ニーズに応じて的確なレッスン・研修を提供する日本語教育のプロ中川麻美

ニーズに応じて的確なレッスン・研修を提供する日本語教育のプロ

中川麻美

日常会話から日本語能力試験対策まで、マンツーマンレッスンや集団研修を提供

　「日本に来てくださった外国の方が、母国にいたときと同じように自分らしく生きられるのが私たちの願い。日本語はもちろん、日本での暮らしを充実させるためのサポートをいたします」

　そう話すのは、日本語教室「Umiにほんごオフィス」代表の中川麻美さん。日本語教員資格を持つスタッフと一緒に、マンツーマンレッスンや集団研修を展開。JLPT（日本語能力試験）対策にも対応し、2歳から60代の幅広い世代を支援しています。帰国後も日本語学習を継続したい人には、オンラインレッスンも用意しています。

　公立学校に入学を希望する親子やビジネス日本語が必要な社会人、退職後も沖縄に住み続けるため日常会話を習得したい米軍基地関係者など、来日や学びの目的、日本語能力は千差万別。中川さんは最初にカウンセリングを行い、一人一人のニーズや意図に応じた学習スタイルを導き出します。

　「文法を押さえたい方もいればフレーズを増やしたい方も。お子さまなら歌やゲームなどの遊びを通して自然に日本語が覚えられるよう工夫します。企業研修以外では一対一のプライベートレッスンが多いので、しっかり信頼関係を築ける日本語教師を育成・派遣し、お客さまに寄り添うことを心掛けています」

　初学者から上級者まで、習熟度に合わせてプログラムを構築。毎月末に「振り返りシート」を使い、生徒と教師で1カ月のレッスンを総括します。中川さんも内容をチェックし、改善点などがあれば教師へのカウンセリングや勉強会を実施してフォローアップします。

日本でキャリアを積みたい外国人や受け入れ企業に向け、ビジネス日本語に注力

　中川さんが今、力を入れているのがビジネス日本語です。厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」によれば、2023年10月末時点で、日本で働く外国人は200万人を超え、前年から22万人以上増加。過去最高を更新しました。

　外国人が日本企業で知識や技術を磨く技能実習制度や、人手不足の産業・分野で外国人材を活用する特定技能制度の見直しが進む中、「日本でキャリアを積みたい外国人や、受け入れる企業の力になりたい」との思いから、取り組みを強化しています。

　「現在は沖縄県内のホテルさまの依頼を受け、スタッフがより良いサービスを提供するために“おもてなしの日本語”をレクチャーする研修を開いており、日本語の運用力を伸ばしています」

　母校の琉球大学でも留学生にビジネス日本語を教えている中川さんは、価値観や習慣が異なる人たちで構成される組織の課題にも着目。仕事の悩みや不安を受け止めながら、ビジネスマナーも含めた実践的な語学学習を進めています。

　「日常会話は問題なくできても、職場では社内・社外を区別して敬語を使い分けるなど日本特有のルールを難しく感じる方や、電話応対など特定のシチュエーションでの正しい日本語の使い方を苦手としている方もいらっしゃいます。また、仕事の進め方や情報共有の仕方など企業文化の違いに戸惑い、十分に力を発揮できていないケースもあると感じます。日本人スタッフと外国人スタッフのコミュニケーションをスムーズにすることで、業務の効率化や生産性の向上につなげていただければと考えています」

SNSを通じ、日本での生活に役立つニュースを“やさしい日本語”で発信中

　中川さんは大学で日本語教育を修め、卒業後は日本語教師の道へ。独立行政法人国際協力機構（JICA）に在籍し、100カ国以上の人と向き合ってきました。

　「さまざまな教育機関でさまざまな日本語支援活動をしてきた中で、日本語を習いたくとも経済的な理由や家庭の事情などで諦めざるを得ない人、日本語が理解できないことで情報弱者となり不便を強いられている人、公的サービスが受けられない人など、困っている人が身近に多くいることが分かりました」

　また出産と子育てを経験し、子どもの言語発達が人格形成に深く関わることを実感したと言います。
　「思考の源となる母語が定着する前に来日した子どもは、母語も日本語も年齢相応に発達せず、学力に影響することがあります。暮らしで生じるバリアーを取り払いたいと、外国人に日本語や日本の生活様式を教えるボランティア団体を立ち上げたのが、当オフィスの原点です」
　2018年に創業後も活動を続け、外国ルーツの子どもたちを対象に放課後・長期休みオープンクラスや、立場を超えてさまざまな人とおしゃべりをするゆんたく会（お話し会）を開催。公式SNSでは、日本の風習や季節・学校の行事など生活に役立つニュースを、外国人に配慮した“やさしい日本語”や多言語で発信しています。

　「言葉は便利な道具。きちんと学んで使えるようになると考えや気持ちを共有し、人とつながることができます。さまざまな国・年代・立場の方が言葉の壁を越えるお手伝いをするとともに、日本語教師として培った知見を伝え、日本語教育に興味や経験を持つ人の活躍を後押ししていきたいですね」

（取材年月：2024年1月）

経験豊富な日本語教師が、言葉の壁を越え、暮らしを充実させるためにサポート

日常会話から日本語能力試験対策まで、マンツーマンレッスンや集団研修を提供

日本でキャリアを積みたい外国人や受け入れ企業に向け、ビジネス日本語に注力

SNSを通じ、日本での生活に役立つニュースを“やさしい日本語”で発信中

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