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Mybestpro Interview

多機能型事業所として障がいを持つ人の就労をサポート

未来に夢を持てるようサポートする障害者就労支援のプロ

杓子屋勇

杓子屋勇 しゃくしやいさむ

#chapter1

就労継続支援A型とB型、就労移行支援、就労定着支援、生活困窮者就労訓練支援を実施

 大分県別府市にある「夢未来舎」は、障がいを持つ人の自立を後押しする多機能型事業所です。雇用契約を結んで働く場所を提供する就労継続支援A型(時給900円+2か月に1度賞与)と、軽作業などを通じて実務力や体力を養うB型(時給500円+2か月に1度賞与)を用意。求職活動をフォローする就労移行支援(時給550円+2か月に1度賞与)、勤務開始後の困り事に対応する就労定着支援、生活困窮者就労訓練(時給550円)も実施しています。

 「事業所では、商品を検品したり袋詰めをしたり、アパートや個人宅、公園の草取り、植栽の剪定、清掃なども行っています。利用者さんが少しずつできることを増やしていく姿を見ていると、とても誇らしい気持ちになります」

 優しい笑顔を浮かべながらそう話すのは、代表の杓子屋勇さん。大切にしているのは、毎日のコミュニケーションです。「当方には、40~50代を中心に男女合わせて約20人の利用者さんがいます。気分が安定しない精神疾患がある方が多いので、ご本人の顔色を注視しながら言葉を交わし、体調を慎重に見極めるようにしています」

 職場に適応できるよう援助するジョブコーチでもあり、これまで数多くの人を迎え入れてきた杓子屋さん。心療内科医の紹介で来所した40代後半のそううつ病障害の男性は、最初の1年は何も手に付かない状態だったとか。

 「内職から始め、小さなステップアップを重ねていった結果、症状がだんだんと落ち着き、気づけばみんなのまとめ役になっていました。入所から7年目の年には、大手ホテルへの就職が決まりました。人や物を運ぶドライバーの指導・監督を担う運行管理者の資格を持っていたので、現在は送迎バスの現場をまとめています」

#chapter2

障がいに向き合いながら懸命に就労を目指す人との出会いを通じ、福祉の道へ

 1944年に別府市で生まれた杓子屋さん。小学1年生の頃に家庭の事情で広島市に移り、以来長く広島で暮らします。

 当時氷屋を営んでいた家業に入ります。8年を過ぎ29歳になったとき、一念発起して、バス・トイレ、キッチンなど水回りの修繕を手掛ける「アクアテック」を創業。その後、30年以上にわたって同社のかじ取りを担ってきました。還暦を迎えた2004年、社長の座を息子である雄一郎さんに譲り、経営の一線からは退きます。

 65歳になってから生まれ故郷の別府へ移住。すると、「障がいや疾患のある人が、企業などに就職できるようサポートする事業に協力してくれないか」と知人に頼まれます。「のんびり暮らすつもりで別府に帰ってきたのですが、声を掛けられたのをきっかけに現在の道に進みました。障がいと向き合いながら、社会復帰に励む人との出会いを通じて、福祉サービスに力を注いでいこうと決意したんです」

 志を新たにした杓子屋さんは、2011年に夢未来舎を開設。さまざまな特性を持つ利用者を支えていくため、臨床心理学の第一人者である広島大学名誉教授の故鑪幹八郎氏が運営していた、広島カウンセリングスクールへ通い始めます。

 「先生は、障がい者の悩みを的確につかみ、とことん寄り添う方でした。6年間、毎週別府から広島まで足を運び、実に多くのことを学ぶことができました。先生のおかげで全国の研修者たちと交流を持つこともできましたし、感謝してもし切れません」

#chapter3

一人一人が個性を大事にして、未来に夢を持てるような学び舎にしたい

 杓子屋さんは、夢未来舎という名前に、「障がいのあるなしに関係なく、一人一人が個性を大事にして未来に夢を持てるような学び舎にしたい」という意味を込めています。

 アットホームな雰囲気の事業所では、利用者らがおのおののペースで職務に必要な知識やスキルを習得。社会参加へとつなげるべく、自身がアクアテック時代に築いた人脈を駆使して企業や自治体から案件を獲得し、一丸となって取り組んでいます。

 「真面目で頑張り屋の利用者さんが一生懸命こなしているので、評判も上々です。依頼主の方からお礼の手紙をもらう機会も少なくありません」

 ただコロナ禍は、利用者が感染して業務を回せなくなりそうな時期もあり、大変だったと振り返ります。「当方が請け負っている仕事の中には、施設の定期メンテナンスもあります。穴を空けるわけにはいかないため、スタッフ総出で現場に赴き、何とか乗り越えることができました」

 80代を迎える杓子屋さんの原動力は、毎朝起きてから1時間かけて行うストレッチとお気に入りの酵素玄米ご飯。健康維持に努め、後継者も育ち「後10年はこの会社を続けたい」と意気込みます。「これから何か大それたことをしたいとは思っていませんが、利用者の方に負けないように私も頑張っていきます」

 誰もが幸せに暮らせる世の中を実現したいと願い、日々精力的に活動する杓子屋さん。「ここに集う皆さんが、いろいろな場面で活躍していけるよう、お手伝いしていきたいですね」と語ります。

(取材年月:2023年6月)

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杓子屋勇

未来に夢を持てるようサポートする障害者就労支援のプロ

杓子屋勇プロ

障害者支援業

夢未来舎株式会社

夢未来舎は、「障害のあるなしに関係なく一人一人が個性を大事にして未来に夢を持てるような学び舎にしたい」という思いから始動しました。丁寧なサポートを通じて、障害者の就労を支援します。

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