中小企業の新たな挑戦を後押しする経営コンサルタント林覚

中小企業の新たな挑戦を後押しする経営コンサルタント

林覚

戦略立案から実現まで、経営者のモチベーション維持も意識しながら伴走

　今の事業モデルのままで将来を見据えたとき、不安を感じていませんか。「林経営支援オフィス」代表で、経営コンサルタントの林覚さんは、国内外で培った豊富な経験を生かし、新たな事業や市場の開拓、海外進出など、次の成長戦略を描くサポートに力を入れています。

　「利益率の低下など、既存事業の停滞を感じている経営者は少なくないでしょう。財務状況に余裕があるうちに、思い切って新しいことに挑戦しましょう」と林さん。

　製造業や商社、特に電子機器や繊維、化学、医療機器分野を得意とし、貿易商社や海外での事業会社経営などの経験を発揮します。
　「商社時代にはアジア市場の開拓や企業買収、アメリカでは化学メーカーの経営に携わってきたため、実務経験に裏打ちされたアドバイスができます」

　それまで意識していなかった分野にも視野を広げ、ターゲットの選定や自社の強みを発展させる事業企画、海外との交渉や契約書の作成など、戦略立案から実行まで伴走します。
　「例えば、大手の下請けとして加工業を長年営んできた企業でも、取引先が数社しかない場合はリスクが高いといえます。新規顧客を増やして依存度を下げたり、技術の付加価値を高めたり、企業の実情に応じて、今できることを提案します」

　林さんは、「傾聴と対話」を重視し、経営者自身のモチベーションを維持できるよう心がけているそうです。
　「大切にしているのは、社長自身が”おもしろい”と思える取り組みかどうか。事業の将来性などを考慮しつつ、興味ある分野に広げて成果を出すことを大事にしています」

営業のチームづくりや海外展開を実務面からも支援

　「どの企業にも強みはあり、現状から発展させるさまざまなアイデアややり方があります。私がお手伝いした取り組みをきっかけに、最終的には自立できるよう導くことが役割です」と林さん。これまで手掛けた支援は多岐にわたります。

　あるプラスチック成型加工会社では、取引先からの受注が徐々に減少する中、BtoCビジネスに参入し、自社製品として文房具を開発しました。
　「認知度を高めるために、日本文具大賞や地域ブランド認定などに応募し、優秀賞を受賞したり、行政からの認定を取得したりしました。もともとの対象は一般消費者でしたが、事務用品として銀行や生命保険会社への導入も決まり、数々の展示会に出展したことで既存事業の受注にもつながるなど、『予想以上の広がりがあった』と喜ばれました」

　また、売上低迷の課題を抱えていたアパレル企業では、高齢者向けの大腿骨骨折予防パンツの開発や、既存事業でのインドでのネットワークを生かし、異業種と連携した新規ビジネスの立ち上げなどをサポートしました。

　さらに、営業チームの構築・育成や、海外展開のサポート実績も豊富です。
　「営業職は、売り込み以上に、顧客の声を聞く役割が重要です。社内の体制を整え、顧客ニーズを蓄積・分析することで、アイデアが生まれやすくなります。また海外との交渉や為替リスクの対応など、細かいところまでお役に立てます」

　新しいことに取り組むタイミングは、事業承継時も有効だと話します。
　「後継者が新規事業を立ち上げ、成功させた上で事業を引き継ぐと、経営がスムーズに進むことが多いですね」

商社やアメリカでの経営経験をもとに、中小企業の付加価値を高める

　林さんは、貿易商社で、精密部品業界向け製品製造でアジアでのサプライチェーン構築、半導体製造関連の製品開発、企業買収など、多彩な経験を積みました。2005年から、自身が買収を行ったアメリカの化学メーカーで社長を務めます。帰国後、同商社の新たな展開である医療機器の製造販売に携わり、呼吸器分野の治験も経験しました。
　「アメリカにいた頃、現地と日本の中小企業の違いを痛感したことが、今の仕事につながっています。アメリカでは、市場ニーズをつかみ、自ら企画できる経営者がほとんど。一方の日本では、特に製造業が下請けで安泰な時代が続き、自社の付加価値を高めることに目を向けてこなかった経営者が多いと感じます」

　2013年に、経営知識を学ぶため、中小企業診断士の資格を取得。それまでの経験を生かして、2021年に「林経営支援オフィス」を創業しました。公的機関の外部専門家としても活動し、2025年9月からは、中小企業支援者の育成も担当します。
　「常に新しいことに取り組める企業は強いです。ユニークな中小企業が増えれば、日本の国際競争力も高まります。『うちにできるわけない』と思考を止めず、行動を起こしましょう」と呼び掛けます。

　変化をためらい、一歩を踏み出せない経営者に向けて、メッセージを送ります。
　「悩むだけではなく、まずはトライすることが、会社や従業員、またご自身を守ることにつながります。そんな新たな一歩を後押しします」

（取材年月：2025年8月）

新規事業や顧客開拓など、中小企業を「次の成長」に導くサポート

戦略立案から実現まで、経営者のモチベーション維持も意識しながら伴走

営業のチームづくりや海外展開を実務面からも支援

商社やアメリカでの経営経験をもとに、中小企業の付加価値を高める

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