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「10年落ち&10万キロ走行」の車も高価で買取、車の売買を通じて沖縄の環境改善も目指す

車の利用価値に金額を付ける中古車買取のプロ

稲福晋也

稲福晋也 いなふくしんや
稲福晋也 いなふくしんや

#chapter1

愛車との別れに際し「利益率を削って顧客満足度を高める」事がモットー

 中古車買取市場において「価値が無い(=廃車処分が妥当)」とされる、年式が古く走行距離が多い国産の大衆車。可愛がってきた所有者にとっては手放す事自体が寂しいうえ、たとえ値段が付かなくても廃車処分するのは忍びないものです。沖縄市知花に拠点を置く「カーマンジャパン」の代表取締役・稲福晋也さんは、低年式で過走行(10年落ち&10万キロ走行)な車を積極的に買い取ります。

 「休みの日は家族で出掛けたり。落ち込んだ日は海を見に行って癒されたり。好きな人との初デートの日は、ドキドキしながらハンドルを握ったり。恋人にフラれた日は、音楽を爆音にして泣きながら爆走したり(笑)晴れの日も雨の日も、いい事があった日も悪い事があった日も、全ての喜怒哀楽を共にする相棒。僕の中では「愛車」をそう定義しています。そんな愛車をいざ手放すとなった時「0円です」と言われたら、めちゃめちゃショックじゃないですか?皆さんの愛車を、誠意ある価格でお預かりする場所として、屋号を『南の島の“愛車”買取センター』にしました」

 稲福さんのモットーは「利益率と腰は低く!顧客満足度と志は高く!」。車の買取額は、オークション相場の平均約50%とされるところ、いずれの車種も一律70%の金額を提示しています。

 「極端な話、人気車種にはオークション相場の100%を提示するけど、不人気車種には0%です、みたいなやり方って、これが商売(お金儲け)と言われたら確かにそうだろうけど、お客さんの足元を見る行為のようで僕は好きじゃない。当社が最も重要視するのは市場価値ではなく、車としての利用価値です」

#chapter2

LINE査定や、店内にはキッズスペースも設け利用しやすい店づくりに注力

 稲福さんは高校卒業後に渡米し、現地の短大を卒業。帰国後は総合人材サービス企業に就職し、法人営業を担当していました。

 「自動車関係のクライアントもいて、事業所で廃車予定の車を目にした時に『まだ乗れそうなのに、もったいないな~』という気持ちを抱きつつ客先を後にしました。退職後、お世話になっている沖縄の先輩の会社で通訳として働く中、キズ・サビ・ヘコミがある古い車に乗っているアメリカ人を見て、かつての残念な思いがよみがえりました。これはイケる!と」

 2014年に中古車業界に足を踏み入れますが、開業資金が無かった為、インターネットの個人売買サイトを活用し、中古車の個人売買仲介事業者として活動を始めます。

 「すぐに手応えを感じました。買取も販売もニーズがあると判断し、個人事業として「カーマン」を創業、2016年に法人化しました」

 稲福さんは、今では多く見かけるようになった車のLINE査定を県内でいち早く開始。「沖縄市まで行くのは億劫だけど、査定はしてほしい」という顧客の要望に寄り添います。

 「いつでもどこでも愛車の査定をしてもらえるサービスとして、特に遠方にお住いのお客さんから重宝されています。それと特に女性は、見ず知らずの男性が自宅に来る事に対して抵抗がある。LINEならそういう心配をする必要が無く、利用しやすいですよね。店内も妻に頼んでハワイアンテイストにして、女性一人でも足を運びやすい雰囲気にしています。お子さんと一緒に来店できるようにキッズスペースも設け、査定待ちの間は絵本を読んだりボール遊びをしたりする事ができます。女性と子どもに優しい車屋さんですね(笑)」

稲福晋也 いなふくしんや

#chapter3

県内の買取台数No.1と、県内車業界の収益構造改革を目指し事業を構想

 稲福さんのもとには20代から80代まで幅広い年代が集います。顧客の負担を減らし、買取台数を増やす為にも店舗展開を計画しています。

 「例えば名護市からだと、往復で2時間以上かかる。大袈裟な話、小規模でいいから各市町村に1店舗ずつ。めちゃめちゃ便利じゃないですか?」

 いずれは「経済的に厳しい人にも安全で快適な移動手段を提供したい」と中古車のリース事業も構想中。月額1万円ほどで借りる事ができ、車検の更新タイミングとなる2年後には格安で購入できるオプションも検討しています。

 「エアコンが効かない車を窓全開にして乗り、その後部座席には顔を真っ赤にしながらダラダラと汗を垂らす子どもが座っている。単純にそういう人たちを救いたい。もちろんボランティア事業じゃないので、収益化させる為には相応の数を扱う必要があります。だから買取に力を入れる。数を回す為に。ゆくゆくは県内で一番の規模にしたいですね」

 また稲福さんは、沖縄独自の買取・販売ルートを確立し、地元の業者が利益を確保できる仕組みづくりを目標としています。

 「結局は車も、本当は地産地消がいい。新車として流通し始めるところから、廃車処分するところまで。現状はそれができないから、県内の車業界で生み出される利益のほとんどが県外企業に流れている。仕組み作りさえできれば、県内の車業界の利益構造がガラッと変わる。最終的にはこれを実現させたい。その結果、間接的にではあるけど、子どもの教育とか貧困とか、沖縄県が抱える社会問題の解決にも繋がるはずなんですよ。改革を起こすのが僕の壮大なロマンですね」

(取材年月:2025年1月)

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稲福晋也

車の利用価値に金額を付ける中古車買取のプロ

稲福晋也プロ

車の査定および買取担当営業

カーマンジャパン株式会社

市場価値が低い「10年落ち&10万キロ走行」のような、年式が古く過走行な車を積極的に買い取る。車の市場価値ではなく「車としての利用価値」を見出し、その価値に値段を付ける。

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