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生物被害に悩む人のそばに 現場にあった防除策を提案・施工する専門家

住宅や施設で悩めるネズミ・シロアリ・害虫防除のプロ

鎌田広思

鎌田広思 かまだひろし
鎌田広思 かまだひろし

#chapter1

行動パターンが読みづらいネズミとの「知恵比べ」 一晩で数十匹の駆除実績も

 ネズミやシロアリ、ダニ、ノミ、ハチなどに悩まされるのはもうこりごり。そんな声に応えるのが「アサヒ化工」(岡山県岡山市南区芳泉)の鎌田広思さん。企画営業課長として、岡山市や倉敷市といった県南地区を中心に害虫防除に取り組んでいます。

 「一戸建てや病院、食品製造現場などにおける生物被害は、私どもにお任せください。原因を突き止め、その現場にあった適切な方法で処置を施します」

 鎌田さんは、顧客から状況をヒアリングし、現場を確認した上で有効な手段を提案。鎌田さんを含めた経験豊富な防除技術者が、施工まで一貫して手掛けます。
 「私たちの仕事には、対象となる生物と使用する薬剤に関する知識が求められます。害虫は建物内部にひそみますから、建築物の構造も知っておかなければなりません。また調理設備や給排水設備、火災報知器についても学ぶ必要があります。ニッチでマニアックな世界のプロ集団だと自任しています」

 中でも対処が難しいのがネズミ。理由は、虫は本能で動くのに対し、ネズミは知能で動くため、行動パターンが読みづらいからです。
 「ある養鶏場では、一晩で数十匹を駆除しました。1カ月以上をかけてネズミを餌付けし、『ネズミ食堂』が満員御礼になったところで即効性の殺鼠(そ)剤にすり替えたのです」

 殺鼠剤が使えないペットショップでは、粘着シートを活用。普通に並べただけではよけられるため、複数の色のシートを使ってかく乱しました。
 「教科書もありませんから常に創意工夫。人間と生物との『知恵比べ』ですね」

#chapter2

「天井裏のネズミをなんとかして」と涙ながらの訴え、悩める顧客からの感謝が原動力

 幼少期から野山に出て、虫や自然に親しんでいたという鎌田さん。大学時代にはワンダーフォーゲル部に所属し、国内外での登山に熱中していました。大学卒業後は、大手企業の営業職に。各地を転勤し、たまたま岡山に赴任したころ、アサヒ化工の求人を目にしました。
 「詳しく何をしている会社かわからなかったのですが、直感的に『おもしろそうじゃな』と。そのまま飛び込んで、縁をいただきました」

 39歳での転職。当時、同社の防除はシロアリが中心でしたが、生物や自然への造詣が深い鎌田さんが加わり対応範囲が広がりました。生態を研究するため、捕獲したネズミを社内で2年ぐらい飼育したことも。
 「ネズミを飼ってみると、チーズは食べず、昆虫ゼリーや金魚のエサを好むことがわかりました。生態に関する知識は、現場でも生きてきます」

 数々の案件の中で特に印象に残っているのが、ある女性から相談を受けたときのこと。「毎晩、天井裏をネズミが走って寝られない。なんとかしてほしい」と、電話口で涙ながらに訴えてきたそうです。

 「住宅の場合、まずはどこから入ってきたかをチェックします。侵入経路は、エアコンのダクトや床下の換気口がほとんどです。殺鼠剤や忌避剤、粘着シート、さらにセンサーカメラ、超音波防除機などを駆使し、足音がしなくなるまであれやこれやとやっていきます。お客さまが心休まる空間を取り戻せるよう、2~3カ月をかけて対策を講じました」
 無事に作業を終え、「ありがとう」と感謝の言葉をかけられることが原動力になると笑顔を見せます。

鎌田広思 かまだひろし

#chapter3

新型コロナや水害現場での消毒・防疫業務にも対応 「社会への貢献」を実感

 近年、鎌田さんは、新型コロナウイルスにかかった人が入所する療養施設の消毒や、水害時における町中の防疫にも尽力。生物・衛生管理に関する事業内容を拡充しています。

 消毒については、2020年8月から取り組みを開始。陽性者が増えるなど流行の波が訪れると連日のように依頼が入り、22年4月の時点で出動件数は約280件に上ると言います。
 「相手は目に見えないウイルスですから、当初は相当な恐怖と緊張感がありました。マニュアルをきっちりと作って慎重に臨み、これまで感染事故は起きていません」と胸を張ります。

 また、2018年7月に発生した西日本豪雨では岡山県内の被災地を、数カ月にわたって床下・床上浸水した建物の消毒に従事しました。
 「町全体が浸水した倉敷市真備町地区はすさまじい光景でした。被災者のお話を聞き、泥の臭いをかぎながら、本当に大変なことが起きているなと実感しました。こうした業務に携わったことで、私たち社員は『社会に貢献しているんだ』という意識をいっそう強く持つことができました。今後も積極的に地域社会に貢献していくつもりです」

 地域の環境と、そこに暮らす人たちの快適な暮らしを守ることが自らの役割であり、困っている人には全力で手を差しのべていきたいと語る鎌田さん。慈しみの心も忘れません。
 「害虫といえども、この世でともに生を受けた仲間でもあります。自然界に対する謙虚な気持ちは決して失うことなく、しっかり務めを果たしていきたいと思います」

(取材年月:2022年4月)

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専門家プロフィール

鎌田広思

住宅や施設で悩めるネズミ・シロアリ・害虫防除のプロ

鎌田広思プロ

生物環境管理

アサヒ化工株式会社

都市部で発生するネズミやイタチ、シロアリ、ハチ、ダニ、ノミ、毛虫、ハトといった生物被害に対し、現場環境に応じた対処方法を提案し、対策を施す。行動パターンが読みづらいとされるネズミへの対応実績も豊富。

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