少林寺流空手指導で心身を鍛えるプロ
難波学也
Mybestpro Interview
少林寺流空手指導で心身を鍛えるプロ
難波学也
#chapter1
岡山駅から西へ約5キロ。のどかな田園風景と住宅地が混在する場所に「滴水會舘空手道教室」(岡山県岡山市北区日吉町)の道場があります。「エイ、ヤー」と気合の入った大きな掛け声が飛び交う会場で、子どもから大人までが熱心に稽古に励んでいます。指導するのは、本部長の難波学也六段。稽古中は厳しいまな差しで一人一人の動きを追っていますが、稽古が終わると柔和な表情で子どもたちとあいさつを交わし、道場は和気あいあいとした雰囲気に包まれます。
「うちの道場では、他人と比較することなく自分のペースで稽古を行っています。目指しているのは、強くなることより上手くなること。真剣に稽古に取り組み、ひたむきに繰り返すことで、精神力や正しい体の使い方を身に付けてほしい」と語る難波さん。滴水會舘空手道は、沖縄発祥の空手道の伝統と少林寺流の型を継承して、6年前の2014年に立ち上げた流派。難波さんは同流派の理事長も務めています。
「大切にしているのは、日常生活を生き生きと送れること。どこかに痛みがある人は、痛みから解放されるようしなやかに伸縮する柔軟な筋肉を作り、関節の可動域を広げます。また、安定した身体をつくるために、正しい姿勢で立つことを学びます。事故に遭わない、隙を作らないといった危機管理能力も身に付きます。そして、自分自身がたとえ強くなっても、決して暴力的な行為をしないという心構えもとても大事な教えです」と、明確に目的を定めています。
#chapter2
もとは自動車関連企業に勤めていた難波さん。自分の健康のために何か始めようと思い立ち、空手を選んだのが29歳の頃。仕事では若くして総務部長を務め、採用や社員教育などに当たっていました。当時から、「人としての正しい振る舞い方や、社会人としてどうあるべきかといった基本を、20歳にもなった大人に教えていては遅いんじゃないか」と感じていたといい、人をどう育てればいいか悩むこともあったと打ち明けます。
三段に昇進した頃には、既に公共施設などを借りて子どもたちを中心に教室を開きました。難波さんの指導は、道場に子どもを通わせていた保護者から「礼儀が身に付くし、健康にもいい」と評判が高まっていきました。そんな声を受けるうち、空手が心身の修練や人間教育に役立つと確信を深めていったといいます。空手を習い始めて約10年たった38歳の時に一念発起。「仕事も大切だけれど、人生が会社生活だけで終わってはつまらない」と会社を辞することを決意し、「人を育てるための空手」を教えるために、1996年岡山市北区日吉町に「少林寺流空手道場」を開きました。
指導理念は、「世の中に役立つ人を育てること」。「『精神力がつく、強い身体になる、礼儀正しくなる』は結果であって指導理念ではありません。正しい指導理念の下で稽古を繰り返し積んで初めて自分自身が変わっていくのがわかります。空手で心身を鍛錬することで、その方の人材育成や人間形成につながっていけば」と会社時代に抱いた目標に思いをはせながら語ります。
#chapter3
道場には、子育て中の母たちが親子で稽古に励む姿も見られます。女性指導者もいるため、入門しやすい雰囲気なのも好評で、エクササイズ感覚で体を動かす女性のクラスも開講しています。稽古では、まず礼儀作法を徹底し、人の目を見て話を聞くことから始めます。そして準備体操と、入念な柔軟体操によって股関節や肩甲骨をほぐすストレッチを行います。
初級クラスは、突き・蹴り・受けの基本練習とミットを使ったパンチ、キックの練習をします。前後に移動しながらの受け方、突き方、蹴り方、さばき方も流派の特徴だといいます。これらを行いながら、上手くなるためにどうすれば良いか、何をすれば上手くなるかを身に付け、上達するために必要なことを習得していきながら少林寺流空手道の型を徐々に身につけていくそうです。
さらに中級クラスは、少林寺流空手の型を順に覚え、空手技術の上達を目指します。上達すれば昇級審査を受けることもでき、より上級の帯の色を目指して努力するのも目標となります。ただし難波さんは、決して強くなることだけを目標にせず、真面目に稽古に取り組み続けることで、上手になることが大切だと繰り返し伝えています。
「当道場は3歳以上何歳からでも何月からでも入会できます。集団練習を通じて年下の面倒を見たり、下級者の手本になったりも自然にできるようになりますよ。礼儀や精神力、人間力を養える空手に興味がある人は、ぜひ道場にお越しください。初級クラスは見学や体験もできますので、事前に連絡を」と広く声を掛けています。
(取材年月:2020年8月)
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Profile
少林寺流空手指導で心身を鍛えるプロ
難波学也プロ
空手教室主宰
滴水會舘空手道岡山地区本部
空手道の稽古を通じて体を動かすことで、型や防具付き組手を身に付け、生き生きとした日常生活を送り、気力のみなぎる日々を目指します。また危機管理能力や精神力を養うことで人間力育成を目指します。
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