので、逆さまの目にも読めるよう大泥棒の命日を書いた紙を貼って悪事をせぬよう戒めたそうです」と川崎さんに教えてもらいました。「このお札は祖母が毎年12月12日に書き替えて、家中の出入り口に貼っています」とのこと。仲のいい三世代家族が守る、古くて新しい質屋さん。それが、丸万質舗です。

(取材年月:2012年6月)

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Profile

専門家プロフィール

川崎雅史

確かな鑑定力による質屋・ブランド品買い取りの専門家

川崎雅史プロ

株式会社丸万質舗

「ATF全国質屋ブランド協会」にて設立当初より理事を務め、ブランド品の真贋(しんがん)鑑定に自信があります。しっかりした目利き能力で品物の鑑定を行い、融資、買い取りに納得のいく価格を提示します。

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