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「自分の“居場所”見つけて強くなれ」―青少年向け講演で人気!元パイロットの畳縁織元7代目

畳縁織元7代目は元パイロット―異色の経歴で青少年に夢を語るプロ

松井克爾

松井克爾 まついかつじ
松井克爾 まついかつじ

#chapter1

小学校の出前授業が好評! 各種講演会、保護司など幅広い活動で青少年育成に尽力

 「みんなに将来の夢はありますか。ユーチューバーかな?」―小学校の出前授業で子どもたちに語り掛けるのは150年続く畳縁メーカー松井織物(岡山県倉敷市児島唐琴)7代目社長の松井克爾さん。「ユーチューバーになりたいというと、家の人には無理だと言われることが多いよね。でも夢を持ち続けて言葉にすること、友だちを大事にしていろんな人と知り合うことで道は拓ける。いじめなんかしていたらチャンスは来ないよ」。子どもたちはみんな“うんうん”とうなずきながら松井さんの話に引き込まれています。
 
 松井さんの前職は何とパイロット。子どものころからの夢を努力の末にかなえた松井さんは、大型、小型のさまざまな飛行機で全国各地を飛び回り、29歳で家業を継承。現在は畳縁の新たな可能性を追究してオリジナル製品を作りながら、児島地区17の畳縁業者との“共存共栄”を目指して地域の発展に貢献しています。
 
 本業の傍ら松井さんが20年以上力を注いでいるのは青少年の育成活動。倉敷市教育委員会の要請で行う小学校の出前授業や各種講演会、イベントMCのほか、保護司として罪を犯した青少年の更生にも尽力しています。中でも「夢」「いじめ」などをテーマに自身の体験を交え話す松井さんの出前授業は多くの子どもたちの心をとらえ評判に。なぜ松井さんの言葉が子どもの心に響くのか―その理由は中学、高校時代の壮絶な体験にありました。

#chapter2

親や教師への反発、いじめ…波乱乗り越えパイロットの道へ

 全国で校内暴力の嵐が吹き荒れていた1980年代初頭。地元中学校の不良グループの中に松井さんはいました。荒れていた原因の一つは“家業の跡継ぎ”と期待されることへの反発心。「将来はカメラマンかパイロットになりたい」という夢を抱いていた松井さんは、中学卒業後岡山を飛び出し、鹿児島県の情報通信系高校に進学しました。

 意気揚々と入学した高校で、松井さんは一転壮絶ないじめにあいます。「よそ者が生意気だ」と集団で暴力を受け、入院するほどのけがを負う事に。しかし「このままではいけない」と松井さんは立ち上がり、教師の助言も得て興味のあった放送部を設立。3年次には仲間とドキュメンタリー作品を制作し、NHK放送コンクール九州大会で優勝を飾りました。「自分の居場所を見つけて、初めて本当の意味で強くなれた。いじめもすっかりなくなりました」。この経験が松井さんの人生の大きな転機となりました。
 卒業後は鹿児島県内の大学に進んで、地元テレビ局でカメラマンのアルバイトをしていた松井さん。ところがその取材中に「パイロット不足」の情報を耳にするとかつての夢がよみがえり一念発起。すぐに同県内の大手航空会社の訓練生になり、パイロットへの道を歩むこととなりました。

 厳しい飛行訓練を行う訓練生時代、松井さんは鹿児島市の繁華街で“夜回り”のボランティアも始めます。「不良少年・少女の姿を見ると中学時代の自分を思い出して放っておけなかった」。子どもたちの話に耳を傾け、親身に相談に乗った経験が今の松井さんの活動につながります。後日松井さんは“夜回り先生”として有名な水谷修氏と意気投合し、現在も氏の中四国講演ではサポート役を務めています。

松井克爾 まついかつじ

#chapter3

“共存共栄”の心で、畳縁産地の復興を目指す

 2年間の訓練後、難関試験を突破して20歳でパイロット試験に合格。夢をかなえた松井さんは、チャーター機や航空防災などさまざまな飛行機を操縦し、日本各地を飛び回る充実した日々を送ります。ところが30歳を目前に、祖父母や両親が続けてきた実家の畳縁製造業についてふと思いを馳せるようになり、「やはり家業を継ごう」と決意し、2500時間にわたる空の旅を終えました。

 実家に帰った松井さんは、住宅の洋風化などで畳需要が減少する中、畳縁の新たな可能性を広げようと、持ち前の行動力でさまざまな取り組みを行います。人気アニメのポケットモンスターのキャラクター柄の畳縁を登場させると大きな話題に(現在は生産終了)。大手メーカーとコラボレーションしたギターストラップやジーンズのパッチは、有名ミュージシャンに愛用される人気商品になりました。「小ロットでオリジナル製品をつくれるのが当社の強み。店舗の装飾や自宅の畳縁など気軽に相談してください」と松井さんは話しています。
 かつて畳縁の一大産地として栄えた地元児島地区に残る17社の畳縁メーカーとの“共存共栄”で産地を復興させるのも松井さんの目標。毎年12月には本社前の国道沿いに畳縁で装飾した巨大なクリスマスツリー(上写真)を登場させるなど畳縁の魅力を広く発信しています。

 枠にはまらない発想と卓越した実行力で次々と夢をかなえてきた松井さん。今後はますます本業同様に青少年育成活動に力を入れていきたいと考えています。「子どもたちには強く生き抜いてほしい。そのためには自分の居場所をつくることが大切。私の体験を話すことで多くの子どもに勇気や希望を与えられたら」と力強く語ってくれました。

(取材年月:2020年12月)

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松井克爾

畳縁織元7代目は元パイロット―異色の経歴で青少年に夢を語るプロ

松井克爾プロ

講演業

松井織物株式会社

小ロットでオリジナルの畳縁製品を手掛ける老舗畳縁メーカーを経営する傍ら、青少年育成活動に30年以上尽力。特に波乱に満ちた中学・高校時代、前職のパイロット時代の話など体験談を交えた講演が好評。

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