五感を生かして快適な空間を作るインテリアコーディネーター
久保栄子
Mybestpro Interview
五感を生かして快適な空間を作るインテリアコーディネーター
久保栄子
#chapter1
「SNSの普及もあり、最近の人は視覚に頼りすぎていると感じます。SNSを見て『おしゃれな家具がほしい』『かっこいいお部屋にしたい』という声を聞きますが、それが自分に合っているとは限らないのです。見栄えよりも、自分にとって気持ちいいかどうか、本当に好きなものや大事にしたいことに焦点を当て、居心地の良い場所を作っていただきたいですね」
そう話すのは「りとるらっく」の代表で、インテリアコーディネーターの久保栄子さん。「五感インテリア」をコンセプトに、人が持って生まれた機能「視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚」を使える暮らしをアドバイス。見た目だけでなく、音や手触り、においや気配なども含め、そこはかとなく漂う空気感に癒やされ、ほっとできる空間こそが自分の居場所になると呼び掛けます。
「私自身、若い頃は家が落ち着ける場所ではありませんでした。コロナ禍を経て“おうち時間”を重視する傾向にありますが、過去の私と同じように自宅で安らげない方もおられるのではないでしょうか。ダイニングテーブルの配置を変えるだけで家族の会話が増えるなど、ほんのちょっとしたことで環境は改善しますから。家が快適でない原因を探り、解決のお手伝いをいたします」
使いにくい収納や動線なども自分では原因に気が付かないことも。久保さんはヒアリングや現場の確認をもとに、好みのテイストやライフスタイルに合わせてプランニングしています。
「何を快適と感じるかは人それぞれ。ご本人にとっての心地よさを追求していくプロセスは、人生相談のような面もあります」
#chapter2
「子育てが一段落した頃、パートタイマーで働きつつも、自分で何かをしたい、一生できる仕事を見つけたいという思いが強くなりました」と久保さん。いろいろな職業や資格を調べる中で、ライフワークとなるインテリアコーディネーターに出会います。
「家族が日常を過ごす場である住まいを整えるにあたり、掃除や洗濯といった家事、育児など生活の全てが仕事につながり、主婦としての視点を役立てることができる。まさに自分が求めているものだと直感しました」
インテリアにはもともと興味があり、大学の課程で学んだ経験があるとはいえ、家庭と両立しながら資格試験に臨むのは苦労を要したと振り返ります。
「家の至るところに参考書を置いて隙間時間に読んだり、講義を録音したカセットテープを流し料理をしながら聞いたりと、学生時代にはなかったほどの熱意で勉学に取り組み、私が人生で一番勉強したのがこの時です」
晴れて資格を取得した後は、住宅展示場でハウスメーカーのアドバイザーを経てインテリアコーディネーターとして新築の家の内装コーディネートを担当。その後、不動産会社でモデルルームの内装をコーディネートしたり、リフォームの相談に乗ったり、さまざまな現場で実務を積みます。
約19年にわたる企業勤めで手掛けた案件は500件以上。自信がついたところで「多くの人に自分の家をお気に入りの場所にしてほしい」とフリーランスになり、2021年に起業。事務所を開設する際も、ホームページのブログ執筆などで必要なライティングのノウハウを学び、情報発信にも努めています。
#chapter3
「内装のリフォーム案をお任せいただいた際、リビングにガラスブロックをあしらい、光が透けて入るデザインをとても気に入ってくださったことがありました。また別の案件のお披露目会では私が制作した予想図を飾っていただき、描いた通りに完成した喜びをお客さまが共有してくださったことがうれしかったですね。数々のシーンは今も胸に残っています」
数多くの顧客に寄り添い、理想や要望をかなえてきた久保さん。「五感インテリア」を軸に活動の幅を広げ、2023年には住まいの情報館、ハウジング・デザイン・センター大阪でインテリアセミナーの講師を担当するなど、講演の機会も増えているそうです。
「私は古い建物や街並みなど、昔ながらの素材や生活が好きです。今は、和室を洋室に作り変えるケースも増えていますが、先人の知恵が詰まった日本の伝統を次代に引き継いでいきたいと考えています。例えば、障子に使う和紙は断熱効果に優れるうえ、自然で柔らかい採光が魅力で、現代の家にも取り入れていただきたい素材です」
また、アートライフスタイリストの資格を生かして、アートを取り入れた暮らしを提案していきたいとも。絵画や彫刻などが家の中にあると、作家がその作品に込めた思いや情熱、ストーリーによって、空間に力が与えられると言います。
「『りとるらっく』という名前はlittle luck=小さな幸せから。日常に転がっている小さな幸せを見つけることを大切にという願いを込めています。皆さまに、心が優しく満たされる毎日が送れる空間をお届けしていきたいですね」
(取材年月:2024年4月)
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Profile
五感を生かして快適な空間を作るインテリアコーディネーター
久保栄子プロ
インテリアコーディネーター
りとるらっく
「五感インテリア」をコンセプトに掲げ、本当に求めているものや好きなものに囲まれた、居心地の良い空間を提案。インテリアコーディネーターの知見と自身の経験を生かし、住空間の問題解決に向き合います。
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