豊富な情報と叩き上げ技術を持つ住宅リフォームのプロ
原田菊典
Mybestpro Interview
豊富な情報と叩き上げ技術を持つ住宅リフォームのプロ
原田菊典
#chapter1
「家作りには1つとして同じものはありません。だからこそ機械では出来ない仕事。人の手で仕上げていく必要があります。」と優しそうな笑顔で話すのは、うるま市石川で「きくはら工務店」を営む、原田(はらた)菊典さんです。
「父が大工だったので、小さい頃から遊び場は現場。中学の頃には自分の部屋を作っていましたよ。そんなこともあって元々、木が大好きなんです。」
大工になろうというより、ごく自然な流れでこの道に入ったという原田さん。その後、職を求めて17歳で東京に出て修行を積み、31歳で沖縄に戻ります。3~4年、建築会社で大工として働いた後、2001年に独立。「きくはら工務店」を設立しました。
きくはら工務店のHPを開くと、驚くのは建築やリフォームに関する圧倒的な情報量です。
例えば「自分でできる床の張り方講座」、「ちょっとした補修のコツ」など、一般の人向けのお役立ち情報、さらには「木製階段の造り方」、「沖縄の仏壇製作について」など専門的なノウハウや知識を、写真付きで惜しげも無く丁寧に説明しています。
「お役立ち情報は、DIYや日曜大工がブームなので、ご自身で作る、そして直す楽しみを知って頂きたいとの考えから出しているんです。」と原田さん。
ですが、専門的なノウハウを明かしてしまうのは、ある意味お仕事にも影響するはず。なのに、なぜそこまでしているのでしょうか?
そこには、沖縄の建築業界が抱える、とある問題を何とかしたいという原田さんの願いでした。
#chapter2
「本土でもそうですが、沖縄の建築業界は長年、人手不足という問題を抱えています。そして若手は特に少ない。なので、沖縄の建築技術継承がうまくいっていないんです。この状況は建築業界全体に良くない。だからこそ私が持つ技術を、業界の若手や見習いのために、少しでも伝えていきたいんです。」と原田さんは言います。
中でも、技術や経験が問われるのは「木製階段」、「仏壇」、「床の間」なのだそうです。ですが、これらのノウハウと知識を持つ職人さんは意外に少なく、技術が受け継がれないことに、原田さんは危機感を抱いています。
この背景について、こう指摘してくれました。「コンクリ建築が主流になり、木造建築が減ったことが一番の要因です。さらに、機械の進歩によって、手作業でなく機械に頼るということもあると思います。」
元々沖縄は、木の文化だったそうです。ですが、戦後のある時期から台風対策の側面もあり、木造住宅は徐々に姿を消してコンクリ建築がメインになりました。そんな中原田さんは、大工として腕を磨く、そして腕を上げるためには、木造をこなせるということがベースにあると考えています。
「木材は自然素材な上、半永久的に使えること、そして何よりも沖縄の文化である、ということが、木で物を作る意義だと思うんです。」
中でも、沖縄の住宅にとって大切な存在である仏壇作りは、工務店として出来て当然、と言う原田さん。近所に仏壇作りや修理を頼める人がいなくて困っている、と、遠方からオーダーが入ることもあるそうです。
#chapter3
多くの案件をこなしているきくはら工務店。現在の主な仕事でもあるリフォーム業も、原田さんらしい特徴が垣間見られます。
「小さい現場のときは、一人で幅広い仕事がこなせる職人を付けています。こうすることで人件費を抑えられるんです。これは優秀な職人を抱えているからこそできるんですよ。」
もちろんHPでは、リフォームに関する情報や予算など、事細かにわかりやすい文章で紹介しています。「事前に見ていただくことで、大体の予算や仕組みがお分かり頂けると思います。」
原田さんは将来こんな夢あるのだそうです。「木造の家を広めていきたいんです。コンクリ建築だと、住宅が密集する沖縄では建て替えたくても重機が入れず、取り壊せないなんてこともあります。でも、木造なら人手だけでできる。さらに、将来の増改築が簡単、自然素材である、腐食しても修繕できる、そして現在の工法なら強度も担保できます。」
湿気に弱い面もあるのですが、水の流れを工夫したりと、ある程度の対策ができるのだそうです。
ところで、木が大好きと話す原田さんだけに、きくはら工務店の事務所には、木製のテーブルと椅子、壁や間仕切り、ドリンク用コースターなど、全て手作りの木工品が置かれています。「全部端材なんです。いわばゴミなんですが、どうしても捨てられなくて。」と、笑いながら話す原田さんの表情がとても印象的でした。
(取材年月:2014年12月)
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豊富な情報と叩き上げ技術を持つ住宅リフォームのプロ
原田菊典プロ
大工
株式会社きくはら工務店
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