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500棟以上を構造審査した経験を生かして、スムーズに進む構造設計サービスを展開

建築物の安全性に加え経済性にも配慮した構造設計を行うプロ

中曽根英明

中曽根英明 なかそねひであき
中曽根英明 なかそねひであき

#chapter1

構造設計を専門に手掛け、マンションやビル、施設など幅広い案件に対応

 「建築物を建てる際の構造計画については、当方にお任せください」と話すのは、沖縄県うるま市にある「一級建築士事務所e-craft.」の中曽根英明さん。マンションやオフィス・テナントビル、福祉施設、クリニックなど多岐にわたる案件を手掛けています。

 「設計施工会社と指定建築確認検査機関に勤務した経験を生かし、構造審査に必要な図面や計算書を作成し、質疑に迅速に対応するので審査終了まで時間がかかりません。また、コストにシビアな事情を鑑み、経済性にも配慮。部材耐力などを熟考し、合理的な設計をすることで、クライアントさまから評価をいただいております」

 審査員をしていた時は、提出された構造図や計算書の適合性について確認事項が多く、申請者とのやり取りに時間がかかるケースをいくつも見てきました。
 「計算書の数値と図面の数値が整合しない、構造計算プログラムで網羅しない箇所に対して質疑が発生する、といったことが多かったですね。スムーズな判定をかなえるためにも、特殊な設計の場合は、どのように考慮しているかを丁寧に記載しますので質疑そのものが少なく、問いにはすぐ答えるので審査が滞ることはほとんどありません」

 2018年に開業した初年度から約70棟のオファーが舞い込み、その後も年間60〜70棟を受注。構造設計の専門事務所として知名度を上げています。
 「検査機関で年間約100棟前後は審査をしていました。6年間勤めたので、業務実績は500棟以上に及ぶのではないでしょうか。さまざまな物件をチェックする中で得た知識が、今の事業の糧になっています」

#chapter2

納期にナーバスな事業者のため、審査のポイントを抑えた構造計画を提案

 中曽根さんを現職に導いたのは、建築士である叔父でした。
 「特にやりたいことがなく、学生時代は数学や物理が得意だったので、叔父から『建物の構造を計算する仕事がどうか』とすすめられ、大学で構造設計を専攻しました」

 就職した年に、分譲マンションの構造計算書を偽造した姉歯事件が発生。耐震偽装工作を防ぐべく法規制が強化されました。
 「事件をきっかけに構造設計に関する業務が一気に増えました。柱や梁といった部材の大きさや配置を検討し、基礎や骨組みの強度を高めていく責任のある職務で、若手でやっている人は珍しかったのですが、私は性に合っていたこともあり、早い段階から専門になろうと決めていました」

 知見を広げるために、声がかかった検査機関の審査員に。「図面などの申請書を提出する人は自分より年上ばかり。最初は戸惑ったけれど、気になるところがあれば100個ほど質問していた」と当時を振り返ります。

 「ある時、申請を出していた事業者の経営層の方が『確認期間が長過ぎる』と怒鳴り込んできました。先方の担当者の回答が遅れていたことが原因ですが、私の審査が遅いと勘違いしたようでした。状況を説明し事なきを得ましたが、大規模住居や商業施設は構造審査が終わらないと入居や入店ができないため、納期にナーバスになることを肌で感じた体験でした」

 中曽根さんは、審査が進まないことによる経済損失を出さないためにも、適否のポイントとなる点を抑えた構造計画を心掛けています。

中曽根英明 なかそねひであき

#chapter3

耐震性などの基準を満たした上で余剰をなくす“さじ加減”が腕の見せどころ

 構造設計は建築物の安全性能を確保するために欠かせない要素で、地震が発生した時などに人命を守ることにつながります。中曽根さんはこれまでの経験知から、耐震性などの基準を満たした上で「余裕と余分の見極めが重要」と語ります。

 「鉄などの資材価格が高騰している昨今、要所を適切に補強し、必要がない箇所は省くというバランスが大事だと感じます。工事費用がかさむと、事業者、ひいてはその先にいるお客さまの負担にもなります。何パターンも計算して、設計が過剰にならないようにすることも、私の務めだと考えています」

 中曽根さんは発注時の参考になればと、自身が請け負うにあたっての標準的な料金をホームページに明記しています。
 「開示しているところは少ないと思いますが、コストマネジメントをする上でも、あらかじめ金額が分かる方が依頼しやすいでしょう」

 培った実務力と的確な判断力で、数多くのクライアントがリピートをするほど頼られる存在に。多方面から引き合いがある中、手が回らず断るケースも多くなっているそうです。
 「今は私1人でやっているので、数に限界があります。今後はスタッフを増やし、安定的にニーズに応えていきたいですね」

 日々忙しく過ごす中曽根さんの癒やしは海釣りで、2021年には海まで約15mの場所に事務所を移転。「窓から海を眺めながら作業をしていて、飼っている猫が、机の上で仕事の様子を監督してくれます」とほほ笑ましいエピソードものぞかせます。

(取材年月:2023年11月)

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専門家プロフィール

中曽根英明

建築物の安全性に加え経済性にも配慮した構造設計を行うプロ

中曽根英明プロ

一級建築士

一級建築士事務所 e-craft.

設計施工会社と指定建築確認検査機関に勤務した経験を生かし、構造審査で質疑が少なくスピーディーに審査が終わる構造設計を行う。安全基準を満たし、経済的負担を増やさないようにする視点も持ち合わせる。

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